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四重奏連続殺人事件
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パソコンに書かれた遺書と密室
倉科は綾乃から聞いた江利子の遺書について質問した。
「遺書には何と書いていました?」
「遺書といっても、パソコンの画面に『もう疲れました』とあっただけです」
「パソコンの画面に? ふーん。それは警察が発見したのですか?」
「貴女も見ましたか?」
「ええ。エクセル画面に書かれていました。お姉さんはいつもワードを使っていたのですけど……。 姉はパソコンには詳しかったので、不思議だなぁと思いました」
「警察は、そのことに関して、何か言っていましたか?」
倉科の問いに、玲子は、
「全然、関心を示さなかったと、思います……」
いつもとは違うソフトを使った? 倉科の脳裏に一瞬、チカッと何かが光ったが、それ以上は続かなかった。
倉科は何本目かのタバコに手を伸ばしながら、
「部屋の鍵は?」
「警察の要請で管理人の方が開けたそうです」
コーヒーを一口飲み、吸殻を積もった灰皿に押し込んで、
「では、鍵がかかっていて密室だったと言うことですね」と倉科。
「そのように聞いています」
玲子は少し悲しそうな表情を見せながら倉科の問いに答えている。
警察はパソコンに表示された遺書らしきものと、かつ、部屋に鍵がかかっていたことを根拠として、自殺と断定したに違いない。自殺は事件じゃないので、真相を探る必要もないから、それで一件落着となったのだろう。
倉科は江利子の件については綾乃から聞いた情報しかない。しかも、遺書と思われるものがパソコンの画面にあったとは……。これじゃあ、七階から飛び降りた、とのことについても、じっくり玲子から聞いてみる必要があるなぁと感じた。
「思い出すのも悲しいでしょうが、お姉さんの死亡当時、どういう状況だったのか詳しく教えて戴けますか?」
玲子は少しの間、目を閉じていた。当時を思い出しているのだろう。
「倉科さんはどの程度、御存知か判りませんので、最初から申し上げたほうが宜しいかと思います」
倉科にとっても好都合だ。「もちろん」と力強く答えた。
「警察から連絡があったのは、三月三日の朝八時頃、家族三人で朝食の最中でした」
「お姉さんが亡くなった場所は、どのくらい御実家から離れているのですか?」
「同じ百道浜(ももちはま)ですけど、と言っても、倉科さんにはどこか判らないですよね? 福岡ドームとか西南学院大学のあるあたりです。実家から歩いて四、五分の所にあるマンションを仕事場にしていました」
「仕事場?」
「チェロとピアノを教えていました」
綾乃から聞いていたことが、倉科の頭の中で徐々に具体化してきた。
(デートはいつも江利子の部屋……って言っていたよなぁ……)
「その部屋は江利子さん自身が借りていたのですか?」
「いいえ、父が随分以前に投資用として買っていたマンションの一つです」
玲子が、ウン? という表情を見せた。おかしなことを聞く人だなぁ、とでも思ったのだろう。無理もない、彼女の属している階層では、投資用の物件を幾つも所有しているのが普通であり、その一つを家族の一員が使用していることに何の不思議もないのだ。
「江利子さんは、そちらにお住まいだったのですか?」
「いいえ、基本的には実家から通っていましたけど、生活に必要な設備はありました」
「では、そこに泊まることも多かったですか?」
倉科が杉谷に目を向けると、バツの悪そうな態度が伺えた。
「杉谷さんは勿論、江利子さんの部屋に入ったことがありますよね? 泊まったことも?」
「ええ……。泊まったこともあります。本当に数える程ですが……」
実の妹を前にしては言いにくいのだろう。杉谷は。倉科の意地の悪い?質問に、やや紅潮して、ぎこちない回答をしている。
「それで、最初に警察からあった知らせは、どういう内容だったのですか?」
倉科は話を玲子に戻した。
「榊江利子さんが転落死したので、すぐに博多西警察署まで来てほしいとのことでした」
玲子は当時を回想しながら気丈に話している。
「うーん。それは驚かれたでしょう」
倉科はいたわりの気持ちが伝わるように、大きく頷きながら優しく話した。
「それで、警察署に駆け付けた訳ですね。最初、どういう説明を受けましたか?」
「事故と事件の両方から見ていると言っていました」
「ふーむ。そうですか。死体発見現場と時刻、死亡推定時刻、それと発見者については?」
倉科はより詳しい情報が欲しい、自然と問い方が探偵的になってくる。
「場所はマンションの裏庭。部屋のバルコニーの真下。発見者は女性清掃員の方で、午前六時過ぎ、死亡推定時刻は前日の午後十一時から午前零時の間、死後五、六時間と説明を受けました」
倉科は玲子の話したことを頭に刻み付けながら、
「一夜明けてからの発見ですね。マンションの居住者は誰も気が付かなったのでしょうか?」
玲子は、この問いに、
「二階までは店舗になっているのです。夜の十時過ぎは誰もいませんから……」
榊江利子の死体はずっと、早春の夜露に曝されていたのだ。
更に、玲子は警察で告げられたことの続きを話した。
「全身打撲なので転落死と思われますが、詳しいことは捜査中です。とも言われました。詳しい死亡推定時刻は司法解剖を待ってからとのことでした」
倉科は確認するように、
「一応の捜査は実施されたのですね?」
この問いに、玲子の表情が微妙に曇った。
「そうだとは思いますが……。部屋には鍵がしてあったて、遺書のようなものもあったし、それに、争った跡も、物色された形跡も、衣服の乱れも無かったようですし……」
玲子の言葉に一々頷いていた倉科が、きっぱりと、
「すぐに、自殺で処理する方針になった。そうですね」
「ええ、そうです」玲子がうつむき加減で力なく答えた。
今まで聞いた限りだと、自殺の線が濃厚だ。第三者の介在は考えにくい。施錠と遺書?が警察の自殺断定に大きく作用したのだろう。
杉谷は神妙に倉科と玲子のやりとりに耳を傾けている。
「杉谷さんは警察で何か聴かれましたか?」
倉科の問いを受けて、杉谷は憤懣やるかたない、との風情で、一気に話し始めた。警察の対応に相当憤慨しているようだ。
「私は玲子さんからの電話で、博多西警察署に直行しました。御両親と玲子さんから話を聞いている最中に、刑事二人に別の部屋へ連れていかれました」
「別の部屋? まさか取調室で事情聴取された訳ではないでしょうね?」
杉谷は思い出したくもない、との表情を見せながら、
「当日のアリバイを聴かれましたよ。部屋の合鍵は持っているのか、ともね」
「それで、どう答えたのですか?」
「合鍵は持っていますが、その夜は卒園式と新年度のカリキュラム編成に向けた準備会議があって、午後十一時近くまでかかってしまって、そのまま同僚と酒を飲みながら朝まで話し合っていた、と答えました」
倉科は笑みを浮かべて、
「アリバイ成立。事なきを得て、良かったですね。関係の深い者から疑うのが、警察における捜査の常道ですから。それ以外にもいろいろ聴かれたでしょう? 江利子さんとの交際状況なんかについて」
倉科は綾乃から聞いた江利子の遺書について質問した。
「遺書には何と書いていました?」
「遺書といっても、パソコンの画面に『もう疲れました』とあっただけです」
「パソコンの画面に? ふーん。それは警察が発見したのですか?」
「貴女も見ましたか?」
「ええ。エクセル画面に書かれていました。お姉さんはいつもワードを使っていたのですけど……。 姉はパソコンには詳しかったので、不思議だなぁと思いました」
「警察は、そのことに関して、何か言っていましたか?」
倉科の問いに、玲子は、
「全然、関心を示さなかったと、思います……」
いつもとは違うソフトを使った? 倉科の脳裏に一瞬、チカッと何かが光ったが、それ以上は続かなかった。
倉科は何本目かのタバコに手を伸ばしながら、
「部屋の鍵は?」
「警察の要請で管理人の方が開けたそうです」
コーヒーを一口飲み、吸殻を積もった灰皿に押し込んで、
「では、鍵がかかっていて密室だったと言うことですね」と倉科。
「そのように聞いています」
玲子は少し悲しそうな表情を見せながら倉科の問いに答えている。
警察はパソコンに表示された遺書らしきものと、かつ、部屋に鍵がかかっていたことを根拠として、自殺と断定したに違いない。自殺は事件じゃないので、真相を探る必要もないから、それで一件落着となったのだろう。
倉科は江利子の件については綾乃から聞いた情報しかない。しかも、遺書と思われるものがパソコンの画面にあったとは……。これじゃあ、七階から飛び降りた、とのことについても、じっくり玲子から聞いてみる必要があるなぁと感じた。
「思い出すのも悲しいでしょうが、お姉さんの死亡当時、どういう状況だったのか詳しく教えて戴けますか?」
玲子は少しの間、目を閉じていた。当時を思い出しているのだろう。
「倉科さんはどの程度、御存知か判りませんので、最初から申し上げたほうが宜しいかと思います」
倉科にとっても好都合だ。「もちろん」と力強く答えた。
「警察から連絡があったのは、三月三日の朝八時頃、家族三人で朝食の最中でした」
「お姉さんが亡くなった場所は、どのくらい御実家から離れているのですか?」
「同じ百道浜(ももちはま)ですけど、と言っても、倉科さんにはどこか判らないですよね? 福岡ドームとか西南学院大学のあるあたりです。実家から歩いて四、五分の所にあるマンションを仕事場にしていました」
「仕事場?」
「チェロとピアノを教えていました」
綾乃から聞いていたことが、倉科の頭の中で徐々に具体化してきた。
(デートはいつも江利子の部屋……って言っていたよなぁ……)
「その部屋は江利子さん自身が借りていたのですか?」
「いいえ、父が随分以前に投資用として買っていたマンションの一つです」
玲子が、ウン? という表情を見せた。おかしなことを聞く人だなぁ、とでも思ったのだろう。無理もない、彼女の属している階層では、投資用の物件を幾つも所有しているのが普通であり、その一つを家族の一員が使用していることに何の不思議もないのだ。
「江利子さんは、そちらにお住まいだったのですか?」
「いいえ、基本的には実家から通っていましたけど、生活に必要な設備はありました」
「では、そこに泊まることも多かったですか?」
倉科が杉谷に目を向けると、バツの悪そうな態度が伺えた。
「杉谷さんは勿論、江利子さんの部屋に入ったことがありますよね? 泊まったことも?」
「ええ……。泊まったこともあります。本当に数える程ですが……」
実の妹を前にしては言いにくいのだろう。杉谷は。倉科の意地の悪い?質問に、やや紅潮して、ぎこちない回答をしている。
「それで、最初に警察からあった知らせは、どういう内容だったのですか?」
倉科は話を玲子に戻した。
「榊江利子さんが転落死したので、すぐに博多西警察署まで来てほしいとのことでした」
玲子は当時を回想しながら気丈に話している。
「うーん。それは驚かれたでしょう」
倉科はいたわりの気持ちが伝わるように、大きく頷きながら優しく話した。
「それで、警察署に駆け付けた訳ですね。最初、どういう説明を受けましたか?」
「事故と事件の両方から見ていると言っていました」
「ふーむ。そうですか。死体発見現場と時刻、死亡推定時刻、それと発見者については?」
倉科はより詳しい情報が欲しい、自然と問い方が探偵的になってくる。
「場所はマンションの裏庭。部屋のバルコニーの真下。発見者は女性清掃員の方で、午前六時過ぎ、死亡推定時刻は前日の午後十一時から午前零時の間、死後五、六時間と説明を受けました」
倉科は玲子の話したことを頭に刻み付けながら、
「一夜明けてからの発見ですね。マンションの居住者は誰も気が付かなったのでしょうか?」
玲子は、この問いに、
「二階までは店舗になっているのです。夜の十時過ぎは誰もいませんから……」
榊江利子の死体はずっと、早春の夜露に曝されていたのだ。
更に、玲子は警察で告げられたことの続きを話した。
「全身打撲なので転落死と思われますが、詳しいことは捜査中です。とも言われました。詳しい死亡推定時刻は司法解剖を待ってからとのことでした」
倉科は確認するように、
「一応の捜査は実施されたのですね?」
この問いに、玲子の表情が微妙に曇った。
「そうだとは思いますが……。部屋には鍵がしてあったて、遺書のようなものもあったし、それに、争った跡も、物色された形跡も、衣服の乱れも無かったようですし……」
玲子の言葉に一々頷いていた倉科が、きっぱりと、
「すぐに、自殺で処理する方針になった。そうですね」
「ええ、そうです」玲子がうつむき加減で力なく答えた。
今まで聞いた限りだと、自殺の線が濃厚だ。第三者の介在は考えにくい。施錠と遺書?が警察の自殺断定に大きく作用したのだろう。
杉谷は神妙に倉科と玲子のやりとりに耳を傾けている。
「杉谷さんは警察で何か聴かれましたか?」
倉科の問いを受けて、杉谷は憤懣やるかたない、との風情で、一気に話し始めた。警察の対応に相当憤慨しているようだ。
「私は玲子さんからの電話で、博多西警察署に直行しました。御両親と玲子さんから話を聞いている最中に、刑事二人に別の部屋へ連れていかれました」
「別の部屋? まさか取調室で事情聴取された訳ではないでしょうね?」
杉谷は思い出したくもない、との表情を見せながら、
「当日のアリバイを聴かれましたよ。部屋の合鍵は持っているのか、ともね」
「それで、どう答えたのですか?」
「合鍵は持っていますが、その夜は卒園式と新年度のカリキュラム編成に向けた準備会議があって、午後十一時近くまでかかってしまって、そのまま同僚と酒を飲みながら朝まで話し合っていた、と答えました」
倉科は笑みを浮かべて、
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