5 / 69
第一戦 VSシリウス 少年と臆病者の剣《チキンソード》
病室への来訪者/魂の研究者
しおりを挟む
同日深夜、琢磨と青年、“乾裕司”は即座に駆け付けた栗本の判断により救急車で病院に送られ、緊急検査を受けに行った。そしてどちらも極度の疲労で点滴を打たれて入院という運びになった。
それは、生命転換の原理を考えれば当然のことである。あれだけ命を使い倒したのだから体にガタが来ていないほうがおかしいのだ。
それが、魂が強くないと生きていられなかった者たちでもだ。
人の魂は苦難を受けることで成長する。故に生まれながら心臓に爆弾を抱えながら、時に爆発しかけて死にかけながら生きてきた琢磨の魂は常人よりも強いのである。
だが、それでも死にかけてしまうほどに今回の戦いは激戦であった。それは大きな苦難だったはずだ。だから琢磨と裕司の魂に大きな変化が訪れるだろう。
「だからこのアプリをいれテ、魂の変化状態を確認させテほしいんだけどナ」
「すまない風見、誰だこの白衣の女は」
「帝大の牧野さん。魂に関係する研究をしているそうです」
「よろしくネ。お二人さん」
どうして牧野がこんなところにいるのかはものすごく単純に説明できる。メディが治療用にと彼女らの研究データを親父に渡したので、そのアドバイザーとして呼ばれたからだ。
よりにもよってストッパーの末吉さんが別行動の時にだ。
なんて面倒なんだろうと、彼女と最初に接触した時のことを思い出しながら琢磨は思う。
早く来てくれ末吉さん、と。
■□■
「君が風見琢磨クンだね?」などと格好をつけて話しかけてきた白衣の女、牧野は当然に琢磨に警戒された。だがしかし、二人の間に末吉が入ることでなんとかとりなした。善人とはこういうところが強いのだ。
そうして場所を移したそこは、琢磨の家から少し離れた場所にある喫茶店。あの会話の後に、鳴ってしまった琢磨と白衣の女性の腹の音からとりあえず飯にしようと琢磨の行きつけのこの店に案内することになったのだ。もちろん彼女たちの奢りで。
「先輩、格好つけてないで事情話しましょうよ。風見君困ってるじゃないですか」
だが、そこから先が続かない。お互いにランチタイム用のホットサンドセットを頼み、お互いに同じおすすめの紅茶を頼み、お互いに無言で食事を食べ終える。そして声をそろえて言う。「ごちそうさまでした」と。
「じゃあ、君が風見琢磨君でいいのヨネ? さっきは当てずっぽうだったんだけド」
「はい、そういうあなた方は?」
「私は帝大で院生やってる牧野ダヨ。こっちは後輩の末吉。昨日の事件のことを勝手に調べてる者サ」
「あれ? なんで突然フレンドリーに?」と困惑する末吉さん。だが、仕方がないだろうと琢磨は思い、そもそも全く気にしてないのが牧野だった。
要するに、末吉が食べていないホットサンドがとても美味しかったのでこの“基本的に食べ終わってから話すタイプ”の二人はとりあえず食べるのを先にしようというのをアイコンタクトで交わしたのだ。常識からのはぐれモノ同士気が合うのだろう。その方向性は別にしても。
「デ、昨日の狼の話どこまで本当? キミがそんなに動ける子じゃないのは見てわかったんダケド」
「どこからその話を?」
「後輩の矢車ちゃん、一緒にいたカップルの生き延びた方ネ」
「じゃあ、俺視点での話はこんな感じです」
そうして本日何度目かわからない説明を牧野達に行う琢磨。今回はだいたい聞いているだろうから大雑把なものだ。それでも彼女たちは証言に確証が持てたのか少しの喜びを感じていた。しかし、それ以上に義憤を感じていた。
「それで、君の言うゲーム、《Echo World》はどんなゲームなノ?」
「まだわからないですね。なにせチュートリアルは“その世界で死ね!”でしたから」
「え、何それ」
その琢磨の言葉に引く二人。まぁ普通の感性ならそんなものだろう。そう琢磨は納得した。二人が納得していないのは琢磨の精神性に関してだったのだが、そこはお互いに知らないほうが幸せだったのだろう。
「それで、お二人は何をしていたんですか? バイクの反応がどうとか」
「アァ、それは……あんまり好きな言い方じゃあないんだけど、付喪神って知ってるカイ?」
「大切され続けたモノが神様になるっていう奴ですか?」
