8 / 9
第1章 邪神復活
第8話 勅書
しおりを挟む
「神ノ社の長、大宮司様。もし邪魔をするならば…如何にあなた様と言えど教会の名の下、断罪いたします。」
「困ったシスターだねえ~…。ならば、しかたない…」
大宮司はそう言うと、指をコキッコキッと鳴らした。上衣の長い袖から覗く、血管が浮き出た太い前腕を見るにかなり鍛えこんでいることが窺い知れる。
大宮司から漂う強者の雰囲気を察して、シスターが斧槍を両手に持って構える。
(大宮司様…)
お連れの神ノ社の団員達は、何かをしようとする素振りは見せない。まさか、大宮司一人であのシスターと戦う気なのか?
シスターが床を蹴って駆け出す。それを見て、大宮司がサッと自身の上衣に手を入れた。
一気に大宮司との間合いを詰めたシスターが、斧槍を振り上げる。
「—ッ!?」
しかし、斧槍は振り下ろされることなく、大宮司が懐から取り出して見せた一枚の羊皮紙よってシスターの動きは止まった。
「そ、それは…」
「そう、これは…王国を統べる国王陛下から賜りし勅書だ。」
「え、国王陛下の勅書?」
全く予想していなかった展開に俺とホノカは驚き、シスターは言葉を失ってシロウが持つ紙を凝視していた。
王国を統治し、王国最大の宗教団体『教会』を管理下に置く、教会と教会の一員であるシスターにとって信仰する神の次に絶対と言える存在。
国王陛下の勅書だという羊皮紙には、『王家の印』が記されていた。王家の印は、王族の者しか書くことが出来ない特殊な印であり、その印が記されているということは、大宮司が持っている紙が本物の勅書であることを示す事になる。
「本物の、国王陛下の勅書…」
勅書が本物であることを確信するシスター。
大宮司が勅書を読み上げる。
「『王国直轄の宗教団体、教会とその支持者よ。国王の名において、世界創造神の一柱 ベルゼファールの生まれ変わりである者の命をむやみに奪う事を禁ずる。 』」
「なんですって…っ」
勅書の内容を聞いて、シスターが愕然とする。
「陛下は何故、邪神を殺す事を禁じるような事を… ?そもそも教会は、邪神の復活について伝えていない。いつの間に陛下は邪神の事を知って…」
「私が陛下に拝謁して、伝えたのだ。」
勅書をもらって来たという事は、大宮司は国王に邪神の事を話したということだが…
(しかし、俺が邪神の力を覚醒させたのは今日だ。勅書を用意するにはタイミングが早すぎる…)
「王都まで勅書を取りに…。それで神の宮にいらっしゃらなかったのですか」
俺の実家に神ノ社の団員が現われた事と本殿に用意された生活用品…そして、勅書。思えばまるで、大宮司は最初から俺が邪神として覚醒することを予め知っていたようだった。
ホノカの反応を見るに、勅書については知らないらしい。ならば、大宮司だけが今日起こる事を知って備えていたのか?
「ベルゼファールの力が覚醒するという情報は、とある方から事前に聞いていてね。教会の刺客が来る前に何とかしようと思っていたのだが、まさか勅書をもらいに王都に行ってる間に本部に乗り込んで来るとは。」
(…とある方って、誰だろう?)
「し…しかし、私はそれでも…」
斧槍を強く握り締めて、ふるふると震えるシスター。あまりにも予想外の事に、自身の行動に迷いが生まれたのかもしれない。
「教会の…私の使命は、王国に住まう人々の平和と安寧を守るため、脅威となる悪を取り除く事。」
自分に言い聞かせる様に呟く。国王の命令に背いてでも、己の使命を全うすべきか葛藤しているようだ。
「たとえ陛下の命令であろうと、邪神の存在を見過ごすわけには…─えっ?」
シスターが本殿の一ヵ所に目を止めて、硬直する。
「…~っ、な、なな…なんですか!?あれはッ! 」
(え…?)
