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第三章

74.

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✴︎
 魔神は、その後、神サマにじっくりと説明した。
 人間は、こちらを敵対視していると言うこと。
 人間は、神を信仰することをやめていること。
 人間にあえて、慈悲をかける必要がないこと。
 人間を殲滅すれば、こちらに利益があること。
 全てを話した。
 すると、
「まず、人間を殲滅すること、これをなぜ禁じたか、わかるか?」
「生態系の崩壊」
「そうだ、生態系を崩壊させれば、いつか世界は、滅びる」
 神サマは、そう告げた。
「そして、人間を仮に殲滅させなかったとする。だとすれば、どうなる?」
「生態系の崩壊は、免れるけど、世界が滅亡に向かっていることは、避けられないよね」
「そうであろう……」
「だから、魔族を使うんだよ」
 魔神は、そう告げた。
 そして、魔神の口元が緩んだ。
「生態系が人間のためだけに、人間によって作られたものだとおまっているのか?それは、間違いでしかない。生態系は、その世界に住むすべての生き物のために作られたものじゃないのか?なら、魔族にもその権利があるはずだ」
「しかし、魔族は……」
「現に私も魔族だ」
「な、何を……」
「知らないのか?魔神は、魔族の……」
 私は、一度そこで声を止めて、息を吸って、

「『始祖』なんだよ」

 私は、そう神サマに告げた。
 すると、神サマは、目をひん剥いて、
「転生の輪っ!」
 私の腕に絶命の腕輪をつける。
「こんなことをしても無駄だよ」
「しねっ!」
「私は……」
 体から生命が途絶える前に魔神は、告げた。
「生き返る……」
 私は、そう告げて、白い粉を吹いて消えた。
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