信じたあの子は

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第一話

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いつも通りのはずだった。
全ていつも通りのはずだったのに…。
心の奥にぽっかり空いた穴は、あの子がいない限り、埋まることはなかった。

「明日奈ちゃん。早く起きないと、遅刻しちゃうよ…。」
お母さんが私がいつも寝ている押し入れの前で泣いていた。
私が、何かしたのだろうか。
「明日奈ちゃん。早く起きて!学校に行かないと…。」
もしかして、お母さんのお気に入りの花瓶を割ってしまったのだろうか。
これは、危険だ。
お母さんは、怒ると24時間構ってくれないから。
「行ってきます!」
この声にお母さんは返事をしなかった。

「あ、リリアだ!リリアー!おはよ!」
いつも一緒に遊んでいる友達なのに、今日は返事がなかった。
「ちょっと寂しいよね。」
「まぁ、私たちのせいじゃないんだから、仕方ないよ。」
「マジで、怒ってるよ、明日奈に。」
あ…。
二人に気づかれていないことがわかったからこそ、悲しかった。
リリアも百花も私の事に怒っているんだ。私、何かしちゃったかな…。
少し苦しさを抱えながら教室に向かった。
私は、教室に入れば、居場所がないことはない。だって、大親友の…あれ?名前が思い出せないや。
でも、大好きな子がいたのは確かだ。
その子がいたら、大丈夫!
「おはようございます!」
いつも通り、一直線に親友の席に向かった。
でも、そこには、赤い花が置かれた机が孤島になって残っているだけだった。
赤い花…いじめでもあったのか…!
「あいつ、マジでやばいよね。」
クラスメイトの女子達が、親友の席を見て口々につぶやいている。
何が…何がやばいんだよ!
もしかして、親友はいじめに苦しんで、不登校になってしまったのか…?
「先生、あの、名前をど忘れしてしまったんですけど、親友はどこにいるんですか?」
「…。」
先生も、返事をしてくれない。
なんで、みんな私を無視するの?
すると、先生が、言いづらそうに話し始めた。みんな席に着いていたので、私も席に着こうとした。
でも、席を忘れてしまったので、親友の席に座った。
「みなさん…。悲しいと思います。クラスメイトとして。責任感があると思います。でも、事実は事実です。あの子がいなくなっても、みんなで団結して、生きて行きましょう。苦しいことがあったら先生に言いなさい。絶対に。あんな手段なんて、選ばないように…。」
私は、その「あの子」と「あんな手段」が知りたかった。
あの子は、親友?あんな手段…殺害…いじめ…自殺…いろいろと出てくるけど、信じたくない。
「あの子の事情を調べるのは、先生たちの仕事だ。だから、気にしないでくれ。」
親友は、自殺なんてする子じゃなかった、たぶん。
「じゃあ、一時間目の用意をしなさい。」
先生は、自分の担当の音楽室へ行った。その時、変な紙を落とした。
あの子の名前と、その下に、住所が書いてあった。
ここに行けば、何か分かるかもしれない。
私は、その紙を頼りに、親友を探しに行くと決めた。
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