シスターが指差す方に、この場にいる皆の注目が集まる。
「何って…ああー!!」
シスターが指差す先…そこには─
本殿で生活する俺に、大宮司が用意した要らぬ気遣いである、あのいかがわしい雑誌があった。
ポツンと忘れ去られた様に本殿の隅に置かれた雑誌が風でパラパラっと開いて、かなり過激な内容のページで止まる。
「な…なな…っ」
それを見たシスターの肩が小刻みに震え出す。そして一時フリーズした後、噴火する様に怒りの声を上げる。
「なんて破廉恥なものを!!どうして、神聖な本殿にあのようなものが!?」
「…ふむ。はて、何故だろうね?」
「………」
シラを切る大宮司を、ホノカがジトっと見る。
「…ハッ!?ま、まさか」
シスターの仮面を付けた顔が、いかがわしい雑誌から俺の方に向く。
(…え?)
「邪神が神ノ社の人達を誑かそうと、これを置いたのですね!この…、外道め!」
「えええええー!?」
「私達教会とは教義は違えど、神を信仰する善良な人々である神ノ社の団員達をこんな卑猥な物で堕落させようとするなんて…最低ッ!」
「ちょっと!?それは誤解!」
勘違いも甚だしいシスターが、変態!畜生!等と、さらに罵詈雑言浴びせてくる。俺は誤解を解いてもらおうと大宮司を見るが、
「…ぷっ、ぷくくっ」
大宮司はシスターの勘違いが面白いのか、外方を向いて笑いを堪えていた。
「大宮司様!?」
(笑ってないで、助けて!)
「そ、それに…邪神!あなた、いい加減その手をどけなさい!」
(その手って…)
─ムニュ
「あっ…」
「……ッ!!?」
俺は自分の手が柔らかいものを掴んでいる事に気付く。その掴んでいるものを見て、血の気が上がった後に急激に引いていく。
「あなた、いつまでその巫女の胸を鷲掴みにしているんですか!」
シスターに指摘された通り、俺の手は腕に抱えていたホノカの仲間の巫女さんの胸を鷲掴みにしていた。
「いつの間に!?なんで!?」
「白々いですよ!邪神!」
「私、目が覚めたら、その…ずっと触られてて」
巫女さんが頬を赤らめて上目遣いで見てくる。
(全く記憶にない!いったいいつの間に俺の手は… はっ!)
頭の中で不気味な声を聞いた後、記憶がとんでいたが…もしかしたらあの時無意識に手が動いて、たまたま胸を掴んでしまったのか。
「す、すみません!」
慌てて手を離す。
「い、いいえ…」
巫女さんが顔を真っ赤にして、俺から逸らす。
「この邪神!女性が気を失っている事をいい事に、変態行為に及ぶなんて!」
「違う!…っていうか、君が彼女を気絶させたんだろ!?」
「ぶぷっ、ぶはははははっ!」
「笑ってる場合じゃないですよ、大宮司様!」
「…君は真面目な人だと思っていたのだがな」
「だ、だから誤解だって!」
シスターは今にも斬りかかりそうな勢いで怒り、大宮司は大笑いし、ホノカはお面越しでもわかるくらい残念な目で俺を見ていた。
「邪神を守る神ノ社、そして本殿に置かれたいかがわしい雑誌…そ、そういう事だったんですね…。神ノ社の人達は、すでに邪神によって堕落させられていたのですね…!」
どうやらシスターは、大変お門違いな結論にたどり着いてしまったらしい。
斧槍の長柄をギュッと握りしめたまま、ぶつぶつと呟き、もはやこちら(特に俺)の弁明を聞こうとはしていない。
笑い終わった大宮司がシスターに声をかける。
「シスターよ。勅書もあることだし、今日のところは退くべきだと思うが…どうする?」
「…勅書が本物である以上、教会の一員である私はその内容に従うしかありません。大司教様にも、陛下の真意について確認しなくてはいけませんし。それに…」
シスターは大宮司から俺の方に顔を向ける。仮面の向こうでは、おそらく俺を鋭い目で睨み付けているのだろう。
「これ以上ここにいたら、私まで邪神の魔の手によって堕落させられるかもしれませんから!」
「だから、誤解だって…」
「ふんっ!…では、私はこれにて失礼します。」
俺を鼻であしらった後、姿勢を正して大宮司に頭を下げる。
「うん。…あっ、そうだ。君に礼を言わねばならなかったね。」
「…?」
「君がこの本殿に行くまでに倒した神ノ社の団員達、一人も死んでいなかったよ。手加減してくれたのだろう?ありがとう。」
「…お礼を言われるほどの事ではありません。彼らは、断罪する必要がなかっただけです。」
シスターはそう言い、ホノカを見る。
「ただ…邪神を庇うあの巫女は、邪神断罪の障害となると思い、全力で命を奪うつもりで戦いました。…結果的に一人も死者が出なかったのは、単にあの巫女が強かったからです。」
そうホノカを評価するシスター。
「…シスター」
「それでは、失礼します。」
シスターはタッと駆け出し、本殿を出て行く。
彼女が鳥居を抜けてナカツクニ神ノ宮から出て行ったのを確認すると、
「やれやれ…やっと帰ってくれたか。」
大宮司が額を拭って安堵した。
「困ったシスターだ。教会とは、なるべく衝突したくないから、そのために急いで勅書を取りに行ったというのに…まさか神ノ宮にカチコミに来るとはね。ぷくく…しかし、面白い子だ。」
「大宮司様…」
抱えていた巫女さんを腕から降ろすと、俺は付けていたお面を外して大宮司に頭を下げた。
「助けていただき、ありがとうございました。」
「なに、気にしないでくれ。私達神ノ社にとっても、君に死なれると困るからね。」
「俺が死ぬと困る?…それは一体どういう事ですか?」
「…まあ、そのことについては後で話そう。それよりもだ…」
大宮司はそう言いながら、俺の頭に手を置く。すると、その手から淡い光が顕れた。
「大宮司様…?」
淡い光が消えると、頭から手が離れる。
「大宮司様、今のは?」
「古来より神ノ社に伝わる神の力を封印する魔法さ。君の中に在る神の力を、少しだけだが封じさせてもらった。」
「邪神の力を…?」
「封印魔法で君の中の邪神の力を抑え込んだから、これで先程の様に力が暴走する事はないはずだ。」
「暴走…」
大宮司が来るまで少し間の記憶が抜けていたが、邪神の力が暴走していたのか…。
「内なるベルゼファールの神気に蓋して抑え込んでいるようなものだがね。完全には封じたわけではないが、これで無意識に君の体から醸し出される神の気配を、シスターの様な勘の鋭い者に感知されることはなくなった。」
ということは俺はこの先、教会の刺客に狙われる事もなくなるのか…?
「これで君は、教会の連中に邪神だと気づかれることはないだろう。ホノカの機転のおかげでシスターに顔を見られずに済んだようだしね。」
大宮司が、俺の手から狐のお面を取ってひらひらと振って見せる。
「だから、明日から実家に帰るなり王都に戻って学校に通うなり、君の好きにするといい。」
「ほ、本当ですか!?」
本殿での軟禁生活を覚悟していたが、まさかこんなあっさり自由になれるなんて。
「本当は時間をかけてベルゼファールの力を完全に封印して、君を普通の人間にしたかったんだがね。だが、シスターがこの神の宮に来た時点で、君の居場所がバレてしまった。陛下の勅書があるとはいえ、別の刺客が来ないとは限らない。」
それならば、神の宮から出た方が安全だろうと大宮司は言う。
「さて…」
本殿内を見渡す大宮司。
「本当にずいぶん暴れてくれたものだ。本殿がすっかりボロボロだよ。」
「…すみません。俺をここに匿ったせいで」
「いいや、君のせいじゃない。そもそもここに連れて来るようにホノカに言ったのは私だからね。…とりあえず、後片付けするとしよう。」
―パンッ パンッ
と二度柏手を鳴らすと、呪文の様なものを唱える。
「——…かしこみかしこみもうす。」
そう言い終わると、本殿が淡い光に包まれる。
周囲をぐるりと見ると、本殿内のあちこちに残った戦いの跡や壊れた箇所が消えていき、時間が巻き戻るかの様に本殿が修復されていく。その様はまるで人体の傷が塞がって治るかの様で、不思議な現象であった。
さらには、戦いで負ったホノカと仲間の巫女さんの怪我も回復していく。彼女達の衣服の破れまでも修復すると、周囲を包んでいた淡い光は消え、本殿はシスターが来る前と同じ綺麗な状態に戻っていた。
「す、すごい…」
その不思議な現象を初めて見たのか、神ノ社の団員であるホノカと仲間の巫女さんが唖然としていた。
「大宮司様、今のは?」
「この本殿に御座す、神ノ社が崇める神様の力さ。この本殿の祭壇には、『アマテラス様』の魂の一部が封じられているのだよ。」
「アマテラス様の魂の一部…」
強い力の気配を感じてその方を見ると、そこには祭壇に置かれたあの円い鏡があった。その丸い鏡からは、先程の淡い光が放たれていた。
(あの鏡に、神ノ社が崇める神様…アマテラス様の魂が宿っているのか)
アマテラス様は、王国の東側の地方では古くから多くの者に信仰されている神様である。まさか、その神様の力を目の当たりにする事になるとは。
「後片付けも終わったことだし、とりあえずトウヤ君は今日ここで休みなさい。」
「…はい。ありがとうございます。」
俺は大宮司と他の神ノ社の団員、ホノカの仲間の巫女さんに礼を言い、最後にホノカの前に近づく。
「ホノカ…俺を守ってくれて、ありがとう。本当に助かった。」
「…いいや。私は君を守ろうとしたがシスターには歯が立たず、結局君に守られてしまった。私の方こそ助かった。礼を言う。」
頭を下げるホノカ。
「力が足りず、すまない…。」
その声からは、悔しさが滲んている様に聞こえる。
「いや、そんな…っ、俺の方こそ邪神の力が暴走して迷惑かけたみたいで…ごめん。」
守ってくれてたのに、力を暴走させて迷惑をかけるとは…。申し訳ない気持ちと自分への怒りを抑えて、ホノカを見る。
「…もう、邪神の力を暴走させないよう気を付けるよ。約束する。」
「…そうか。ならば、私は」
ずっと付けていた狐のお面を外すホノカ。
目を細めて、俺を真っすぐに見る。
「君がまた危ない目にあったら、次こそはちゃんと守ると約束しよう。」
芯の強さを奥に秘めた優しい目。その目を見て俺は…――
(…守られてばかりじゃだめだ)
実家では暁の福音から俺を守るために両親が傷付き、今回はホノカや神ノ社の人達が傷付いた。邪神の力を使って守る事が出来たが、そもそも邪神の生まれ変わりである俺が原因だ。もう、これ以上俺のために誰かを傷付けさせるわけにはいかない。
(邪神の事…自身について、ちゃんと向き合わなければならないな。)
――そう強く決心した。
「困ったシスターだねえ~…。ならば、しかたない…」
大宮司はそう言うと、指をコキッコキッと鳴らした。上衣の長い袖から覗く、血管が浮き出た太い前腕を見るにかなり鍛えこんでいることが窺い知れる。
大宮司から漂う強者の雰囲気を察して、シスターが斧槍を両手に持って構える。
(大宮司様…)
お連れの神ノ社の団員達は、何かをしようとする素振りは見せない。まさか、大宮司一人であのシスターと戦う気なのか?
シスターが床を蹴って駆け出す。それを見て、大宮司がサッと自身の上衣に手を入れた。
一気に大宮司との間合いを詰めたシスターが、斧槍を振り上げる。
「—ッ!?」
しかし、斧槍は振り下ろされることなく、大宮司が懐から取り出して見せた一枚の羊皮紙よってシスターの動きは止まった。
「そ、それは…」
「そう、これは…王国を統べる国王陛下から賜りし勅書だ。」
「え、国王陛下の勅書?」
全く予想していなかった展開に俺とホノカは驚き、シスターは言葉を失ってシロウが持つ紙を凝視していた。
王国を統治し、王国最大の宗教団体『教会』を管理下に置く、教会と教会の一員であるシスターにとって信仰する神の次に絶対と言える存在。
国王陛下の勅書だという羊皮紙には、『王家の印』が記されていた。王家の印は、王族の者しか書くことが出来ない特殊な印であり、その印が記されているということは、大宮司が持っている紙が本物の勅書であることを示す事になる。
「本物の、国王陛下の勅書…」
勅書が本物であることを確信するシスター。
大宮司が勅書を読み上げる。
「『王国直轄の宗教団体、教会とその支持者よ。国王の名において、世界創造神の一柱 ベルゼファールの生まれ変わりである者の命をむやみに奪う事を禁ずる。 』」
「なんですって…っ」
勅書の内容を聞いて、シスターが愕然とする。
「陛下は何故、邪神を殺す事を禁じるような事を… ?そもそも教会は、邪神の復活について伝えていない。いつの間に陛下は邪神の事を知って…」
「私が陛下に拝謁して、伝えたのだ。」
勅書をもらって来たという事は、大宮司は国王に邪神の事を話したということだが…
(しかし、俺が邪神の力を覚醒させたのは今日だ。勅書を用意するにはタイミングが早すぎる…)
「王都まで勅書を取りに…。それで神の宮にいらっしゃらなかったのですか」
俺の実家に神ノ社の団員が現われた事と本殿に用意された生活用品…そして、勅書。思えばまるで、大宮司は最初から俺が邪神として覚醒することを予め知っていたようだった。
ホノカの反応を見るに、勅書については知らないらしい。ならば、大宮司だけが今日起こる事を知って備えていたのか?
