実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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そして出会う俺とお前

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 「ついに当日か……晴天だぁ。」



 タサファンと話した翌日にはついに運命の日だ。朝の目覚めは悪くなく、傍らでいつの間にか寝ているコハクもいつも通りだ。

 窓から差し込む朝日は澄み切ってきて今日は晴れるのだと見ただけでわかる。コハクを連れてリビングに向かえばハクアが飯の準備をしていて、コクヨウがぼんやりと新聞を読んでいた。

 朝食は目玉焼きとベーコンが挟まったホットサンドに野菜スープだった。いつもより軽めなのはハクアが気を利かせてくれたのだろう。

 それを食べたらコクヨウと一緒に洗濯をして、部屋を綺麗にしてから家を出る。昼前にはギルドに到着出来るだろう。う~ん…気が重い…。

 保護者達は何故か楽しそうにしているのが気になる。




 「なにを暗い顔をしておる。可愛くないのう。」
 「可愛く無くていいよ。……ってか、ハクアこそなんでそんな楽しそうなの?」
 「ワハハ!楽しみではないのか?我は今日を待ちわびておったのだ。」
 「コハクも~!ちゃんとアル様のご兄弟と~、お話するの初めてだもんね~!」
 「………楽しみなの?それ…。」
 「ああなってしまったらこちらの話など聞かん。ほっとけアル。」
 「コクヨウは逆に落ち着いてるから安心するよ。」
 「あいつらが意地悪いだけだ。そろそろ時間だろう?ギルドに行く支度は出来てるのか?」



 呆れたようにコクヨウが言うと、ハクアとコハクはいそいそと支度を始める。こいつらが準備する必要あるの?やれやれと言わんばかりにコクヨウは頭を抱えた。

 なにか悪巧みなんて考えてないよな。頼むからややこしくするのだけはやめてほしい。俺に被害がこないように楽しんでくれる分には文句いわないからさ。



 「では、行くとしよう。」
 「アル様~、コハクとお手手繋いで行こ~?」
 「え~、この歳で手を繋いで歩くの恥ずかしいんだが…。」
 「不安にならないように~、コハクが守ってあげるんだから~!」



 ギュッと有無を言わさずコハクに手を繋がれた。振りほどけないから諦めよう。まぁ、大森林ギルドの面々やご近所さんは俺達がとても仲良しなのを知っているから、変な勘違いはしないと思われる。

 ルンルンであるくコハクに連れられギルドまでの道のりを歩く。軽い足取りの彼とは違いズリズリと足を擦って歩く俺。

 対象的な俺達を見て不思議そうに首を傾げる街の人達。元気がないのは仕方がないのだ…。

 いつもの道を歩き続け、ギルドの中に入るとにこやかにマルさんが待ち構えていた。爽やかな笑みを向けられても困るんだ、今の俺には。



 「ちゃんと来て偉いなアル。」
 「コハクがちゃんと連れてきたよ~。」
 「して、奴らはもう来ておるか?」
 「はい、すでに2時間はお待ちですよ。」
 「あれ?約束の時間とは…。」
 「待ち遠しかったんでしょうねぇ。」



 ………じゃあ俺のせいじゃないよな!マルさんの含み笑いを無視していれば、くたくたになったギルドマスターもやってきた。この2時間ずっと相手にしてたんだろうか、あのお貴族様達の…可哀想に…。

 哀れみの目を向ければ、お前のせいだと言わんばかりに睨まれた。いや、本当に俺のせいじゃないよ。




 「アントムさん大丈夫?」
 「なんとか…。」
 「では、会議室3まで案内しますね?ギルドマスターはここでお別れです。私も案内をしてお茶を出したら仕事に戻りますから。」
 「……仕事溜まってんだな。」
 「えぇ!おかげさまで!スタンピートの後処理が全然終わってません!」



 あぁ、マルさん怒ってだんだな。仕事進まなくて…。



 
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