「おおむね合ってるよ。私達はその研究をしてるのサ。もっと正確に言えば、物質への魂の定着現象への考察が私のテーマだよ。末吉クンは魂の強度と極限状態での装備の損耗率を研究してるね。マァどっちもモノへの魂の強さが関係しているから、こんなノをちょっと作っタのサ」
そうして見せられるのはハンドメイドで作られた機械。なにやらいろいろ言っていたが、要するにモノの魂の有無を識別する機械らしい。
「で、俺のバイクからそれが出てきたと」
「そうだヨ。さすがにおかしいと思って考えたらピンとキタのサ。矢車ちゃんを助けてくれた少年がバイクをぶっ壊してたってね」
「後は勘サ」と白々しく言う牧野。ほかにも多くの言っていない理由があるのは明白だった。
が、そこはツッコむ必要はないので今のところ琢磨は放置している。
「で、その魂が俺にどう関係するんですか?」
「……昨日の夜の状況サ。矢車ちゃんはお世辞にも運動ができる子とは言えなくてネ、狼に追われたなんてことになったら真っ先に死ぬところだったんだヨ。けれど彼女は走りぬけた。体に何の不調もなくネ。そんなのは普通じゃない。だからこっそり彼女の《Soul Linker》に独自開発のアプリを入れて調べさせて貰ったのさ。そしたら彼女の魂はかなり疲弊していた。つまり、魂だけで激しい運動をしたと私達は推測したのサ。君の話でそれは確信に変わったヨ」
それは、一つの異界への解釈。あの異界は《Soul Linker》で見ている夢のように、魂で物事が決まる異空間なのだという推論だ。
そして異界を実際に体感した琢磨は、それがそう的外れではないことを知っている。あの異界は、生と死が現実よりも身近だった。そんな気がしているからだ。
「まぁ、私からの推論はこれくらいかな? あとは末吉クン、補足頼むよ」
「補足と言われても、先輩のは証拠が出そろってない暴論じゃないですか。どこを補えと……まぁ、とりあえずウチの研究室でやってる研究の概要くらいは送っておくね。端末お願い」
「じゃあメディ、ファイル分けよろしく」
『了解ですマスター』
そうして、メディのことで少し驚かれつつも琢磨は魂についての資料を受け取るのだった。
その時、琢磨は少し思った。末吉さんから感じる違和感はどういうことだろうか? と。これまで気にもしなかったその青年は、まるで研がれた刃が鞘走るのを抑えているような不思議な、ある意味現実より慣れているものに似ている空気を感じ始めていた。
「それじゃあ、《Echo World》の詳細を教えてくれるかい?」
「まぁ、詳しくは話すより見たほうが早いですね。600円なんで奢ります。昼代浮いたついでに」
「……んー、わかんないナ。君にメリットないよねこれ以上のお節介ッテ」
「そうですか? あると思いますけど」
「へー。どんナ」
「俺はそれなりの善人のつもりで生きているんですから、義憤くらいは感じますよ」
その薄っぺらい言葉に、牧野さんは納得し
「それは、違うだろ」
そう、これまで平静を保っていた末吉さんにぶった切られた。なんとなく、そう言われる気がした。
「……確かに違います。けど、一応外面を気にして生きてるんですよ俺は」
「うん、わかってる。けれど、これから共に事件を追いかけていく仲間として、君の本音が知りたい」
「末吉クン、さすがにそれは飛躍しすぎてルと思うヨ」
突然の仲間発言に驚く琢磨。対してそんなに驚いていない牧野。どうにもこの二人と話し合うのなら、注意するべきはきちんと鞘に入ったままの彼のほうだったようだと今更ながらに思い、そもそも敵じゃないという考えが頭をよぎって内心苦笑する。そして、正直にその言葉を返す。琢磨にしては本当に珍しく。
「仲間云々は置いておいて、俺の理由は簡単ですよ。……あんな風に消えるのが身内だったなら、俺はどうなるかわからない。それが嫌だからです。一年かけて友人も作れたこの仮面、まだ捨てたくはないんですよ」
その言葉に納得したのか、末吉は先ほどまでの意を鞘にしまい、情けないが優しい青年へと戻った。変心とは違う、そのままで変わるものだった。
「うん、なら安心した。驚かせちゃってごめんね」
「末吉クンのコレは慣れてないとビビるからネ」
「確かに。先にある程度事情を知ってないと勘違いしそうな剣気でした。居合ですか?」
「実家がね」