「ベルゼファールの力が覚醒するという情報は、とある方から事前に聞いていてね。教会の刺客が来る前に何とかしようと思っていたのだが、まさか勅書をもらいに王都に行ってる間に本部に乗り込んで来るとは。」
(…とある方って、誰だろう?)
「し…しかし、私はそれでも…」
斧槍を強く握り締めて、ふるふると震えるシスター。あまりにも予想外の事に、自身の行動に迷いが生まれたのかもしれない。
「教会の…私の使命は、王国に住まう人々の平和と安寧を守るため、脅威となる悪を取り除く事。」
自分に言い聞かせる様に呟く。国王の命令に背いてでも、己の使命を全うすべきか葛藤しているようだ。
「たとえ陛下の命令であろうと、邪神の存在を見過ごすわけには…─えっ?」
シスターが本殿の一ヵ所に目を止めて、硬直する。
「…~っ、な、なな…なんですか!?あれはッ! 」
(え…?)
シスターが指差す方に、この場にいる皆の注目が集まる。
「何って…ああー!!」
シスターが指差す先…そこには─
本殿で生活する俺に、大宮司が用意した要らぬ気遣いである、あのいかがわしい雑誌があった。
ポツンと忘れ去られた様に本殿の隅に置かれた雑誌が風でパラパラっと開いて、かなり過激な内容のページで止まる。
「な…なな…っ」
それを見たシスターの肩が小刻みに震え出す。そして一時フリーズした後、噴火する様に怒りの声を上げる。
「なんて破廉恥なものを!!どうして、神聖な本殿にあのようなものが!?」
「…ふむ。はて、何故だろうね?」
「………」
シラを切る大宮司を、ホノカがジトっと見る。
「…ハッ!?ま、まさか」
シスターの仮面を付けた顔が、いかがわしい雑誌から俺の方に向く。
(…え?)
「邪神が神ノ社の人達を誑かそうと、これを置いたのですね!この…、外道め!」
「えええええー!?」
「私達教会とは教義は違えど、神を信仰する善良な人々である神ノ社の団員達をこんな卑猥な物で堕落させようとするなんて…最低ッ!」
「ちょっと!?それは誤解!」
勘違いも甚だしいシスターが、変態!畜生!等と、さらに罵詈雑言浴びせてくる。俺は誤解を解いてもらおうと大宮司を見るが、
「…ぷっ、ぷくくっ」
大宮司はシスターの勘違いが面白いのか、外方を向いて笑いを堪えていた。
「大宮司様!?」
(笑ってないで、助けて!)
「そ、それに…邪神!あなた、いい加減その手をどけなさい!」
(その手って…)
─ムニュ
「あっ…」
「……ッ!!?」
俺は自分の手が柔らかいものを掴んでいる事に気付く。その掴んでいるものを見て、血の気が上がった後に急激に引いていく。
「あなた、いつまでその巫女の胸を鷲掴みにしているんですか!」
シスターに指摘された通り、俺の手は腕に抱えていたホノカの仲間の巫女さんの胸を鷲掴みにしていた。
「いつの間に!?なんで!?」
「白々いですよ!邪神!」
「私、目が覚めたら、その…ずっと触られてて」
巫女さんが頬を赤らめて上目遣いで見てくる。
(全く記憶にない!いったいいつの間に俺の手は… はっ!)
