最低な出会いから濃密な愛を知る

あん蜜

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第三十五話 幸せ

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「っ……はぁっ……ベンさま……っ」

 ベンと目が合うと、一瞬不思議な感情に駆られた。どこか、余裕のないような顔に見えたからだ。それに艶っぽい表情が相まって、とても愛おしくて、ぎゅっと包み込みたいといった気持ちが込み上げてくる。

「~~っ……」

「先を当てただけだが、苦しくねぇか? 痛くねぇか?」

「……はい……」

 頷きながら返事をすると、ベンはふぅ、と小さくを吐いた。

「大丈夫だからな。ゆっくり挿れる」

「はぁ……はぃっ……はぁ……はぁ」

ず、ぷ、ぷ、ぷ――――――

「んっ……~~……ふぅ……っ」

 初めては痛い場合が多いと聞いていたのでぎゅっと目を閉じていたが、熱さやぎゅぅぎゅぅな感じはあるものの、痛さはあまり感じずひっそりと安堵した。

「はぁぁ……はぁぁ……」

(痛くないけれど……すごく熱い!!)

「ソフィア……」

「ベン様っ……はぁっ、熱いですわっ……!」

ギシ……

 ベンの上半身がゆっくりとこちらへ傾いてくる。下半身はあまり動いていないはずなのに、ベンの硬くて熱いものが中でぴったりとくっついているからか、少しの動きで気持ちいい波が立つ。

「んっ……」

 ぎゅっと抱きしめられ、私も背中に腕を回し抱きしめる。その際、ベンの先端が奥を押したのか、快感がじわりと沸き立った。

「ぁっ……!」

 すぐにベンが少しだけ顔を上げ、私を見つめる。

「大丈夫か……?」

「はぃっ……今……突然気持ちいいのが来て……っ」

「……まだ動いてねぇが、もう気持ちいいのか」

 嬉しそうな顔で言われ、顔から熱が吹き出る。

「~~っ……だ、だって……ベン様とくっついているだけで……っ」

「だけで?」

「~~っ…………」

「ん? 続き、聞かせてくんねーのか?」

「っっ…………いじわる……っ」

 ぼそっとつぶやいたつもりが、一般的な声量で出ていた。

「ほぉ……いじわる、ってか?」

 ベンは再び私をぎゅうっと抱きしめると、腰をゆっくりと動かした。

つん――――つん――――――

「んぁぁっ!? はぅっ……~~~~っ」

 中の方から大きく膨れ上がってくるような快感が生じ、ベンにしがみつく。

「どうした? 少し動いただけだぞ」

つん――――――つん――――――

「~~~~っ……はぁっ……っ~~はぁっ……まっ待って……ベンさまっ」

「悪ぃな、俺はいじわるみてぇだからな」

つん――――つん――――つん――――――

「んあぁっ……~~っ……~~っ……~~~~~~っ!!」

ビクビクンッ ビクンッ ビクビクッ……ビクッ……

「はぁぁ……っはぁぁ……っはぁぁ……はぁぁー……」

 余韻を感じながら息を整えている間、ベンは腰を動かさずに待ってくれていた。

「ベン様……いじわるだなんて言ってごめんなさい……っ」

 ベンはくすっと笑った。

「冗談なことくらいわかってる」

ぎゅぅ

 より密着するように抱きしめられ、心も体もベンに包まれているようでどうしようもないほどに幸せで苦しい。

「あぁぁ……んぅぅベンさまぁ……っ……えぇーーん!」

「っ……どうした……!?」

「私っ……ベン様と出会えてっ……ベン様と一緒に過ごせている今が……本当に幸せで……もぅ……幸せすぎてぇ……うぇぇ~~ん」

 ベンが嬉しそうに笑う。

「ベン様もっ……幸せですか?」

「幸せに決まってんだろ」

ぎゅうぅぅ

「ぁっ……んぅっ…………ベン様もぉ……気持ちいいですか……っ?」

 ふはっと笑うと、ベンは顔を上げて私を見つめた。とても嬉しそうな顔だ。

「当たり前だ。俺とソフィアは今、繋がってんだぞ。最高に気持ちいい」

「っ……~~~~っ」

「心だけじゃねぇ、体も繋がれたんだ。愛するソフィアと一つになったんだぞ。俺はこの世で一番幸せな男に決まってんだろ」

「~~っ! ベンさまぁっ」

つん――――つん――――――

「あぁっ! はぁっ……んぅっ」

「ここだろ?」

 ベンが腰を動かすたびに快感の波が沸き立ち、胸が心地よい苦しさでいっぱいになる。

「ぁっ……はぁっ……~~……~~っ」

 じらされているような、大きな快感への助走がつけられているような、そんな感覚がもどかしく、だけど幸せで、いい意味で悶々としてくる。

つん――――つん――――つん――――――

「っ……ベンさまっ……っ……っ」

つ――――――――――ん

「~~~~~~~~~~っっ!!」

ビクビクンッ ビクンッ ビクビクンッ ビクッ……ビクビク……

 高めに高められた快感の波が勢いよく押し寄せ、信じられないほど大きな快感に全身が包み込まれた。

「はぁぁっ……はぁぁっ……はぁぁっ……あぁ……はぁぁー……はぁぁー……」

(ぇっ…………ぇぇっ…………っっ)

 あまりの気持ちよさに心も体も興奮して仕方がない。が、今度はじっくりと余韻に浸る暇はなかった。

つ、ぅ――――――――ん

(また来っ――――)

「~~~~~~~~っ!!」

ビクビクンッ ビクッ ビクンッ ビクビク……

「はぁっ……はぁっ……ベンさまぁ……はぁっ」

つ――――――――ぅん

「んぁっ ぁ、っ――――――」

ビクンッ ビクビクッ ビクッ……ビクビク……

「はぁぁーっ……はぁぁーっ……はぁぁーっ……あぁぁ……」

(もぅ……気持ちよすぎて…………体がぁ……っ)

つん――――つん――――つん――――

「っ!! ぁぁ……ベンさまぁっ……はぁっ……んあぁっも、もぅ……っ」

「っ、わかってる……っ」

 ベンは少し速めに腰を動かした後、熱い息を吐いた。

 はぁぁ、はぁぁ、と二人の息が混ざり合う。

 ベンは立派なものを私の中から抜くと、すぐに私をやさしく抱きしめ、頬に口づけていく。

ちゅ、ちゅ、ちゅぅ

「はぁ……ベンさま……」

「ソフィア……気分はどうだ?」

「はぃ……とっても幸せですわぁ……」

「そうか」

 ベンのやさしい眼差しに胸がじわんとなる。

「俺も幸せだ」

 ふにゅっと唇が重なる。

ちゅ、ちゅ――――ちゅぅ――――――

 私たちはやさしい口づけをたっぷりと堪能した後、幸せいっぱいの気持ちで夢の中へと入っていった。
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