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第二章

35.

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✴︎
 そこにいたのは,謎の覆面を被った人であった。
「魔天剣の持ち主であったか,お主」
「『神』か?」
 そう言うと、その人は,覆面に手をかけて、それを外した。
 それを見て,俺は,
「ほー、久々の顔で、殺し甲斐のある顔だな」
 そう俺は、そう言って笑った。
「ほう。覚えていたか、お主」
「それは,あんまり確実性がないけどね」
「ならば,問おうでは,ないかっ!我の名を」
 俺は,その一声をもらって、笑った。
 そして、魔天剣を構えて、
「ジ、エンド。ゲームオーバーだよ」
 地面ではなく、床を強く蹴り、前に飛び出した。
 しかし、その覆面野郎は,ちょこまかちょこまかと動き回る。
「名前では,ないが、それも一種の正解だろうな」
「だろ?だから、エンドなんだよっ!」
 俺は,魔天剣を大きく振り、覆面野郎の腕に振りおろした。
 しかし、瞬間的な時間の差で、俺の一撃は,避けられた。
「お主,さすがは,我が王。剣を引き抜くだけのことは,ある」
 そう言って,消えた。
 俺は,剣を床に刺して,跪いた。
 そして,息を整える。
 それと同時に周りの状況に目を配ると、
「ほとんどやってるな」
 見たところ花瓶は,粉々に割れ、壁に大穴を開け、額縁を破壊し、中の絵は、二つに切り裂かれて、キッチンは,ベコベコに凹んでいた。
「さて、どうしますか?」
「私が直しておきますので、さっさと外に出てください」
 そう言って、外に出ようとして、
「ちっ……」
 俺は,そう舌打ちして、もう一度中に戻る。
「どうしたの?」
 そう言ったミルに返事もせずに、俺は,窓から飛び降りた。
 そして,魔天剣を構え、空を見続ける。
 すると,現れる。
 空から巨大な物体である隕石が。
 一体、どんな確率でこの島に落ちてくるかは,不明だが、落ちてきたのには,変わりない。
 だから、ここで、粉々に打ち砕いてやる。
 そう思って、俺は,空へと駆け出した。
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