頭の中で不気味な声を聞いた後、記憶がとんでいたが…もしかしたらあの時無意識に手が動いて、たまたま胸を掴んでしまったのか。
「す、すみません!」
慌てて手を離す。
「い、いいえ…」
巫女さんが顔を真っ赤にして、俺から逸らす。
「この邪神!女性が気を失っている事をいい事に、変態行為に及ぶなんて!」
「違う!…っていうか、君が彼女を気絶させたんだろ!?」
「ぶぷっ、ぶはははははっ!」
「笑ってる場合じゃないですよ、大宮司様!」
「…君は真面目な人だと思っていたのだがな」
「だ、だから誤解だって!」
シスターは今にも斬りかかりそうな勢いで怒り、大宮司は大笑いし、ホノカはお面越しでもわかるくらい残念な目で俺を見ていた。
「邪神を守る神ノ社、そして本殿に置かれたいかがわしい雑誌…そ、そういう事だったんですね…。神ノ社の人達は、すでに邪神によって堕落させられていたのですね…!」
どうやらシスターは、大変お門違いな結論にたどり着いてしまったらしい。
斧槍の長柄をギュッと握りしめたまま、ぶつぶつと呟き、もはやこちら(特に俺)の弁明を聞こうとはしていない。
笑い終わった大宮司がシスターに声をかける。
「シスターよ。勅書もあることだし、今日のところは退くべきだと思うが…どうする?」
「…勅書が本物である以上、教会の一員である私はその内容に従うしかありません。大司教様にも、陛下の真意について確認しなくてはいけませんし。それに…」
シスターは大宮司から俺の方に顔を向ける。仮面の向こうでは、おそらく俺を鋭い目で睨み付けているのだろう。
「これ以上ここにいたら、私まで邪神の魔の手によって堕落させられるかもしれませんから!」
「だから、誤解だって…」
「ふんっ!…では、私はこれにて失礼します。」
俺を鼻であしらった後、姿勢を正して大宮司に頭を下げる。
「うん。…あっ、そうだ。君に礼を言わねばならなかったね。」
「…?」
「君がこの本殿に行くまでに倒した神ノ社の団員達、一人も死んでいなかったよ。手加減してくれたのだろう?ありがとう。」
「…お礼を言われるほどの事ではありません。彼らは、断罪する必要がなかっただけです。」
シスターはそう言い、ホノカを見る。
「ただ…邪神を庇うあの巫女は、邪神断罪の障害となると思い、全力で命を奪うつもりで戦いました。…結果的に一人も死者が出なかったのは、単にあの巫女が強かったからです。」
そうホノカを評価するシスター。
「…シスター」
「それでは、失礼します。」
シスターはタッと駆け出し、本殿を出て行く。
彼女が鳥居を抜けてナカツクニ神ノ宮から出て行ったのを確認すると、
「やれやれ…やっと帰ってくれたか。」
大宮司が額を拭って安堵した。
「困ったシスターだ。教会とは、なるべく衝突したくないから、そのために急いで勅書を取りに行ったというのに…まさか神ノ宮にカチコミに来るとはね。ぷくく…しかし、面白い子だ。」
「大宮司様…」
抱えていた巫女さんを腕から降ろすと、俺は付けていたお面を外して大宮司に頭を下げた。
「助けていただき、ありがとうございました。」
「なに、気にしないでくれ。私達神ノ社にとっても、君に死なれると困るからね。」
「俺が死ぬと困る?…それは一体どういう事ですか?」
「…まあ、そのことについては後で話そう。それよりもだ…」
大宮司はそう言いながら、俺の頭に手を置く。すると、その手から淡い光が顕れた。
「大宮司様…?」
淡い光が消えると、頭から手が離れる。
「大宮司様、今のは?」
「古来より神ノ社に伝わる神の力を封印する魔法さ。君の中に在る神の力を、少しだけだが封じさせてもらった。」
「邪神の力を…?」
「封印魔法で君の中の邪神の力を抑え込んだから、これで先程の様に力が暴走する事はないはずだ。」
「暴走…」
大宮司が来るまで少し間の記憶が抜けていたが、邪神の力が暴走していたのか…。
「内なるベルゼファールの神気に蓋して抑え込んでいるようなものだがね。完全には封じたわけではないが、これで無意識に君の体から醸し出される神の気配を、シスターの様な勘の鋭い者に感知されることはなくなった。」
ということは俺はこの先、教会の刺客に狙われる事もなくなるのか…?
