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小娘爆走
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『小娘? それを私に言ってどうすんの?』
お酒の入ったグラスを揺らしながら笑うギナちゃん。
「いや、だって、どこまで報告すれば良いか、本当に、分からなかったのね。だから、取り敢えず、ギナちゃんに相談しようかなって」
デモの確認からの音合わせに、リモート会議が、いつの間にか飲み会になっていたので。
「いや、親の目の前で話してるから。俺も、聞いてるんだけど?」
そう云うタックさんも、お酒の入ったグラスを片手に笑ってる。
「タックさんには、言っておいた方が良いでしょ? 玲央君、ミー、ここに連れてくる気、満々だし」
『自分の部屋で初Hは、定番よね』
「え? 俺、家空けた方が良い?」
「今でも十分、空けてるでしょ。余計な事しないで」
タックさん、ちょっと、そう云うトコが、アレなんだよ。
『やぁねぇ。協力的な親も、どうかと思うわよ。邪魔しなさいよ。その方が燃えるから』
「いや、邪魔はしないって。あんな可愛い娘が出来るんだろ?」
『そして気が早い!』
「孫か…」
「それは流石に早過ぎです!」
もう、大人達はお酒入ると、話がすぐに、いい加減になるんだから。
もしくは、良く分からない事で大騒ぎしてるし。
『でも、ほら、お互いこっちの世界にいる訳でしょ。ゴムとか、その辺で買ったら、大騒ぎじゃない。2人とも、まだ未成年よね? タックさん、買ってあげたら?』
「え? 親にゴム買って渡されるって、かなり微妙だろ」
「あのさぁ、仕事をしてるのかと思えば、なんの馬鹿話してるの?」
そこにお風呂から出てきた玲央君が、不機嫌に入って来る。
『避妊はしなさいよ。まだガキなんだから』
「ああ、もう、希更?」
怒ってる訳ではないけど、玲央君に睨まれる。
いや、だって。
「タックさんに、玲央君が報告するの待つより、このお家で、いきなり、何の心の準備も無く、タックさんとミーが顔合わせる方が、早そうでしょ? 嘉納さんも、そんなんだと、対応に困るじゃんない?」
「あの人は、即父さんに言うから。僕も、隠すつもりはないし、報告する気だったよ。ただ、心構えと言うか、今日の今日じゃなくても…と云うのは、甘かったよね。希更が、今日いる訳だし」
溜息吐いて、お茶を飲む玲央君は、困った顔でタックさんを見る。
「希更の姉の、美凉華ちゃんと恋人になりました。これからは、ウチに連れてきます。外だと騒がれてゆっくりできないから。結構本気だから、安心して。立場とか責任とか、まだ、未成年で色々あるし。馬鹿な事はしないつもり、だから」
「ああ、うん。玲央は慎重で真面目で、浮ついた、いい加減な所もないし、希更の姉ちゃんに酷い事はしないとは思ってる。けど、避妊は気を付けなさい。まだ、学生なんだから」
「ああ、なんか、そう云うのを親に言われるのって、本当に、微妙だよね」
「言ってる俺も、かなり微妙なんだが?」
2人とも、視線くらい、合わせて話せば良いのに…。
気持ちは、分かるけど。
『聞いて見てる、私は、十分、面白いけど?』
「私も、結構新鮮」
お付き合いとかで親に報告すると、そんな会話が為されるのか…。
ミーの最初の彼氏の時なんて、ママが「良かったわねぇ」で終わっていた、気がする。
まあ、小学生の時の話だし。
「希更は、楓さんとかママさんに、言われないの?」
ナニカ…ああ、その性教育的な、事?
「特に…あっ、アレも、そう…なのかな?」
『何? 小娘、真っ赤になっちゃって』
「あの、カエちゃんじゃなく、ママに、生理周期は、ちゃんと記録しておきなさいって」
『ああ、危険日の把握は大事よね』
「ああっと、そう云うのを男ばかりのここで言う、希更が、実に心配なんだが?」
「芙蓉にもそう云うの、言ってあげなよ。今、親元離れてる上に、関係も微妙みたいだし」
「うん。でも、相手、慧士だよ?」
「僕でも慧士でも、まあ、ほら、ね?」
慧士がHなのは知ってるけど、まだ、子供だよ?
芙蓉、あんなに小っさいのに?
『勢い付いたら止まんないわよね。私が、ゴム各種プレゼントしましょうか? 普通じゃ買えないのも、色々あるのよ? 大人な限定の奴とか』
「いらないから! 自分で買えるって云うか、ネット使えばいいよね? そこまで心配しなくていいし」
「俺名義で買っていいからな」
「だから、微妙な事言わないで!」
『あはははっ、ウケる!!』
ギナちゃん、ホント楽しそうだよね。
「絶対、慧士は、ユウちゃんには言わないと、思うんだけど?」
「それは僕が言っとくから、希更は余計な事言わない様に。慧士がキレるよ?」
「別にキレてもいいんだけど。早目に言わないと、芙蓉が大変…ユウちゃん、反対する?」
「しないんじゃないか? 可愛い子、なんだろ?」
「いや、可愛いかどうかは、この際の問題じゃないって」
『あの爺様、性格、悪いからね』
「爺様呼びは止めて下さい」
『もう、面倒ね』
「私からもね、ユウちゃんに言った方が良いと思うの。芙蓉に意地悪言ったりしちゃ、ダメだって。芙蓉真面目だから、ユウちゃんの言葉、そのまま真面目に受け止めて、考えようとするかもしれないし」
「それは、どうだろ?」
『余計に言い出すんじゃない? もっと酷いの、とか』
もうっ!
「タックさん、ちゃんと止めてね」
「いや、目の前にいれば止めるけどな」
そう、なんだよね。
慧士がユウちゃんのお家に芙蓉連れて行って、そこで会うとなれば、タックさん、いないし。
タックさんの家に芙蓉連れてきた場合は、そもそもが、ユウちゃんも居なくて安全?
いや、面白がって乗り込んでくる…かも?
ユウちゃん悪気なく、意地悪言いそうだよね。
いや、揶揄って反応見ようとしているんだから、悪気はあるのか…。
悪意は無くても他意はある…って奴?
セイちゃんでさえ、揶揄って遊んでる訳だし。
慧士はいっつもやられたい放題。
芙蓉に、その対策が打てるのかどうか…。
「希更。まずは、芙蓉に確認してから動こうか。希更が何かする度に、おじさん、大笑いして、ご機嫌になるから。何が起こるか分かんないし」
「ユウちゃん、笑い過ぎだよね。失礼」
『小娘よね』
「ギナちゃん、どう云う意味?」
『アンタは、そのまま育ちなさい。面白いから』
「ギナちゃんも失礼」
「それで、慧士にもゴム買ってやるのか?」
「だから、その微妙な話から離れて! それは、慧士とこっちで考えるから」
『早めに用意しときなさいよ。勢い付いて止まらないで、ゴム無しが、一番不味いパターンなんだし』
「本当に、余計なお世話ですから!」
ああ、うん。
玲央君頑張れ。
今日の酔っ払いのターゲットは、間違いなく玲央君だろうし。
『それで、ママは、なんて言ってるの?』
「カエちゃんにはまだ言ってないよ。今、大忙しだから」
聞いたら、喜んで宴会になって、酔っ払い女性陣に、玲央君慧士が、好き勝手言われるんだろうけど。
「そんなに忙しいの?」
「うん。LINE、既読もつかないし、返ってこない」
「うわぁ、大丈夫なの、それ? ミーちゃん偉く心配してたけど」
「心配しても何しても、カエちゃん帰ってくるの、待つしか、ないかな。お仕事だし」
集中していたら、こっちは問題さえ起こらなければいいって反応になるのも、仕方が無いよね。
そんな風に、玲央君と2人で話していたら、ギナちゃんに突っ込まれる。
『ママ、今度は何始めたの? 仕事って、まだ、病み上がりでしょ?』
「始めたと云うか、お仕事、時代劇出るの。多分、明日から、撮影だって」
「は? もう?」
タックさん迄言い出す。
「言っておきます。私に止めるのは無理だし、今度は気を付けるけど、それでも、それも、どうにもならない事です」
「ぶっ」
玲央君が噴き出し、タックさんとギナちゃんを見る。
「今日ね、希更、周りに散々言われた後なんだよ。勘弁してあげて」
本当にね。
私が言ったからって、カエちゃん止められる訳ないのに。
皆して、私に文句、言うんだもん。
ミーでさえも。
アイツは許さん。
「セイちゃんがいても、止められるかどうか怪しいもんだよ」
「清牙なら、力技で止めるんじゃないか?」
『監禁緊縛からの抱き潰し。目に見えるようだわ』
カンキン…は、換金ではなく、監禁だろう。
「キンバクはナニ?」
『縛るのよ』
ああ…って!
「ダメでしょ! 皆どうして、そう云う事したがるの?」
「いや、そこで俺を見ない。俺には、そんな趣味はない。そんなに面白いもんでもないし」
「タックさん!?」
『やっぱ、やってんじゃない!』
「いや、ここで親の微妙な趣味を聞かされる、僕が更に微妙」
『ええ。エロスは極めましょうよ。色々やってこそ、分かるモノでしょ』
あれ?
もしかしたら、今、聞いちゃっても良くない?
「ねえ。男の人同士って、どうやってHするの?」
「「…」」
親子は固まって目を逸らした。
そしてギナちゃんは、画面から消えたと思ったら『アッハハハハ!』と大爆笑が聞こえる。
「いや、希更? 何がどうして、そんな事言いだしたの?」
玲央君が困った顔で聞いてきたので、素直に答える。
「今日ね。玲央君がミーとお昼作ってる時に、芙蓉に、カエちゃんとセイちゃんが結婚した事言ったのね。そうしたら、芙蓉が、セイちゃんは男の恋人さんが居たって噂の話? 言ってたの」
「いや、清牙に今まで、特定の相手はいないだろ」
『そうよね。行きずり一度こっきりとか、セフレは結構いたけど。恋人なんて、聞いた事ないわよ?』
うん?
「セイちゃん、恋人いなかったの? 今まで1人も?」
「清牙はまあ、アレだからな」
『一桁で童貞切ってても不思議じゃないわよね』
「流石に、そこまでは無いんじゃないか? ただ、アイドルデビュー頃には、もう、女が群がってたけど」
「うわぁ、清牙さんって、絵に描いた様な…」
なんか、皆で納得してるんですが、私には、意味が全く、解りません。
「セイちゃんは、恋人でもない人と、Hな事をしてきたって事? そして相手が、一杯? 男…あれ? 女? うん? なんでカエちゃん?」
男の人が好き?
女の人も好き?
でもセイちゃん、遠野さんとかとは話すけど、他のスタッフとはほとんど話さないしな。
大抵、ジャイゴとか舞人君とか駆郎君に怒られ、そしてカエちゃんに甘えに行って更に怒られる。
セイちゃんが、カエちゃんの事、結構好きなのは間違いない。
セイちゃん、分かり易いぐらいにカエちゃんにべったりだし。
カエちゃんも、分かり易くセイちゃん甘やかしてるしな。
けど、なんだろう?
「そう云う、好きです、お付き合いしましょう…みたいなのは、一切ないよ? 結婚だから、ちょっと違うんだろうけど、今までと一緒? じゃれて甘えて甘やかして、よく喧嘩してる。全然、変わった感じ、しないし」
「「『ぶふっ』」」
なぜに、私が真面目に言うと、この人達は笑い出すのか。
「恋人関係も、始まりは色々、だからな」
それは、私にも分かるんですけど。
『清牙は所謂バイセクシャル。男も女も、どっちもイケるの。ただ、ママの胸には、誰も、勝てなかったのねぇ』
「男の人って」
思わず近くにいたタックさんを見る。
「だから、俺を見ない。俺だけじゃなく、男は皆、あの胸は好きなんだって」
気持ちは分かるけど…と玲央君を見れば、苦笑い。
「どうしてそこで僕を見るかな? 僕、楓さんより、美凉華ちゃんが好きなんですけど? そら、あの胸にはグラつくけどね。好きだけどね」
玲央君は比較的素直。
「ミーには黙っていてあげます」
「ありがとうございます」
宜しい。
「つまり、セイちゃんにとっての初めての恋人で、奥さんな、カエちゃん?」
「ああ、そうなるのか…」
言いながら笑ってるタックさんも、大概意地悪だと、思うけど?
完全、面白がってるよね?
そもそもが、セイちゃんもカエちゃんも急展開で、いきなり過ぎない?
どっちもどっち、なんだろうけど…。
『いや、あの時のドヤ顔、忘れないわ。稲本さんも爆笑だったじゃない』
「ライブ前のアレ、な。いきなりの『楓と結婚したから』宣言。アイツ、ああ云うとこ可愛いんだよな」
セイちゃん、本当に、何かしら、いきなりだもんねぇ。
セイちゃん結構な我が儘で、タックさんにも…誰にでも、言いたい放題、なんだけど。
タックさんにはそれが、可愛いとなるらしい。
カエちゃんはそれ見て聞いて、プリプリ怒ってるんだけど。
まあ、それだけ、タックさんが大人なんだろうなぁ。
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