そんな会話を最後に3人は分かれていく。帝大の2人はネットカフェに、琢磨は自宅へと。
件のゲームのことを教えるために。
■□■
そんな二人のうちの一人が、ストッパーのいない状況に浮かれて面白おかしく動いている。とはいえ魂を調査するアプリはほしいと言えば欲しいのだ。自分のような鬼子の魂を知るために。
そんな言葉を発しそうになった時に病室のドアが開く。牧野のストッパーの末吉だ。
「はいそこまで。二人は疲れてるんだからいったん引来ましょう先輩」
「……せっかくの機会なのに勿体ナイ」
「院長先生が落ち着いたら彼女に対して検査をしてもいいって言ってくれたんですから、横道にこれ以上逸れるのはやめましょう。それで琢磨くん。今回消えた5人の方はどうだった?」
「消える様子のことは、俺にもメディにも良くわかりませんでした。ただ、光になっていくくらいで」
「そっか……生きてるなら生きてるってはっきり言ってほしいんだけどね」
「本当に生きてる可能性ってあるんですか?」
「あの異界での損耗は魂だけなんだろう? なら残った肉体が存在していないのはおかしい。だから、そこには肉体を必要とする理由があると僕らは思ってる。まぁただの仮説でしかないんだけどね」
そんな言葉を残して、二人は去っていった。何か言いたげな乾を残し、次の来訪者へと交代するように。
そうして病室にやってきたのは、つい昨夜もお世話になった刑事2人だった。
「やぁ、2人とも辛いのにごめんね、話聞かせてもらいに来たよ」
足柄は、そう言って二人への事情聴取を始めるのだった。
それは、生命転換の原理を考えれば当然のことである。あれだけ命を使い倒したのだから体にガタが来ていないほうがおかしいのだ。
それが、魂が強くないと生きていられなかった者たちでもだ。
人の魂は苦難を受けることで成長する。故に生まれながら心臓に爆弾を抱えながら、時に爆発しかけて死にかけながら生きてきた琢磨の魂は常人よりも強いのである。
だが、それでも死にかけてしまうほどに今回の戦いは激戦であった。それは大きな苦難だったはずだ。だから琢磨と裕司の魂に大きな変化が訪れるだろう。
「だからこのアプリをいれテ、魂の変化状態を確認させテほしいんだけどナ」
「すまない風見、誰だこの白衣の女は」
「帝大の牧野さん。魂に関係する研究をしているそうです」
「よろしくネ。お二人さん」
どうして牧野がこんなところにいるのかはものすごく単純に説明できる。メディが治療用にと彼女らの研究データを親父に渡したので、そのアドバイザーとして呼ばれたからだ。
よりにもよってストッパーの末吉さんが別行動の時にだ。
なんて面倒なんだろうと、彼女と最初に接触した時のことを思い出しながら琢磨は思う。
早く来てくれ末吉さん、と。
■□■
「君が風見琢磨クンだね?」などと格好をつけて話しかけてきた白衣の女、牧野は当然に琢磨に警戒された。だがしかし、二人の間に末吉が入ることでなんとかとりなした。善人とはこういうところが強いのだ。
そうして場所を移したそこは、琢磨の家から少し離れた場所にある喫茶店。あの会話の後に、鳴ってしまった琢磨と白衣の女性の腹の音からとりあえず飯にしようと琢磨の行きつけのこの店に案内することになったのだ。もちろん彼女たちの奢りで。
「先輩、格好つけてないで事情話しましょうよ。風見君困ってるじゃないですか」
だが、そこから先が続かない。お互いにランチタイム用のホットサンドセットを頼み、お互いに同じおすすめの紅茶を頼み、お互いに無言で食事を食べ終える。そして声をそろえて言う。「ごちそうさまでした」と。
「じゃあ、君が風見琢磨君でいいのヨネ? さっきは当てずっぽうだったんだけド」
「はい、そういうあなた方は?」
「私は帝大で院生やってる牧野ダヨ。こっちは後輩の末吉。昨日の事件のことを勝手に調べてる者サ」
「あれ? なんで突然フレンドリーに?」と困惑する末吉さん。だが、仕方がないだろうと琢磨は思い、そもそも全く気にしてないのが牧野だった。
要するに、末吉が食べていないホットサンドがとても美味しかったのでこの“基本的に食べ終わってから話すタイプ”の二人はとりあえず食べるのを先にしようというのをアイコンタクトで交わしたのだ。常識からのはぐれモノ同士気が合うのだろう。その方向性は別にしても。
