異世界探索記録

土方かなこ

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1章

馬のホワイト

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馬を撫でるルチオを尻目にイオに問う

「本当に大丈夫?」

「あなたに気をつかわれるなんて屈辱だわ」

こんな時でも強気だ

「甲冑は脱いだ方がいいんじゃない?」

「私も同意だ
この先は私一人でも君たちを守るくらいはできるからね 
とにかく馬に振り落とされないようにしてくれないと」

「しかし「イオ」

少し思い詰めたような表情をした後、小さく呟く

「武装 解除」

一瞬にして甲冑が消えると、想像よりも細身の体が現れる

重みがなくなった反動で、地に膝が着きそうになるのを支える

「大丈夫?」
「別になんともないわ」

キッと大きな瞳がこちらを見上げる
年は同じくらいか下にみえる
こんなに若い子が兵士だなんて

強い力で振り払われよろけてしまう
こんなに細いのに力は強いんだ

「さあ 早くこの子達にのりたまえ」

馬小屋から連れられた馬が紐に繋がれヨロヨロ歩いてくる

「僕はじめて馬にのるんですけど」

「本当かい?多少はコツがいるんだけど
私と一緒にのるかい?」

はい、といいたかったが少しヨロついている馬に二人の男を乗せるのは酷に思えた

とりあえず近くにいた白毛の馬に近づき頭を撫でてみる
あれ、思ったより行ける気がしてきた

黒目がちな目がこちらを見つめている

「僕を乗せてくれるかい?」

ヒヒンと小さくなく
ふと、馬の前足を見ると血が滲んでいた
よろついている理由これか

「少し見せておくれよ」

前脚に蹴られるのを恐れながらもしゃがみ、患部を見つめる

何かで切りつけたような跡だ
それも鋭い刃物の様なものだろう

「…いたいのいたいのとんでけー…」

あまりの痛々しさに、患部に触れながらついひとりごちる 
ルチオとイオの視線を感じてハッとする

「これは地球にあるおまじないみたいなものでっ」

流石に頭おかしなやつだと思われたかな

「ちょっと… あなたどうして傷が治せたのよ…」

「へっ?」

「馬の脚よ さっきまで切り傷があったのに、あんな一瞬で」

「私も始めて直接目にした
もしや回復魔法か」

ええっ?魔法って一体なんのことだ
言われて再び患部を見ると馬の脚にあった怪我はどこにもなくなっていた

たしかに先程まで血が滲んでいたのに

もしかして痛いの痛いのとんでけーがホントに通じちゃったの!?

「呪いといったね?君のいた世界の魔法か?」

「いえ、そんな大層なものじゃあ」

「では、なぜ傷を癒せたのだ」

「僕にもさっぱり」

二人の剣幕に狼狽えていると傷が癒えた馬が、僕を守るように前にでる

そして顔をこちらに寄せてピタリと体がくっつく
「…まぁ兎に角町に行こう
話はその後だ」

「名前は何て言うの?」 

馬に問う

じいと見つめて探るがなにも答えない

「じゃあホワイトって呼ぶよ
とても綺麗な白い毛並みだからね」

伝えるとヒヒンと鳴き背中を振り替える
乗れってことかな

逞しい体にしがみついて、上に登る

「うわっと おお目線が高いなぁ
ホワイト僕をどうか落とさないでくれよ」

「なんなのよ、あのこ」

イオがポツリと呟いた


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