42 / 42
第二章
42.
しおりを挟む
カラミラが泣いて、ごめんなさいごめんなさい、と連呼し始めた。
俺は、そろそろ可哀想になってきたので、
「フレイア、何か用?」
とフレイアに声をかける。
その瞬間、カラミラが泣き止んで、今度は、顔を赤くして俯いた。
「あの、王女様の件なんですが、お兄様、婚約破棄が成立しました」
「やっぱり、裏で繋がってたのを公にされるのは、困るのか……フッフッフ……」
俺は、悪そうな笑い方をしながら、
「なんでそうなったのかわかる?」
「まず、第一に国王様が敢えて、王国内に住む貴族と婚約させる必要がないと考えていたため、この件に関しては、王女様が噛んでいて、どうしても、と泣きついていたそうです」
「なるほどな」
そう言って、俺は、執務室の机の上に置いてあったティーカップに手をつけて、中に入っていたハープティーを一気に飲み干す。
「第二にお兄様もご存知かと思いますが、第一王子様がいらっしゃいます。その第一王子様を後継にするためにあえて、王国内の男の貴族は、取れないとおっしゃっていました」
「それは、そうだな」
「そして、最後に王女様がいなくなった騒動から二日が経ちましたよね?」
「知ってるが?」
「それで、この結果になりました」
「え?」
「王女様は、現在この王国には、おりません。多分、敵国からどこかに連れ去られたのでしょう。そして、そのことを今朝、騎士団総員で町中を調べ上げたところ、王女様らしい人が拐われるとこを見たと言う人が現れたので、王女様の泣きついていた件が効力を失いました」
「要は……」
「勝ちましたっ!」
フレイアが嬉しそうにそう言った。
その隣でつまらなさそうに、否、涙の跡を隠すので必死だったカラミラがこっちをみていた。
「よかったね……」
「というわけで、あとは、頼んだぞ!」
「え?」
俺がフレイアにそう言うと、変な声を出していた。
「お前が、王子の婚約者だっ!」
「「え?」」
カラミラとフレイアの声がダブった。
「え?もクソもないぞ?」
「なんで?」
「俺は、カラミラと結ばれる運命と言われたのだっ!」
「え?私は?」
「演技だと説明したの忘れたのか?」
「えー‼︎」
「だから、契約書も作ったのに……」
そう言って俺は、書類の中から取り出して、フレイアに見せる。
すると、
「お兄様は、どこに行かれるのですか?また……」
「学校に行ってみようと思う」
「へ?」
今度は、カラミラの番だった。
俺は、そろそろ可哀想になってきたので、
「フレイア、何か用?」
とフレイアに声をかける。
その瞬間、カラミラが泣き止んで、今度は、顔を赤くして俯いた。
「あの、王女様の件なんですが、お兄様、婚約破棄が成立しました」
「やっぱり、裏で繋がってたのを公にされるのは、困るのか……フッフッフ……」
俺は、悪そうな笑い方をしながら、
「なんでそうなったのかわかる?」
「まず、第一に国王様が敢えて、王国内に住む貴族と婚約させる必要がないと考えていたため、この件に関しては、王女様が噛んでいて、どうしても、と泣きついていたそうです」
「なるほどな」
そう言って、俺は、執務室の机の上に置いてあったティーカップに手をつけて、中に入っていたハープティーを一気に飲み干す。
「第二にお兄様もご存知かと思いますが、第一王子様がいらっしゃいます。その第一王子様を後継にするためにあえて、王国内の男の貴族は、取れないとおっしゃっていました」
「それは、そうだな」
「そして、最後に王女様がいなくなった騒動から二日が経ちましたよね?」
「知ってるが?」
「それで、この結果になりました」
「え?」
「王女様は、現在この王国には、おりません。多分、敵国からどこかに連れ去られたのでしょう。そして、そのことを今朝、騎士団総員で町中を調べ上げたところ、王女様らしい人が拐われるとこを見たと言う人が現れたので、王女様の泣きついていた件が効力を失いました」
「要は……」
「勝ちましたっ!」
フレイアが嬉しそうにそう言った。
その隣でつまらなさそうに、否、涙の跡を隠すので必死だったカラミラがこっちをみていた。
「よかったね……」
「というわけで、あとは、頼んだぞ!」
「え?」
俺がフレイアにそう言うと、変な声を出していた。
「お前が、王子の婚約者だっ!」
「「え?」」
カラミラとフレイアの声がダブった。
「え?もクソもないぞ?」
「なんで?」
「俺は、カラミラと結ばれる運命と言われたのだっ!」
「え?私は?」
「演技だと説明したの忘れたのか?」
「えー‼︎」
「だから、契約書も作ったのに……」
そう言って俺は、書類の中から取り出して、フレイアに見せる。
すると、
「お兄様は、どこに行かれるのですか?また……」
「学校に行ってみようと思う」
「へ?」
今度は、カラミラの番だった。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます
作品お気に入り登録しときますね(^^)
ありがとうございます