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第二章

47.

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✴︎
 天狼島まで戻って、宿屋に行くと、
「荷物かい?」
 そう聞かれたので、俺が頷くと、
「部屋一応まだ,借りてることにしてるからゆっくりしていくならしていきなさい」
 俺たちは,部屋に行って、荷物をまとめる。
 そして,また,受付に戻り、
「俺たち荷物だけ取りに帰ってきたので」
 そう言って、金を出そうとすると、
「いいよいいよ、私だって訳あり種族なんだからね?魔族さん」
 俺は,警戒して、後ろに下がった。
 しかし、
「別にそんなに警戒しなくてもいいじゃない?ヘスティアさんから話は,聞いてるし」
 彼女は,そう言って、微笑んだ。
 しかし,その微笑みは,部屋から出てきたミルを見て睨みへと変わる。
 そして,俺の耳に口を近づけて、
「彼女は,危険です。どうか,あまり親近感を抱かないでくださいね」
 彼女はそれだけ言って、離れていった。
 そして,ミルがやってきて、
「どうしたの?」
「いや、なんでもない。じゃ,帰るか」
 そう言って、俺は,天狼島を後にした。
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