「デ、昨日の狼の話どこまで本当? キミがそんなに動ける子じゃないのは見てわかったんダケド」
「どこからその話を?」
「後輩の矢車ちゃん、一緒にいたカップルの生き延びた方ネ」
「じゃあ、俺視点での話はこんな感じです」
そうして本日何度目かわからない説明を牧野達に行う琢磨。今回はだいたい聞いているだろうから大雑把なものだ。それでも彼女たちは証言に確証が持てたのか少しの喜びを感じていた。しかし、それ以上に義憤を感じていた。
「それで、君の言うゲーム、《Echo World》はどんなゲームなノ?」
「まだわからないですね。なにせチュートリアルは“その世界で死ね!”でしたから」
「え、何それ」
その琢磨の言葉に引く二人。まぁ普通の感性ならそんなものだろう。そう琢磨は納得した。二人が納得していないのは琢磨の精神性に関してだったのだが、そこはお互いに知らないほうが幸せだったのだろう。
「それで、お二人は何をしていたんですか? バイクの反応がどうとか」
「アァ、それは……あんまり好きな言い方じゃあないんだけど、付喪神って知ってるカイ?」
「大切され続けたモノが神様になるっていう奴ですか?」
「おおむね合ってるよ。私達はその研究をしてるのサ。もっと正確に言えば、物質への魂の定着現象への考察が私のテーマだよ。末吉クンは魂の強度と極限状態での装備の損耗率を研究してるね。マァどっちもモノへの魂の強さが関係しているから、こんなノをちょっと作っタのサ」
そうして見せられるのはハンドメイドで作られた機械。なにやらいろいろ言っていたが、要するにモノの魂の有無を識別する機械らしい。
「で、俺のバイクからそれが出てきたと」
「そうだヨ。さすがにおかしいと思って考えたらピンとキタのサ。矢車ちゃんを助けてくれた少年がバイクをぶっ壊してたってね」
「後は勘サ」と白々しく言う牧野。ほかにも多くの言っていない理由があるのは明白だった。
が、そこはツッコむ必要はないので今のところ琢磨は放置している。
「で、その魂が俺にどう関係するんですか?」
「……昨日の夜の状況サ。矢車ちゃんはお世辞にも運動ができる子とは言えなくてネ、狼に追われたなんてことになったら真っ先に死ぬところだったんだヨ。けれど彼女は走りぬけた。体に何の不調もなくネ。そんなのは普通じゃない。だからこっそり彼女の《Soul Linker》に独自開発のアプリを入れて調べさせて貰ったのさ。そしたら彼女の魂はかなり疲弊していた。つまり、魂だけで激しい運動をしたと私達は推測したのサ。君の話でそれは確信に変わったヨ」
それは、一つの異界への解釈。あの異界は《Soul Linker》で見ている夢のように、魂で物事が決まる異空間なのだという推論だ。
そして異界を実際に体感した琢磨は、それがそう的外れではないことを知っている。あの異界は、生と死が現実よりも身近だった。そんな気がしているからだ。
「まぁ、私からの推論はこれくらいかな? あとは末吉クン、補足頼むよ」
「補足と言われても、先輩のは証拠が出そろってない暴論じゃないですか。どこを補えと……まぁ、とりあえずウチの研究室でやってる研究の概要くらいは送っておくね。端末お願い」
「じゃあメディ、ファイル分けよろしく」
『了解ですマスター』
そうして、メディのことで少し驚かれつつも琢磨は魂についての資料を受け取るのだった。
その時、琢磨は少し思った。末吉さんから感じる違和感はどういうことだろうか? と。これまで気にもしなかったその青年は、まるで研がれた刃が鞘走るのを抑えているような不思議な、ある意味現実より慣れているものに似ている空気を感じ始めていた。
「それじゃあ、《Echo World》の詳細を教えてくれるかい?」
「まぁ、詳しくは話すより見たほうが早いですね。600円なんで奢ります。昼代浮いたついでに」
「……んー、わかんないナ。君にメリットないよねこれ以上のお節介ッテ」
「そうですか? あると思いますけど」
「へー。どんナ」
「俺はそれなりの善人のつもりで生きているんですから、義憤くらいは感じますよ」
その薄っぺらい言葉に、牧野さんは納得し
「それは、違うだろ」
そう、これまで平静を保っていた末吉さんにぶった切られた。なんとなく、そう言われる気がした。
「……確かに違います。けど、一応外面を気にして生きてるんですよ俺は」
「うん、わかってる。けれど、これから共に事件を追いかけていく仲間として、君の本音が知りたい」
「末吉クン、さすがにそれは飛躍しすぎてルと思うヨ」
突然の仲間発言に驚く琢磨。対してそんなに驚いていない牧野。どうにもこの二人と話し合うのなら、注意するべきはきちんと鞘に入ったままの彼のほうだったようだと今更ながらに思い、そもそも敵じゃないという考えが頭をよぎって内心苦笑する。そして、正直にその言葉を返す。琢磨にしては本当に珍しく。
「仲間云々は置いておいて、俺の理由は簡単ですよ。……あんな風に消えるのが身内だったなら、俺はどうなるかわからない。それが嫌だからです。一年かけて友人も作れたこの仮面、まだ捨てたくはないんですよ」
その言葉に納得したのか、末吉は先ほどまでの意を鞘にしまい、情けないが優しい青年へと戻った。変心とは違う、そのままで変わるものだった。
「うん、なら安心した。驚かせちゃってごめんね」
「末吉クンのコレは慣れてないとビビるからネ」
「確かに。先にある程度事情を知ってないと勘違いしそうな剣気でした。居合ですか?」
「実家がね」
そんな会話を最後に3人は分かれていく。帝大の2人はネットカフェに、琢磨は自宅へと。
件のゲームのことを教えるために。
■□■
そんな二人のうちの一人が、ストッパーのいない状況に浮かれて面白おかしく動いている。とはいえ魂を調査するアプリはほしいと言えば欲しいのだ。自分のような鬼子の魂を知るために。
そんな言葉を発しそうになった時に病室のドアが開く。牧野のストッパーの末吉だ。
「はいそこまで。二人は疲れてるんだからいったん引来ましょう先輩」
「……せっかくの機会なのに勿体ナイ」
「院長先生が落ち着いたら彼女に対して検査をしてもいいって言ってくれたんですから、横道にこれ以上逸れるのはやめましょう。それで琢磨くん。今回消えた5人の方はどうだった?」
「消える様子のことは、俺にもメディにも良くわかりませんでした。ただ、光になっていくくらいで」
「そっか……生きてるなら生きてるってはっきり言ってほしいんだけどね」
「本当に生きてる可能性ってあるんですか?」
「あの異界での損耗は魂だけなんだろう? なら残った肉体が存在していないのはおかしい。だから、そこには肉体を必要とする理由があると僕らは思ってる。まぁただの仮説でしかないんだけどね」
そんな言葉を残して、二人は去っていった。何か言いたげな乾を残し、次の来訪者へと交代するように。
そうして病室にやってきたのは、つい昨夜もお世話になった刑事2人だった。
「やぁ、2人とも辛いのにごめんね、話聞かせてもらいに来たよ」
足柄は、そう言って二人への事情聴取を始めるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
魔力ゼロの落ちこぼれ貴族、神々のエラーメッセージが読めるようになる~「神罰」のシステム権限で学園無双しつつ、本人だけはただのデバッグ作業だと
蒼月よる
ファンタジー
魔法(ナノマシン干渉)が使えず、名門アルマンド家の恥晒しとされた三男アッシュ。
実技試験に落ちて旧図書棟の掃除をさせられていた彼は、謎の遺物(管理デバイス)に触れたことで、世界の最高管理者権限(デバッガー権限)を手に入れてしまう。
「魔法」とは環境中の魔素を操作する事象。そして「神の奇跡」とは環境管理AIの気まぐれであるこの世界において。
アッシュの目には、相手の放つ魔法が単なる『不正なプロセスのエラーログ』として映り、頭の中で『YES(強制終了パッチ)』を選択するだけで完全に消去できるようになったのだ!
一切の詠唱も魔力発生も伴わずに、同級生の最大魔法をフッと消し去り、暴走する巨大魔物をワンボタンで光の粒子に還元するアッシュ。
本人はただ「うるさい警告文が出たからOKを押してデバッグ(人助け)しているだけ」のつもりなのだが……。
これは、エラーログを消しているだけの落ちこぼれ少年が、王都の至高魔法学園で「神の奇跡を下す聖者」として盛大に勘違いされながら成り上がっていく、痛快無双ファンタジー!
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる