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小娘爆走
33
本日中に片付けてしまいたいマユちゃんの曲の手直しを頑張っていたら、春香ちゃんに肩を揺すられる。
「もうっ、お昼?」
ご飯食べなくても良いけど、またそんな事言うと、皆に怒られるしなぁと、一旦作業を区切りがつく様にしてから終わらせる。
「いや、まだ、11時半過ぎなのですが、お客様が来ていて」
「私に?」
「いや、楓さんに」
「カエちゃんなら、剣ちゃんのとこだよね?」
「それが、メグさんに行ったり来たりさせるより、自分が行った方が早いと、もう京都に向かわれたそうで。その連絡も、希更ちゃんには終わらせていると…」
うん、気が付かなかった。
多分、お仕事で夢中になってるだろう私と、話すの面倒で、メールかLINEで済ませたんだと思う。
「それで、お怒りです」
「え?」
「まだ、お芝居なんて出来る身体じゃないのに、なんで、誰も止めないのかと、お怒りです」
ああ、まあ、そうなんだけど…事実、それしかない…んだろうけど…。
「誰って云うか、もしかしてミー?」
「と、お友達も来てます」
あ、1人じゃないの?
ミーやっと友達出来て、カエちゃんに見せに来た?
それでカエちゃんお仕事でいないしで、更にご機嫌斜め?
「分かった。小会議室空いてるよね? ミー宥めて来る」
「はい。岡野さんに言われて、もう小会議室にお通ししてます。自分はお茶…ジュースとかが良いんですかね?」
「冷たい方のお茶で良いよ」
「分かりました。お願いします」
「はあい。お願いされました」
ミーご機嫌斜めか。
面倒臭いなぁ。
そう思いながら小会議室に入れば、ミーと芙蓉がいる。
「あ、芙蓉だ。久しぶり」
「うん。なんか、大変なの?」
「まあ、色々と…」
思わずミーを見れば、睨まれた。
涙目で、怒っていると云うより、拗ねて不貞腐れてプリプリ?
「ミーも久しぶり」
「久しぶりじゃありません! カエちゃんがお仕事ってどう云う事? なんで止めないの! 1ヶ月前に誘拐されて殺されかかったんだよ! 今だって、顔、全然治ってないでしょ!!」
まあ、そうなんだけどさぁ。
「カエちゃんが引き受けちゃったし」
「それでも止めて」
「私もそうだけど、ミーだって、やりたいと思ったら、絶対、止まらないですし」
「そ…それでも!!」
「無理です!」
「カエちゃん、まだ心も体も治ってないんだよ!!」
「そんな事言われても、カエちゃん引き受けちゃうし」
「清牙さんには言ったの!?」
「さぁ」
「希更!!」
「でも、そろそろ知ってるかなぁ…ぐらいな、感じだと思うよ」
私のスマホも静かになっているので。
「清牙さん、絶対に反対だよ!」
「まあ、そうだろうねぇ」
「清牙さんに無茶苦茶にされる前に、辞めさせるべきじゃないの?」
「ああぁぁ、それ? セイちゃんには、撮影場所知らせない様にって…とは、言ってある」
「清牙さんに知らせない様に色々しても、健吾さんが、教えるでしょ!!」
「そう…かなぁ?」
私に音楽の依頼来たって事は、流石に、ジャイゴも知らされて…巻き込まれて?
結局は、カエちゃんに無理矢理承認させられちゃったんじゃ、ないのかな?
それに、メグさんをカエちゃんの所に派遣したのも、ジャイゴな訳で。
知ってる=しぶしぶ了承なのだ、と。
「あのぉ、お茶をお持ちしました」
「春香ちゃん有難う。喉渇いた」
「希更!」
「まあ、お茶飲んで座って。私が知ってる限りで、一応の説明するから」
「もうっ!!」
プリプリのミーが座り、そして芙蓉は座って笑い出す。
「ふふっ、どっちがお姉ちゃんなんだか」
「ミーはね。落ち着きなくてフワフワだから」
「フワフワしてません! 怒ってます!」
「うん、分かったからお茶飲んで。喉痛めるよ」
「もうっ、希更も怒って!」
「無茶言わないでよ」
プリプリ怒るミーに呆れていたら、ミーが芙蓉を見て頭を下げる。
「ごめんねぇ。カエちゃんいないとか、全く聞かされてなかったから」
「それはカエちゃんに言って。多分、ミーに連絡することを、完全に忘れているんだと思う」
「ヒドイ!!」
それも、プリプリ怒ってる原因の一つか。
でもカエちゃんからしたら、ミーお仕事の最中だろうしで、気を遣ったのもあるんだろうし。
「仕方ないよ。だけど、楓…さん、お仕事…お芝居、大丈夫なの? なんか酷い目に遭ったばっかりだよね?」
心配そうな芙蓉に頷く。
「ああ、まあ、誘拐されて、Hな事されて、殴られて、銃突きつけられて、キレたカエちゃんが、相手ボコボコにしたらしいね」
「え………っと、色々、大変な目に遭った中で、無事…とは言えないんだろうけど、生きて戻って来たばっかりでのお仕事って、本当に大丈夫なの?」
まあ、誰もが思う、その通り…だよね。
「大丈夫ではないよね。顔は酷いままで、身体本調子じゃないって、壮太兄ちゃんも言ってたぐらいだし」
「壮太さん? 壮太さんからの仕事なの!?」
「ああ、ミー、ストップ。仕事は剣ちゃんからだけど、剣ちゃんも、心配してて、無理そうなら諦める感じだったのを、多分、カエちゃんがあっさり引き受けちゃった感じ」
「剣太さん、なのね!」
「だからっ、連絡する前に話を聞いて!」
「だって!!」
ミーも、本当にカエちゃん好きだから。
「カエちゃん、酷い目に遭ったって、私、ちゃんと言った! 記者会見でも酷い姿だったって言ってた! なのに!! お仕事、そんな状況で頼むなんて酷い!!」
「だから、まあ、カエちゃんが受けちゃったんだから、仕方ないでしょ。カエちゃんだって、出来ない事は出来ないって言うと思うよ?」
「言わないよ。お芝居で、出来ないって言ったら、そこで終わり。なにがなんでもひねり出すのが、役者の仕事だって、カエちゃんが言ってたんだし」
うわぁ…それは、もう…。
「誰が何を言っても無理だよね? カエちゃんが受けた以上、何が何でもやり切るのでは?」
その宣言通りに。
ある意味、それが出来る自信があったからこそ、引き受けたのでは?
ちょっと無茶でも、なんとかなるだろうなって、結構大雑把な覚悟で。
剣ちゃんも、相当余裕なくて、カエちゃん無理なのは分かっているけど…って感じ、みたいだし。
「そんなんだから、周りが止めなきゃなんでしょ!!」
「ああ、まあ、今回は受けちゃったし、どうしようもないよね。次からは気を付ける。って言うか、お仕事はジャイゴ通してセイちゃんに先に話が行くようにしないと、カエちゃん、知り合いに頼まれたら、何でも引き受けちゃうんじゃない?」
「カエちゃん!!」
だから、ここで怒っても、本人いないんだって。
そこにノックが響いたと思ったら、なぜか玲央君がにこやかに入って来る。
「ああ、本当に鈴鹿ちゃんいる。久しぶり」
「玲央君?」
「こんにちは。あ、知らない子もいる」
「ああ、この子は、私の妹」
「え?」
そして玲央君の視線が私へと流れる。
「芙蓉と姉妹になった覚えはないね」
「えっと…?」
「今のドラマで、私の妹。可愛いでしょ」
「どうせ、私は可愛くないです」
「希更も可愛いよ! けど、お姉ちゃん扱い、全然してくれないし!!」
「ミーがフワフワでボケボケだから」
「ヒドイ!」
「えっと、始めまして芙蓉ちゃん。unsidの玲央です」
「あの、柴咲芙蓉、です。学校、同じなんで、あの、慧士さんにも会っていて」
「ああ、そうなんだ。宜しくね」
「はい」
「芙蓉は私の友達でもある」
「ああ、なんか、そんな話してた! 楓さんの飲み会で。あの子か! 希更を宜しくね。頑固で全然云うこと聞かなくて、我が道を行きまくってるし、強気で大抵のものはなぎ倒しちゃうけど、身体はあんまり丈夫じゃないから、気にかけてくれると嬉しい」
「玲央君の方が、ミーより、お兄ちゃんぽい」
「そ、そんな事、ないもん!!」
「うん。鈴鹿さんにも、希更の事宜しくって、何度も言われたよ。気が強くて言い出したら聞かないけど、言い方、怖かったりするけど、その分誰に対しても平等だからって。相手がどんな偉い人でも、態度が一定だから、見てて怖かったら、その場は逃げてって」
「ミー? それ、全然フォローになってない」
「だって、希更、松葉さん相手でもソレなんでしょ! ちょっとおかしい!」
「父さんは喜んでるし、おじさんも面白がってるよ。大丈夫」
「本当に?」
「うん。今度、家に様子見に来る? あ、今はお仕事忙しい…これからも忙しそうだけど、夜なら、大丈夫かな? 希更と泊りに来る?」
「いや、私が泊まるのは、なんか違う様な?」
「楓さんも誘ってるんだけど、今はあの顔で、父さん達に会いたくないみたいなんだよ」
「カエちゃん、カエちゃんって…」
「ウチの父とおじさんが大好き」
「セイちゃんよりも、むしろ好き」
例えセイちゃんと約束していても、緊急性の無いモノだったら間違いなく、ユウちゃんとタックさんを取るだろうし。
大丈夫大丈夫言いながら、確認もせずに。
「そ、それって、良いのかな?」
「私に聞かれても」
「それで、今日は、お仕事の帰り? 2人で希更の様子を見に来たの?」
「ああ、それが、芙蓉ちゃん、カエちゃんの知り合いだったみたいで、一回挨拶したいって云うから連れて来たんだけど…」
ああ、怒り再燃。
「カエちゃん、お仕事に行っちゃったんだって」
不機嫌そのものの、プーっとした顔でミーは言い切った。
「は?」
玲央君迄固まった後、私を見る。
そして言われる。
「楓さん、仕事なんて出来るの? そもそも、顔、まだ治ってないよね。身体、歩くとき、ちょっと引き摺る感じ合ったよね? 全然大丈夫じゃないでしょ、ソレ?」
「大丈夫じゃなくても受けちゃったと言うか、時間がないと云うか、カエちゃんのあの顔のままでOKな仕事だったらしくて」
「いやいや、止めなよ、希更」
「だから、カエちゃんが受けちゃうものを、私が止めるのは違うでしょ。次があったら、一応、止めはするけど」
「一応じゃなくて!」
ミー、気持ちは分かるけど。
「カエちゃんが、私が言ったくらいで止まるとでも?」
「もうっ!! 清牙さんが、カエちゃん、ちゃんと押さえてないから!!!」
そして今度は、セイちゃんにまで飛び火。
幾らセイちゃんでも、一緒にいないと止めようが無いと、思う訳で。
そもそもが、セイちゃんが全く把握していない、セイちゃん無視で、決まった仕事だ。
セイちゃんに、どうやって止めろと?
セイちゃんがその場にいたとしても、カエちゃんが本気でやると決めたなら、セイちゃんでも止められないのでは…?
まあ、力押しで強引にセイちゃんに誘拐されて閉じ込められちゃうと、誰にもどうにも出来ないかも、だけど。
それすると、カエちゃんも激怒だからねぇ。
「それで、清牙さんはなんて言ってるの?」
「煩く言われそうなんで、話もやり取りもしてません」
「希更?」
玲央君までそんな目で見ない!
