Shine

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第一幕

手紙と女の子

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「はぁー、やっと放課後だー!」   

「随分とお疲れのようですね、ナイトさん」

「そりゃ、一日中、視線向けられたら疲れるに決まってるよ!当の本人はすぐに帰っちゃうし...」

「良くある事だよ。ほら、帰ろ」

「あるわけねぇだろ!って、おい!俺まだ準備してねぇって!」


鞄に教科書やらノートを押し込んで、ジェイドの元へ走って行った。
昇降口に着き、自分の靴箱を開けた時白い紙がひらひらと床に落ちた。

「なんだコレ?」

落ちた紙を拾い上げ、紙を広げ中を見てみるとそこには

【放課後、カール川橋に来てください。】

というメッセージが書いてあった。


「なんだ、それ?なになに『放課後来てください』?!もしかして、ラブレターじゃ無いか?」

靴を履き替え終えたジェイドが手紙を覗き込みながら言った。

「んなわけねぇだろ。」

「だよなー。ナイトに限ってそんな事無いか」

「それはそれで失礼なんだけど!ま、とりあえずカール川の方行ってみる。一緒に帰れなくてゴメンな!また、明日!」

「大丈夫だぞー。また明日なー」


ジェイドに別れを告げ、カール川橋へ向かった。
カール川はウィルムの街を流れる最大の川。水源は森の中にあり一粒の水から成る川だ。
ゆったりとした流れで、ウィルムに住む人達は古くからあるこの川を愛している。

学校からカール川橋までは歩いて10分くらい。
要するに走れば5分くらいで着く。
相手を長く待たせるのは申し訳ないと思い、出来る限りの速さで橋へ向かった。


ドン!


パン屋を右に曲がった所で、見事に女の子と衝突してしまった。

「いてて...君、大丈夫!?」

「いたたぁ...。大丈夫です」
 

衝突した女の子は、長い桃髪の子で、持っていた箒を衝突した勢いで1mほど先に飛ばしてしまっていた。


「俺が注意して曲がらなかったから...本当ゴメンね!怪我とかしてない?」

「私こそ、よそ見していたせいで...ごめんなさい!怪我もしていませんし、大丈夫ですよ。」

「良かったぁ。女の子に怪我させたらどうしようかと思った」


俺は立ち上がり、箒を拾うと、尻もちついている女の子に手を伸ばした。
遠慮がちに俺の手を小さな手が掴んだ。ひょいっと立ち上がった女の子に箒を渡した。

「本当すみません!あの、何かお詫びを...」

「いや、いいよ!俺の不注意でもあったし!俺こそ何かお詫びしないと」

「お詫びですか.....では、私とお友達になってくれませんか?」

「お安い御用だよ!俺、ナイト=ガーベル!ナイトって呼んで!」

「私は、ローズ=ラゼフィーネ。ローズと呼んで下さい。ここのパン屋の娘です」

「ローズな!へー、パン屋の娘さんなのかぁ!てか、敬語とか堅苦しいから、タメ口で良いよ!」

「...ありがとうナイト」


ニコッと笑うローズの笑顔は天使の笑みのようだった。


「そーいや俺、橋で待たせてる人居るんだった!」

「あら、そうだったの?! なら、早く行ってさしあげないと!」   

「そうする!また、遊びに来るからな!じゃーな、ローズ!」

「えぇ。また今度!気をつけてねー!」


ローズに手を振り別れを告げると、俺は再び走り出した。

半分息を切らした状態で橋に着くと、ある人物が俺を待っていた。
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