Shine

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第一幕

待人

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「君を待って居ました。ガーベル君」

「薄々気付いてたけど...やっぱ、君だったんだ ドゥンケルハイト君」

 
橋で俺を待って居た待人。それは、カイヤ=ドゥンケルハイトだった。


「呼び方はナイトで良いよ。ガーベルとか堅苦しいし!その代わり俺も、カイヤって呼ぶから」

「分かった」

「所で俺に用があって呼び出したんだよね?か、カツアゲとかだったら本当、勘弁だよ...?」

「カツアゲじゃない!只、少しばかり聞きたい事があるんだ」

「ん?何?」

「君は俺の事を知っているか?」

「え」 


いきなりの質問に言葉が詰まった。
只一言「知ってる」と口にすれば良いだけなのに、こんなにも言葉が詰まる事があるのだろうか。


「うん、知ってるよ。カイヤ=ドゥンケルハイト。【隻眼ピアニスト】だっけ?」

少し間が空いてからの返答だった。

「そうだ。やはり、知っていたか」

「うん。でも、何で俺が君を知ってるって思ったんだ?」

「眼だよ」

「眼?」

「俺が自己紹介した時、君、立ち上がっただろう?その時の眼が俺を知っていると語っていたんだよ」

「じゃあ、結局最初からバレバレだったって事なんだな」
 
「そう。眼には感情が出てくる」


正直驚いた。
眼で感情を読み取る人間なんてそう簡単にいない。
マジシャンや道化師ならありえるかもしれない。でもこいつはそのどちらにも当てはまらない...
混乱した脳内を整理しながら、再びカイヤに尋ねた。

「で、他に用があるのか?」

「...ついて来い」


俺に背を向けカイヤはスタスタと歩いて行った。
カイヤの背をひたすらに追っていくと見覚えのある一軒家に辿り着いた。


「ここって...」

「俺の家だ。上がっていけ」

「あ、うん」


家の中には荷物が所々に置いてある。きっと、荷解きがまだ終わっていないのだろう。カイヤに案内され二階の一番端部屋に入った。掃除は綺麗にされていて家具さえ置けば、完璧な部屋になる。 
しかし、家具を先に置けば良いのに、何故か先にグランドピアノが置いてあった。


「これ、カイヤが弾くピアノだよな?」

「そうだ。...ナイトが朝聴きた曲はこれじゃないか?」


そう言うとカイヤは、椅子に腰を下ろした。ふぅと一息つくと、グランドピアノを弾き始めた。



~♪


~♪


ホ短調で哀愁が漂っている...明るい曲調になるはずなのに、何故か悲しい曲


「これだよ!俺が朝聴いた曲!カイヤが弾いてたのか」

「そうだ。いつもは弾かない曲なのだが.....今日は弾きたいと思って弾いていたら、ナイトが聴いたと話していたから。」

「あー、それで今日一日中、俺の事観察してたって事か」

「.....観察などして済まんな。」

「否、全然大丈夫だって!というか、この曲 誰の曲なんだ?」

「俺が作った曲だ」

「嘘?マジで?凄すぎるよ!こんなに素敵な曲が作れるなんて!」


驚きと憧れが同時に押し寄せた感情だった。


「別に凄くはない...けど、この曲は俺が一番気に入っている曲だ。褒めてくれてありがとう」

「いえいえ」


橋の上で話していた時のピリピリとした空気とは違い、音楽を通して話している方がよっぽど心地良い。

...カイヤのピアノの音を聴いていると、思わず歌ってしまいそうになる。
俺はその感情をひたすら抑え込みカイヤの演奏を聴いた。


「流石、ピアニストだな!」

「.....うん」


俺が言った言葉が後々、カイヤの心を喰い散らかす悪魔の言葉だとは、思ってもいなかった。
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