泡沫の欠片

ちーすけ

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波状攻撃爆散

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カメラ機材抱えた、大物機材抱えた一団は、スーパー侵入はさすがに断念したらしい。
まあ、普通スーパーとかは、店内撮影ご遠慮下さい、だから。
私有地での撮影には、事前許可と、その告知が必要。
公共機関だともっと酷く、事前申請で前払い請求される。
現場としても、この日撮影ありますから、ご協力下さいって、入ってくる人間に案内警告出すのだ。
顔出し嫌なら、その時間避けろって、事ですね。
だがそんなお約束はなんのその、手持ちの小さいのや小型録音機械なら…と、張り付いて来たその他大勢。
多分、10人くらいはいる。
そんなの無視で青果コーナーを早々抜け、人もまばらなスーパーで、注目の的。
当然そうなれば、責任者が出てくる。
私達ではなく、撮影器具持った怪しい団体に。
「店内で撮影録音はご遠慮下さい」
にこやかな、店長さんなのかその次の人なのかは分からないおじさんの、あっさりはっきり対応に、機材抱えた一団の一部が躊躇って離脱。
残ったのはそれをガン無視した馬鹿達。
その間も尚、馬鹿みたいに撮影続けており、人の迷惑どころか、数少ない他の客からの白い眼で睨まれる事すら、どうでも良いくらい、仕事熱心な模様。
あまりな姿に清牙は溜息吐いてから、私に、足をぶらぶらしている拓斗を押し付けた。
「お前らいい加減にしろよ。ここはスーパー。買い物客が来る場所だろうが、買わないなら出て行け。そして、撮影録音するなって言われてんだろ。店のルールは守れ。守れないのも、出ていけ。本気で警察呼ぶぞ」
真っ当な、怒鳴るでもない、嫌そうな清牙が喋ってる間もパシャパシャ。
本気の馬鹿じゃなかろうか?
清牙はその一団を見た後、スーパー責任者らしい人に告げた。
「俺は外にいる。だから、こっちの奴らでだけ、買い物させてくんない? このチビのやら、今必要なもんがあるから。楓」
「はいはい。清牙のオヤツも含め、買っとくけど、1人で外いんの?」
1人になったが最後、馬鹿みたいに取り囲まれて、清牙身動き取れなくなって、不機嫌になって暴れない?
護衛はともかく、抑止力皆無って、清牙ちゃんと、我慢出来る?
「それしかないだろ。俺が外出れば、此奴らも外で張り付いてんだろうし」
そうなんだろうけど…そう思ったところで、スーパーの責任者さんは、笑顔で清牙に言い切った。
「お買い物されて下さい。お引き取り戴くのは、こちらの方々です。警察呼んで、正式に被害届も出し、本部の顧問弁護士に即動いて貰います。カメラ録音機器を今すぐ停止して下さい」
その言葉に、店の人間が後ろで動くのが分かった。
その対応に流石に不味いと思ったのか、一団は顰めっ面で清牙見て、責任者さん見てから出て行った。
口汚い罵りを告げながら。
中には買えばいいんだろと怒鳴るのもいたが、そいつの前に立ちはだかって移動を阻止。
軽い問答の後、購入中の一般客の方がそれを撮影し始め、それを受けてやっと、嫌そうに出て行って、一般客も撮影を止める。
周りのご購入中の方々、ご協力ありがとうございます。
序に、清牙撮影してたのは見なかった事にしますので、くれぐれも余計な事はしない様に。
小遣い稼ぎとか余計な事考えると、酷い目に遭いますぜ?
それらの心配をものともせず、周りに深々と頭を下げたおじさん。
清牙に向き直って笑顔。
「ごゆっくりどうぞ。先ほど申しあげた通りに、処理させていただきますので」
ああ、警察も、お店責任で呼んで処理してくれんだ。
その人に見守られて、清牙は一瞬悩んだ後、困ったように頭を掻いてから、頭を下げた。
そして、店内のカゴを持つ。
そのまま、お総菜コーナーに直行。
「清牙、まずは、拓斗のだよ」
お前のはきりがない。
拓斗の飲みきりパックジュースとパンと、小分けされたお菓子に乳製品。
「拓斗、ヨーグルト何が良い」
「ぱんまん!」
うん、分かった。
もう、適当で良いのね。
手にした、幼児用の小さ目パックに顔を顰める清牙。
「そんなチマチマしたの、いくらあっても足んねぇだろ」
「清牙はな」
拓斗の基準で、モノ考えろや。
それでもまあ、大目に買っとけば良いのだ。
多い分は清牙がいる。
余る事は無い。
残りは清牙の口に突っ込めばイイのだから。
賞味期限の心配もいらない。
後は、間に合わなかった時の事を考えて、子供用の歯ブラシに歯磨き粉、か?
小さめのノンカフェインのお茶も適当に。
「塩野君。あっちの買い物はドラックストアと百円ショップだっけ?」
あっちでも茶やらは買ってくるかもだけど、水分も余る事は無い。
保存も効くし。
それもまた、期限近付けば、清牙の口に突っ込めばイイ。
清牙さえいれば、飲食物の処理が楽で良い。
「深夜営業している子供服チェーン店があるので、そちらから回ると」
だったら、布系…タオルやら、除菌ティッシュ関連はいらないか。
石鹸関連の類も、あっち任せで。
「拓斗、何かいる?」
「カボ!」
カボチャ、残り、清牙がオヤツにしたらしいしな。
「いっそのこと1玉買う?」
「ミーが、オヤツ作って待ってるって」
そこに希更の緊急情報。
「ミーがなんだって?」
「セイちゃんの部屋で、オヤツ作って待ってるらしい」
なに、やってんの、あの子?
「って云うか、鍵は?」
「合鍵持ってんぞ」
清牙がいきなりの爆弾発言。
「え? やっぱ付き合ってる?」
「勃たねぇっつってんだろ。待つのも事前連絡も面倒だから、好きに来いって、ミーに渡した」
イヤイヤ、アンタ、不用心過ぎる!!
「淋しいから、早く帰って来てって言ってるよ」
あの子はあの子で、なにをやってんのか?
「門限は?」
「お泊り許可取ってきたんだって」
誰にって、そら、御園さんだよね。
御園さぁぁん。
確かに、清牙相手なら、そう云う心配はないんだけど、世間様の…。
まあ、職業柄?
何をやっても過剰反応されるしな。
まあ、良いか。
私も希更もいるので、言い訳は成り立つ。
何より今現在、部屋の主が部屋にいない。
親密さは強調されるが、下種な勘繰りは働きようもない。
「よし、食いもん!」
そして勢んで、総菜コーナーへ。
そら、夜の総菜コーナーに種類はない。
だが清牙は、新たなカゴを持ってパカパカ入れていく。
「めっ! がお、めっ!」
そして清牙、拓斗になぜか、怒られてます。
「ん? なに? お前もいるの?」
「がおっ、め!」
清牙がかごに入れる度に怒っているので、かごに入れるなと言っている…?
「多分、清牙が、悪戯か何かで、かごに食べ物入れてると思ってんだろうね」
拓斗が、遊び感覚で勝手にカゴにモノ入れて、そうやってタテに怒られた経験があるのだと…。
「ん? 俺のオヤツだからイイんだよ」
「オヤツなら、ミーが用意してるよ?」
希更、そんな真っ当な正論、清牙相手に言って、何の意味があると?
「それも食う。これも食う。ってか、アイツの作るの、甘いのばっかだし、軽いんだよ」
今現在、晩御飯食べた後…大もりチャレンジ普通にしてきた後だとかも、そう云う一般的な理屈は、清牙には通らない。
「全部食べるんだよね?」
「食うぞ」
希更の顔も引き攣ってます。
「がおっ、め! もっちゃ、なっ! め、なの!!」
拓斗がなんか一生懸命…?
「もしかして、そんなに一杯買うなって心配してるの?」
「あい! もっちゃ、ない!!」
拓斗ドヤ顔。
タテ?
お前、拓斗の悪戯防止や欲しい攻撃に、どんな言い訳使ったの?
効果はてき面だけど…。
「ああ、勿体無い、なのか。面白いのな」
本当に。
「心配しなくても、俺金持ちだからな。拓斗も好きなの入れろ」
「ないっ!」
何がだろうか?
ジタバタしてる拓斗を片手で抱き上げ、満足したのかレジへ。
カゴ2つになったが、そのうち1つが総菜山盛りでバランス面倒で大変そうだが、まあ、清牙だし。
そのまま終わりそうになった頃、私の持っていたカゴも取り上げられた。
「清牙、それは領収証とって」
「これくらい、イイだろ」
「いや」
「はい、宜しく」
清牙に背中を押されてしまい、希更と目を合わせて溜息。
「セイちゃん。ジャイゴに怒られるよ」
「怒らせとけよ。アイツ、細かいんだよ」
お前が雑なだけだ…との言葉を飲み込み、会計時に揉めれば、店に迷惑がかかると諦める。
キャッキャする拓斗を清牙に任せ、レジ袋二つに買ったものを入れていく。
総菜とその他に分けて。
そしてその荷物もまとめて持とうとした清牙の背中を叩く。
「斜めにすると、総菜の汁出るでしょうが」
「あ、そう、なの?」
あんた、総菜買った事ないんか?
いや、清牙だし…。
「私持つよ」
「結構あるぞ」
だけど、護衛任務中の塩野君には荷物持ちはさせらんないし、希更にも無理。
残ったのは私しかいない。
「結構、力持ちだから平気」
筋力はないけど、たぶん行ける。
総菜だから、バランスは必要だけど、詰めたの私で、どこに重心持ってけばいいかは一番分かってるので、重さは無いの分かっているし、問題はない。
距離歩くのは、勘弁して欲しいけど。
「タクシー捕まえるか」
そう言って清牙がっさっさと出ていき、赤いネオンが。
本当に警察いる。
だけど、警察はこちらにチラリと視線を流しただけで、終わった。
そのままあっさりタクシー捕まえて清牙のマンションに。
「清牙、拓斗、いるからね」
「ああ、だから?」
清牙に意図が伝わったかどうか不明。
だからこそ言いたい!
行き先が清牙の部屋なのはもう、仕方がない。
だが、私、首輪断固拒否するからなっ!!
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