呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に

焼魚圭

文字の大きさ
44 / 132
ホムンクルス計画

奈々美の独断決行

しおりを挟む
 和菓子屋のお嬢様、表ではその様に思われている和服の美人、鹿島 志乃、その正体は19歳の魔法使い。志乃はもう1人の和服の少女、〈亡霊の魔女〉天草 綾香を抱えてある施設へと入って行く。その後ろをある女がついて行っていることも知らないで。後ろを無断でついて行く女は思考を巡らせていた。
ー500万に目が眩んだ人たちのせいでホムンクルス計画が進んでしまうじゃないのー
 ホムンクルス計画、それは魔女たちにとって最も忌むべき存在。
 〈北の錬金術士〉と呼ばれし化学と魔法の手を繋ぎ価値観世界観の橋渡しをした化学魔法の魔女の手によって進められし計画。
「まさか魔女が生まれる仕組みを発表する裏側でこんなふざけた計画を進めていたなんて誰が想像出来るものですかなんて話だわ」
 それに必要な存在は亡霊を操りし者、まさに〈亡霊の魔女〉はうってつけの存在。あとは地獄から魂を呼び出す事の出来る魔法使い。
「刹菜が危ないわね。精霊だけじゃなくて地獄から魂も呼べてしまうもの」
 奈々美は風で門番の首を締め、声も息も出さぬよう意識をも引っ込める。
 研究所の中を歩く。無機質な廊下を歩くローブを着た魔女という姿はあまりにも不釣り合い。
「まるで百合かショタしか好まない私の歪み切った性癖のようだわ」
 自覚している事実を声に出しながら奈々美は歩いていく。
 目的はただひとつ。ホムンクルス計画を失敗させる事。〈亡霊の魔女〉を取り返して守る事でそれは容易くとまでは言えずともどうにか阻止出来るであろう。
「仮に決行されても果たして成功するかどうか分からないのだけれども、万が一成功してしまったらそれはもう生命の冒涜、それに」
 1度、歩みを止めて扉を開ける。
「それに、創造の魔導士を生き返らせるわけには行かないわ。1度使えば壊れるものの少ない魔力で様々な物質を創る事が出来る天才」
 扉の先には大きなガラスのケースがひとつあるだけ。
「あら、いけない。場所を間違えてしまったようね」
 慣れない空間に奈々美は疲れを感じていた。
「低級の魔法レベルの手間と魔力で強力な攻撃魔法を創造されたら厄介。そんな才能だけで知能はそこまで高くない天才魔法使いを生き返らせる為のホムンクルスは製造済みなのね」
 ガラスケースの中は液体で満たされており、そこには1人の少年が入っていた。
 奈々美はガラスケースに手を着いて頬を赤く染めて魅入る。
「いけないわ。可愛過ぎる。目を開けてちょうだい! その目で私を見て。その口を開けて幼い声で私の名前を呼んで。その手で私を抱き締めて。あぁ、いけないわ」
 そうして奈々美はガラスケースを分解する。
「ガラス、強化ガラスとはいえどもガラス。二酸化ケイ素の塊よ。砂を溶かして作った程度のものなら……例え科学側の存在でも手が加えてあるのなら地属性の魔法の力で簡単に崩せるわ」
 分解したガラスケースの中に眠っていた少年を背負って奈々美は立ち去る。
「目的とは違ったけれどもまあいいわ。魔女の代わりにホムンクルスの方を持ち出すと言う事で」
 奈々美は楽しみで仕方がなかった。これからこの少年とどう過ごすのか、それを想像するだけでニヤけが止まらないのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...