「多分、もう、セイちゃんでは止められないかな?」
「もうっ!!」
そしてミーがプリプリ。
「でも、相手剣ちゃんで…余計、セイちゃんが怒りそう、なんだよね」
絶対、知ったが最後、何らかの手を使って邪魔しに来そうな感じ、が。
「ケンちゃんって、誰?」
そっか、芙蓉は知らない。
玲央君も、知らないかも?
「疾風剣太さん。劇団の座長さんで、声がすんごいの。そして剣舞最高! 無茶苦茶綺麗でカッコイイ!!」
「え? 希更が大絶賛とか、凄くない?」
「凄いよ」
「マジか。清牙さんでも、怒ってはいても、褒めてるの、見た事ないのに」
「セイちゃんが馬鹿ばっかやるからでしょ」
歌声は凄いとは思ってるよ。
それを素直に言うべきタイミングが全く無いほど、掻き消える程、馬鹿な事ばっかり言って、やっている所為でもあるけど。
それとは別に、剣ちゃん常に大人だし、カッコイイし、声がビリビリだし。
少なくとも、セイちゃん見て馬鹿だな思うような事は、絶対にしない。
壮太兄ちゃんは時々言って、しているけど。
剣ちゃんは剣舞最高で、安定の頼り甲斐しかない、大人、なので。
「希更、ウチの父さんのギターでさえ、不機嫌な顔でダメだしするのに」
「嫌なものは嫌」
「希更!」
仕方ないじゃん。
お仕事では妥協しません。
「そんな、凄い人なんだ?」
玲央君の言葉に、ミーの頬がピンクに。
「実際、剣さん凄い人なんだけど、ね。あの声が、もう…」
ミーは、直撃だったもんねぇ。
「なんか、女性の骨に声が響き易いんだって。普段はなるべく抑えて生きてるけど、舞台だと全開で、もう、座ってても、ピリピリ来る」
「それって、超重低音って奴?」
「うん。歌うと高くなるから、効果は無いって言ってたよ」
「いや、それって、大衆演劇の花形一座だよね? 超人気の、看板座長って言うか、弟さんの方はテレビとかにも結構出てるけど…」
流石に、芙蓉は知っていたらしい。
「舞台が忙しくて、あんまり長く拘束されるのは無理って、言ってたんだけど、今回は受けたんだね。珍しい」
舞台の方がやってて楽しいし、自分には舞台の方が性に合ってるって、言ってたんだけど…。
「剣ちゃん断れないお仕事、だったんだろうね」
「え? 疾風剣太が断れない仕事ってナニ?」
芙蓉が妙な声をあげている。
「剣ちゃんって、まあ、優しげに見えてアレだから、まあ、本当に嫌だったら断ってる、かぁ」
じゃあ、舞台休んで迄やってみたいほどの、お仕事だったのかも?
「いや、そうじゃなくて、疾風兄弟、ちゃん付け?」
「うん? 壮太兄ちゃんは、壮ちゃんって呼んだら拗ねるから、壮太兄ちゃんだけど」
「希更って…」
ええ?
なんでそこで、芙蓉が疲れちゃうの?
「希更は、あの、infernoのジャイアンにさえ、このままだから」
「馬鹿なの!?」
そしてなぜか怒られる。
「ジャイアンは基本馬鹿だね」
B以外だと、役立たずのお馬鹿さんでしかない。
日本語も英語も怪しい、元日本国籍のアメリカ人って、そもそもの身元が怪し過ぎである。
「希更の馬鹿」
どうして、私が馬鹿なんだろう?
「芙蓉ちゃん。あのおじさんは馬鹿で良いの。カエちゃん誘拐したんだから。それと未だに連絡とって仲良くしている希更も、かなり馬鹿だけど!」
ミーはねぇ、ジャイアンに怒りっぱなしだからね。
大っ嫌い、らしいし。
カエちゃんはもう許してるみたいなんだから、当事者じゃないんだから、許してあげれば良いのに…とは思うけど。
まあ、ミーだし。
ミーの感情に迄文句の付けようないし。
人の感情は、本人以外にはどうにもならないのです。
ミーは一度根に持つと、しつこいとこあるよね。
そう云うトコは、ママそっくり。
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