「これで君は、教会の連中に邪神だと気づかれることはないだろう。ホノカの機転のおかげでシスターに顔を見られずに済んだようだしね。」
大宮司が、俺の手から狐のお面を取ってひらひらと振って見せる。
「だから、明日から実家に帰るなり王都に戻って学校に通うなり、君の好きにするといい。」
「ほ、本当ですか!?」
本殿での軟禁生活を覚悟していたが、まさかこんなあっさり自由になれるなんて。
「本当は時間をかけてベルゼファールの力を完全に封印して、君を普通の人間にしたかったんだがね。だが、シスターがこの神の宮に来た時点で、君の居場所がバレてしまった。陛下の勅書があるとはいえ、別の刺客が来ないとは限らない。」
それならば、神の宮から出た方が安全だろうと大宮司は言う。
「さて…」
本殿内を見渡す大宮司。
「本当にずいぶん暴れてくれたものだ。本殿がすっかりボロボロだよ。」
「…すみません。俺をここに匿ったせいで」
「いいや、君のせいじゃない。そもそもここに連れて来るようにホノカに言ったのは私だからね。…とりあえず、後片付けするとしよう。」
―パンッ パンッ
と二度柏手を鳴らすと、呪文の様なものを唱える。
「——…かしこみかしこみもうす。」
そう言い終わると、本殿が淡い光に包まれる。
周囲をぐるりと見ると、本殿内のあちこちに残った戦いの跡や壊れた箇所が消えていき、時間が巻き戻るかの様に本殿が修復されていく。その様はまるで人体の傷が塞がって治るかの様で、不思議な現象であった。
さらには、戦いで負ったホノカと仲間の巫女さんの怪我も回復していく。彼女達の衣服の破れまでも修復すると、周囲を包んでいた淡い光は消え、本殿はシスターが来る前と同じ綺麗な状態に戻っていた。
「す、すごい…」
その不思議な現象を初めて見たのか、神ノ社の団員であるホノカと仲間の巫女さんが唖然としていた。
「大宮司様、今のは?」
「この本殿に御座す、神ノ社が崇める神様の力さ。この本殿の祭壇には、『アマテラス様』の魂の一部が封じられているのだよ。」
「アマテラス様の魂の一部…」
強い力の気配を感じてその方を見ると、そこには祭壇に置かれたあの円い鏡があった。その丸い鏡からは、先程の淡い光が放たれていた。
(あの鏡に、神ノ社が崇める神様…アマテラス様の魂が宿っているのか)
アマテラス様は、王国の東側の地方では古くから多くの者に信仰されている神様である。まさか、その神様の力を目の当たりにする事になるとは。
「後片付けも終わったことだし、とりあえずトウヤ君は今日ここで休みなさい。」
「…はい。ありがとうございます。」
俺は大宮司と他の神ノ社の団員、ホノカの仲間の巫女さんに礼を言い、最後にホノカの前に近づく。
「ホノカ…俺を守ってくれて、ありがとう。本当に助かった。」
「…いいや。私は君を守ろうとしたがシスターには歯が立たず、結局君に守られてしまった。私の方こそ助かった。礼を言う。」
頭を下げるホノカ。
「力が足りず、すまない…。」
その声からは、悔しさが滲んている様に聞こえる。
「いや、そんな…っ、俺の方こそ邪神の力が暴走して迷惑かけたみたいで…ごめん。」
守ってくれてたのに、力を暴走させて迷惑をかけるとは…。申し訳ない気持ちと自分への怒りを抑えて、ホノカを見る。
「…もう、邪神の力を暴走させないよう気を付けるよ。約束する。」
「…そうか。ならば、私は」
ずっと付けていた狐のお面を外すホノカ。
目を細めて、俺を真っすぐに見る。
「君がまた危ない目にあったら、次こそはちゃんと守ると約束しよう。」
芯の強さを奥に秘めた優しい目。その目を見て俺は…――
(…守られてばかりじゃだめだ)
実家では暁の福音から俺を守るために両親が傷付き、今回はホノカや神ノ社の人達が傷付いた。邪神の力を使って守る事が出来たが、そもそも邪神の生まれ変わりである俺が原因だ。もう、これ以上俺のために誰かを傷付けさせるわけにはいかない。
(邪神の事…自身について、ちゃんと向き合わなければならないな。)
――そう強く決心した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
悪役令嬢ではありません。肩書きはただの村人ですが、いつの日か名だたる冒険者になっていた。
小田
ファンタジー
ポッチ村に住んでいる少女ルリ。彼女には特別な力があった。彼女が六歳の時、ルリの母親は娘の力を封印した。村長はルリの母の遺言どおり、実の娘のように大切に育ててーー。十四歳を迎えたルリはいつものように山に薬草を採取しにいった。すると、偶然倒れている騎士を発見。ルリは家に運んで介抱するが、騎士ではなく実は三代公爵家の長男であった。
村人の少女ルリが学園に行ったり、冒険をして仲間と共に成長していく物語です。
なろう、エブリスタ、カクヨム掲載しています。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる