白薔薇のキミ

土方かなこ

文字の大きさ
3 / 3

バラ子

しおりを挟む


カヲルはポケットにはいっていた鍵をクルリと器用に回して鍵穴に差し込む

するとぎィと重厚な音を立てつつ分厚い扉が手前に開いていった


「あのっ 私 ほんとに」

「いーから いーから」

ニコニコと涼しい顔をしながら重そうな扉を開けバッと手を広げた


「ようこそ 我が屋敷へ」


モモ子は思わず目を見開く

いったいどこから見れば良いのかわからなくなるほど 美しい調度品がそこらかしこに散らばっている


あっけにとられだまっていると空間をつんざくような女性の声が響いた


「ちょっとカヲル!!

どこいってたのよアナタ!!

ヤローには興味はないけどシロ子の近くに控えるのなら相応の格好をしてもらうわよっ」


びっくりして声のする方をみるとそこには大輪のバラのような女性がすさまじい勢いでこちらに駆け寄ってきていた

真紅の帽子にドレス、ミュールに唇、爪

一見すると貴婦人に仮装しているかのごとき様相だった


しかし本人のゴージャスな雰囲気と顔のパーツに相まってすさまじい迫力のある美女に仕上がっている


「へいへい わかってますよー

もうにげないってば それよりもお客さんが来たんでちょっとまってて

あ、そこのソファ座っててよ いまお茶出すから」


大迫力の女性を ひょうひょうとあやしながら屋敷の奥の部屋へとカヲルは消えてしまった

残されたモモ子は気まずい思いをしながらバラ子に視線を移す


「ここの屋敷の方ですか?」

「ふーん 悪くないわね ちょっとバランスはわるいけド」


明らかに胸部を凝視しながら品定めをするように見つめられる


「えぇっ あの そのお」

「ちょっと バラ子さん セクハラしない」

「あらぁ 貴方がわるいんじゃない もう観念しなさいよ」


どこからともなくメジャーを取り出しカヲルににじり寄る

「はぁ このまえ新調したばっかじゃなかったっけ
モモ子は紅茶きらいじゃない?」

「大丈夫だよ ありがとう」

うんざりした様子でトレイをテーブルに置き バラ子に向き合う

「さ どうぞ 今日の仕事はほとんど終わったようなもんだし お好きにどーぞ」

「まったく あら 少し筋肉がついてきているわね

 胸部の厚みを作り直さなきゃ」

魔女のように真っ赤で長い爪をカヲルの体に這わせ うっとりとほほ笑む

「やっぱり いーい体ね

この時期のオトコがいちばん好みよ」

「そりゃ どうも」


モモ子は紅茶の香りを吸いこみ ホウと息をはく

こんなに香り高い紅茶は初めて

すこし柑橘系の香りがするわ


頬を染めながらソファに身を沈めたその時


「お客さまを紹介してもらえるかな カヲル」



背後から柔らかく中性的な声が響いた


思わず振り返るとそこには 見事な白髪と宝石のような碧目をもった美少年が微笑んでいた




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども

神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」 と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。 大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。 文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!

処理中です...