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第一章

23.

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 俺は,帰る時,左腕に違和感を感じていた。
 その違和感は,見ればわかる。
 カラミラが俺の左腕にくっついてから離れないのだ。
 ずっと俺の左腕を抱きしめている。
 俺の左腕がミシミシ音を立てているような気がする。

「お前,家は?」
「ない」
「宿屋」
「いや」
「屋敷は……」
「大丈夫,同じ部屋で寝てあげるから」
「なんも大丈夫じゃねぇー」

 俺は,帰りの道でそう叫んだ。
 すると,通行人のが俺に向いた。
 そして,舌打ちする人,睨みつけてくる人,いまにも殺しそうなほど膨大な殺気を向けてくる人,いろんな人が俺のことを見ていた。
 俺は,その場をそそくさと去った。
 ちなみに,左腕のカラミラは,そのままだ。
 そして,俺は,そのまま屋敷に帰ってきた。

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 二章ついにスタート!
 どうぞ連続更新するので、お楽しみに!
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