泡沫の欠片

ちーすけ

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波状攻撃爆散

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取り敢えず、警察が報道陣誘導している間に、希更と姉ちゃんにマユラは移動。
マンションに、新人護衛3人と塩野君とで運ぶんだそうな。
若干揉めた末、そこになぜか、駆郎君が同行。
希更と離れたがらなかったんだよ。
どうせ、この後仕事にならない、なんだと喚き、くっついて行った。
叢生の皆さんもここでお別れである。
マネさん一人も連れていなかったんだけど、男だらけだから大丈夫と、マユラと鈴鹿と握手して泣きながら帰って行ったバンドメンバー。
無事帰りつくことをお祈りしています。
マー君は本日の撮影班とこの後移動して、編集に入る。
そこには後日課長さんが合流して、出来たのからさっさと警察HPで上げていくらしい。
残りの舞人君と夏芽君はそのまま事務所に。
岡野さんと連携取りつつ、もしもの時は、舞人君がSPHY代表代理として、前面に出てマスコミ対応するんだそう。
そして私はメグさんと浅見さんと、なぜかの清牙と一緒に王卿ホテルへ。
清牙に事務所行けって言ったんだけど、護衛が足りないとか言って着いて来たのだ。
健吾君がマスコミ引き付けているので、安全の為、別所さんも置いてきてた。
なので、浅見さんしかいない現状。
言われればそう、なんだけどさぁ。
誘導に引っかからなかったと云うか、大手は何人か動かせる人員余裕があったらしく、外に残っていて、解散後の分散移動にそれぞれ、少数ながらついて行ったみたいだけど。
なので、私達の移動にもついて来た。
ホテルのガードマンに止められていたので、私達はすんなり中に移動できたのだけど。
開場は小さめ。
まあ、本日記者会見に立つのは私なので、そこまで報道陣は来ないだろうって事らしい。
何でも、他でも何件か、同時間帯にあるらしいので。
その情報を持ってきたマー君に、健吾君は笑顔で「でしょうね」と返してたけど。
そんなこんなで、ただいま待機中。
前もって用意されていたらしいお弁当セットを清牙の口に突っ込みつつ、お話し中です。
「それで、あの報道陣の逆撮影使って、CM作っちゃうのよね?」
メグさんの言葉に頷く。
「すみません、衣装破いちゃって」
「それはいいよ。良くあることだし」
因みに、衣装はSPHY事務所で買い取りです。
衣装は清牙の馬鹿力で破いてしまっているので、買い取っても後どうしようもないので、玲央君にあげました。
玲央君楽しそうに胸に抱えて、慧士君と璃空君に見せると笑っていましたけど、大丈夫なんですかね?
一応、玲央君のあられもない姿が、CMに大写しになることはありません。
布が引き裂かれる音ぐらいと、鈴鹿の合間から、結構際どいことになってるんじゃないかって、姿が想像出来るかなぁって感じくらいは出すかもしれないけど。
むやみに未成年を刺激するつもりはないのだ。
そこに刺激される、ド変態を喜ばせる必要もない。
「報道陣逆撮影からの、鈴鹿ちゃんの心底嫌そうな『最低』の横顔の後に、テロップ?」
「そうですね。ですけど、報道陣のフラッシュそのままだと、映像がアレなので、白黒にします」
ひきつけ、てんかん、怖いし。
「スローにして、鈴鹿のドアップで色戻して、また白黒にして『怖い』『止めて』『助けて』のテロップです。本当なら、ここにSPHYと叢生の演奏シーンとか入れたかったんですけど、そこまでするとあからさまで嘘臭いので」
「別撮りすればいいじゃん」
一応食うもの食って落ち着いたらしい清牙の言葉に、首を振る。
「今回は時間が無いからこのままでいいよ。どうせ、SPHYでも、今日の撮影分、直後、ノーカットまで言わんけど、結構まんまな内容版で、会員限定で流すんでしょ?」
浅見さんを見れば頷く。
「社長はその準備してますよ。流石に、あのままでは未成年に見せられません」
だよね。
清牙と駆郎君の爆弾発言も、柔らかく、端折って端折っての話にする筈だ。
あまりにも刺激が強過ぎる。
だが、年齢制限して注意喚起さえ前振りしておけば、多少の過激さは許される、筈。
アレ間違いなく、そのままの方がインパクトでかいし。
壮絶な嫌味は、そのままの方が効果高いって。
「これで、少なくとも後出しじゃない。知らなかった証明に、なるのかな」
「…楓さん? 貴方、どこから何聴いてるんですか?」
浅見さんの怖い顔ににっこり返しておく。
「何も知りません。状況判断ですよ」
「ん? 今日、なんかあるのか?」
清牙まで聞かされてないとか、徹底してるね。
「さぁ、知らない」
「楓」
だから、胸を鷲づかむな!
「健吾君に聞いて下さいな」
「健吾に聞くより、楓のが素直…」
そこで言葉を区切り、メグさんを睨む清牙。
「なんか知ってるなら吐け」
「だから、私が何を知ってるって言うの? ただのメイクじゃん」
「健吾から何も聞いてないのか?」
「だから、只のメイクに、事務所社長が何言うのよ?」
「嫁だろ」
「読めない?」
会話が噛み合ってなかったのは一瞬。
睨み合いに焦れた清牙が唸る。
「今、妊娠してんだろ?」
「「……」」
2人の静かな睨み合いに、浅見さんが机を揺らす。
「え? は? に、にん、しんって、メグさん、健吾と出来てたんですか!?」
そして、関係各者…知っていなければならない筈の護衛責任者が、全く知らなかった事実。
清牙はねぇ、獣だしな。
「清牙、気付いてたの?」
「匂いが違うし」
匂いで妊娠判断するとか、此奴は獣で間違いない。
「1年くらい前から、2人からお互いの臭いしてた」
そして体の関係すらも、匂いで判断出来る異常性。
「私、アンタが嫌がるから、香水1つ使ってないけど? 健吾だって使ってないじゃん」
「精液の臭いさせてくんな」
「……シャワー浴びてんのよ、こっちは!!」
ですよねぇ。
なんで、それが分かるのか?
清牙よ…。
「えっと、これ? どこまで周知報告? あ、白爺に確認? え? 記者会見? 健吾!!」
浅見さん、急激な情報に大混乱中。
「もおっっ、やだっっ! なんで、こんな、この…有り得ないっ!!」
そしてメグさんも壊れる。
まあ、このタイミングで暴露する予定はなかっただろうしなぁ。
産むつもりはあったみたいだけど、結婚まではどうなのか?
そこに加えて妊娠出産ともなると、大事である。
メグさんの地位、そこまで低くないし。
因みに、健吾君はかなりその気みたいなので、秒読みじゃないかと思われるのだが、今現在は、憶測でしかない。
下手に言えば、メグさんが余計混乱するだろうし。
「ゴタゴタ終わったら結婚式ですかね? 早めにしないと、ドレス種類選べなくなるだろうし」
「しないわよ! 着るなら、出して体整えてからやる」
まあ、それが一番無難かな。
「つまり、結婚式はするんですね?」
「いや、そう、派手にとかは良いよ。なんか、タイミングと云うか、披露宴? 面倒臭い。写真だけあれば証拠は残る。それでイイから。この際、子供も一緒にが良いし」
そんなつらつら言い訳並べるメグさんに、清牙は不信顔。
「まだしてないんか?」
え?
清牙の中では結婚まで成立してたの?
そんな何か、聞いたとか?
いや、まあ、健吾君だし、どうだろう?
メグさんを見たら全否定。
「してないよ! そんなもん書いた覚えだってないし」
「ふうん」
意味ありげな清牙の返事に、視線が清牙に集中。
清牙は普通に炭酸水を呑む。
そのまま浅見さんを見れば、慌てたように首を振る。
「俺は今聞きました! 今、知ったんですよ? 健吾が何かしてるなんて話も一切知りませんし、関知してません!!」
まあ、浅見さんの嘘なら見抜ける。
だけど、健吾君は難しい。
そして清牙は、嘘はあまりないけれど、とんでもないことを平然といきなりしだすので、分かり易過ぎて、逆に分かり難い。
「清牙、なんかあるの?」
「いや。なんも聞いてねぇ。けど」
だから、意味深で会話切るなよ。
「まあ、健吾に聞けよ。今更、誤魔化さねぇだろ、それは」
やっぱなんかあるらしい。
「メグさん?」
「私が、本当に知ってると思う? アレが、余計な事私に言うと、本気で思う? 知らないわよ!!」
逆キレです。
まあ、気持ちは分かる。
健吾君の場合は、嘘つく騙すとかではなく、安全の為に余計な事はメグさんに言ってないって可能性が高い訳で。
フォロー出来はするけど、し難いと云うか?
「良い機会だから、ジャイアンには言っといた方が良いじゃない?」
一応と云うか、正真正銘、立場と云うか、色々取っ払えば、健吾君のお父様。
序に言うと、今言っとかないと、直接話すのは、次は何年先になるのか、分からない。
あの人は、家族に金銭的な迷惑は掛けないけれど、その他お騒がせは引き起こす、間違いない自由人だ。
何が起こるか分からない。
「知らないわよ! 紹介もされてないのに、私が言う方がオカシイじゃない!」
「紹介はしてなくても、勝手に言ってそうな健吾君」
「「ああ」」
男2人の言葉に、メグさんが机に突っ伏す。
「もうヤダ」
ですよねぇ。
「落ち着く前に、メグさんの側にも、報告しとかなきゃ…じゃないんですか?」
いきなり芸能事務所社長、高額納税者への嫁情報は、家族にはキツいと思う。
いくら、芸能人慣れした一族でも。
「皆知ってる」
「え?」
その、嫌そうなメグさんの顔に、一瞬対応が止まる。
「やった直後に、アイツ、勝手に母ちゃんに報告しやがった。それで喧嘩した」
「ああ、あの、一時期の冷戦、ソレでしたか」
浅見さんでも、今だからこその、心当たりあったらしい。
「いや、健吾君、無いですよね? 本人確認の前に親に行きます?」
本人の意思確認なく、勝手にご両親の承諾とか。
「だよね!? 隠す必要性も無いし、序があったからって、わざわざ、京都の母ちゃんに直接会って身体の付き合いがあるとか言ったとか、そんなん聞いたら、怒るでしょ!?」
「ないですね」
「でも、まあ、母ちゃんも、好きにしていいけど、子供出来ても面倒見ないから、自分達で何とかしろって宣言されたしで、諦めもついた」
いや、まあ、孫デレ出来る程、時間の余裕のない方みたいですし、そうなんでしょうけど。
「代わりに、姉ちゃんが、面倒は旦那に任せろって」
そこでお姉さん自身じゃないところが、らしい。
お姉さんも、お仕事好き、みたいだしなぁ。
メグさんは美容師寄りの万能型。
お姉さんはスタイリストでエステ寄りの、経営者、なので。
私が髪切ったり色々でお店に行くと、メグさんと二人で口論になり、穏やかそうな旦那様がまあまあ言いに来る。
旦那様は因みに、メイク寄りの美容師。
「母ちゃんと姉ちゃんに、まるで結婚しないでイイみたいに言われて、腹立たしくて、このままだったら結婚迫るからって健吾に言ったら「指輪渡しましょうか?」って言われた」
え?
「それって、指輪あるんですか?」
「あるよ。なんかでっかい石ついてて怖いから、健吾の金庫の中」
うーん?
「それってもう、普通に婚約って言うと思うんですよ」
「プロポーズされてない」
「健吾君、ダメじゃん」
「だから、普通に許さん!」
まあ、複雑な乙女心だよね。
健吾君忙しい…色々周りがごたついているのは分かるけど、そこの手抜きは良くない。
ただ、健吾君の事だけに、改めて…はありそうだけど。
その時、メグさんが可愛らしく反応する事にほれ見ろと言わんばかりに、ほくそ笑んでいる健吾君は、気持ち悪いかもしれない…。
だから、タイミング、計ってるのかも?
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