280 / 526
第11話:我、其を求めたり
#14
しおりを挟むメイアとマイアはこと戦いに関しては容赦がない。
瞬く間に三機を仲間を失い、“これはもしや、敵を侮っていたのでは…”と、後悔し始めた傭兵の乗る四機に、双子姉妹はさらなる追い討ちを掛ける。まず一機目の量産型『ミツルギ』に、左右両側から上下に交差するようにすれ違い、逃げ場を奪った状態でポジトロンパイクの斬撃を浴びせる。
そこからメイアは機体を翻すや否や、超電磁ライフルを一連射。背後から奇襲をかけようとしていた二機目の量産型『サギリ』を、超電磁ライフルで仕留めた。
マイアの方は一機目を撃破した位置からまるで稲妻のような高速機動を見せ、三機目となる量産型『ミツルギ』に攻撃を仕掛ける。その相手は、咄嗟にポジトロンパイクを構えて、一度は斬撃を受け止めた。しかしこれはマイアの思惑通りの行動だ。そこからスルリスルリと自分の『ライカSS』を回転させて、敵BSIの右脇腹を大きく切り裂いた。
さらに三機目の爆発の閃光を背後に、マイアは逃走を図った四機目に超電磁ライフルを単発で、立て続けに発射する。四機目となる量産型『ミツルギ』は、不規則軌道で銃撃を回避していたが、別方向からメイアの狙撃を受けて爆散した。そして自分達が排除すべき敵を全て撃退した双子姉妹は、三機の親衛隊仕様BSIユニットと戦っている、ノアのもとへ向かったのである。
そのノアは、三機のBSIユニットに纏わりつかれながらも、ノヴァルナの援護に向かっていた。傭兵団の機体は親衛隊仕様の『ミツルギCC』が一機。同じく親衛隊仕様の『サギリMX』が二機。しきりに超電磁ライフルを撃って、ノアの針路を妨害して来る。これに対してノアは、応戦せずに回避に徹していた。瞬く間に飛び去ってしまった、ノヴァルナのあとを追うのを最優先にしていたからだ。
「くそっ!! 当たらんぞ!!」
「掠りもせん!!」
ノアの回避能力の高さに、悪態をつく傭兵団のパイロット達。一機の『サギリMX』が、空になった弾倉を交換する。
「ヤツの正面に出て、撃つしかないぞ」
「無茶言うな。向こうはBSHOだぞ。ついていくので精一杯だ」
「とにかくお前達は撃ち続けろ。俺が接近戦で仕掛ける!」
『ミツルギCC』に乗るパイロットが、そう言ってスロットルを全開にする。こちらの機体は旧式の『サギリMX』より、ジェネレーター出力が幾分高い。
二機の『サギリMX』の牽制射撃の間を縫って、自分に接近して来る『ミツルギCC』を近接警戒センサーで視認したノアは、苛立たしげに「もう…」と呟く。
ノアは『サイウンCN』の加速を続けながら、幾つかの近接戦闘用のサブシステムを立ち上げた。ポジトロンパイクを起動すると、格闘戦自動照準システムも同時に立ち上がる。その間に戦術状況ホログラムが敵機のデータを表示する。
接近して来るBSIユニットは、銀河皇国軍その他で採用・配備されている、量産型『BFBー45ミツルギ』の親衛隊仕様、『BFCー75ミツルギCC』だ。おそらく銀河皇国で一番機体数が多いBSI、『ミツルギ』の親衛隊仕様機。常任パイロットではないノアでも、機体性能は充分に把握出来ている。
“時間は掛けてられない。一撃で仕留めないと…”
ノアは『サイウンCN』のバックパックのウエポンラックに固定した、ポジトロンパイクを掴み取るタイミングを見計らった。二機の『サギリMX』は離れた位置から、しきりに牽制射撃を行って来るが、照準がパターン化しており、正直、下手である。パイロットとしての天賦の才は、ノヴァルナと互角かそれ以上のノアであれば、油断さえしなければ当たりはしない。
そこにようやく距離を詰めて来た『ミツルギCC』が、ポジトロンパイクを構えて斬りかかろうとする。
「いくぞ!」と『ミツルギCC』のパイロット。
だが距離が詰まれば、傭兵側の牽制射撃も止まる。彼等からすれば僅かな時間であったが、タイミングを見計らっていたノアからすれば充分な時間だ。
「ぬあああああ!」
緊張からか無駄に大きな声で叫ぶ敵パイロットが、『ミツルギCC』のポジトロンパイクを上段から振るう。しかしカウンターで放つ『サイウンCN』のポジトロンパイクの方が数段早い。
「邪魔しないでっ!!」
三つの斬撃をひとまとめにしたノアの早業で、傭兵の『ミツルギCC』は、四肢をバラバラに切り離された。戦闘力を失った敵機を放置し、『サイウンCN』は宇宙空間で停止。ノヴァルナの援護を開始するため、武装を超電磁ライフルに切り替える。
そして放置された『ミツルギCC』のパイロットは、命があった分、むしろ幸運な方だった。牽制射撃を行っていた二機の『サギリMX』は、今しがたの戦闘で敵を排除して駆けつけて来た、カレンガミノ姉妹による思わぬ方向からの銃撃によって、粉々に砕け散ったからである。
多少の距離はあるものの、狙撃の諸元を超電磁ライフルに入力したノアは、通信機に向かって強い口調で告げた。
「下がって。ノヴァルナ!」
▶#15につづく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
獅子の末裔
卯花月影
歴史・時代
未だ戦乱続く近江の国に生まれた蒲生氏郷。主家・六角氏を揺るがした六角家騒動がようやく落ち着いてきたころ、目の前に現れたのは天下を狙う織田信長だった。
和歌をこよなく愛する温厚で無力な少年は、信長にその非凡な才を見いだされ、戦国武将として成長し、開花していく。
前作「滝川家の人びと」の続編です。途中、エピソードの被りがありますが、蒲生氏郷視点で描かれます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる