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第二章

27.

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 俺は,大爆笑を止めるのに一分程度時間がかかった。
 だって、父上の怒った顔が意外にもおもしろすぎたためだ。

「父上、俺がもしかして、魔法が使えないとか、武術ができないとか、学力が足りてないとか考えてます?」

 俺は,大きく息を吸って、吐いて、落ち着いてから言った。

「別に俺は,援助なんてなくても、入学できる力は,あるんだよっ!」
「なっ……」
「後さ、別にあいつ嫁がせてもいいじゃん?フレイアをさ?」
「いや、それは……」
「父上が一番人間としてダメなんじゃない?」
「何をっ!」
「だって、言ってたじゃん?最初の方に勘違いしてた時に」

 俺は,そう言って、父上を笑いながら見つめる。

「フレイアにその気があんなら俺は,嫁がせられると思うけど?わざわざ嫌なのに結婚させようなんて、政略結婚でしかないでしょ?俺、そうゆうの嫌いなんだけど?」

 俺は,そう言って、机をバンっと叩いた。
 すると,数枚の書類が机のうちから落ちる。
 俺は,その書類を拾い上げる。
 その書類には、宰相とのやりとりがあった。
 宰相は、第一王子のことが嫌いである。
 だから、俺を次期国王にしたかったのだろう。
 宰相は、俺の父と違って、俺の脳梁をよく理解している。
 多分、それで、次期国王にしたいと思っているのだろう。

「そ、それは……」
「へー文通ね……」
「……」
「やっぱ繋がってたんだ」

 俺は,そう言って、その書類、否、手紙を父上に返す。
 そして、最後に念を押していった。

「婚約破棄をさせろ」

 俺は,そう言って、強く執行室の扉を開けて、足で蹴って扉を閉めた。
 執行室では,父上の呼吸と俺が扉を閉めた音がこだましてた。
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