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第一章 あれ?腐った呪いなの?

じゅう ☆

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苦しくて怖くて……。
そんな恐怖が呼び出したのは、小学生の頃に田舎にいる三つ上の従兄弟がやらかしてくれたトラウマその二(あ、その一は顔にG張り付き事件だよ)。
それは、カエルの尻にストローを刺して膨らませる(良い子は絶対に真似すんなよ!虐待だからな!カエルの呪いがかかるぞ!)という遊びを披露しやがったことです。
そして、やりすぎて腹爆発!

目の前でカエルが爆発する……恐怖!
ちなみに、そのあと従兄弟は妹に蹴りをタマタマに入れられ大泣きしてました。
俺は極度の恐怖に泣くこともできず、妹に連れられ帰るという……兄としたら二重にトラウマ化してしまった事件……を思い出しました!
いま、破裂しそうな程苦しいのは……カエルの呪い!
いや、俺も被害者なんだけど、確かにカエルのつぶらな瞳と目があったよ!
助けることができなかったよ。
だって、俺……あんなことになるの知らなかったし。
ただ、得意そうな面白いこと見せてやるって言われただけだったし。
だから、カエルサン許して!
おねがいします!

なんてことを意味なく頭に浮かんだわけですが!
そうだ、魔法!
『にいちゃんはいつもとろくさい。』と妹の声が頭に響いた。
いつも言われていた……懐かしい声。でも、思い出すなら優しい言葉がよかったな。
なんて、思ってる場合じゃなく、魔法で逃げたらいいじゃない!って、口塞がってるゔ。
したら、無詠唱で使えるか?
って、思った瞬間、体中が熱くなった。
熱を出した時に似てるけど、お腹とかお尻とか……ポークビッツくんとかが特に熱くて、ジリジリというかヒリヒリというか……痒いような熱いような!
簡単に言ったらかいて欲しい!と思うようなむず痒さー。

え?なんなのコレ?

「ふふ、肌がピンクに染まってなんと可愛らしい。良い感じに効いてきたようだ。」
「では、そろそろ?」
「ああ、まずは清浄してあげましょう。効きが良ければ良いほど……戻れなくなるのですから。」
「公爵家の宝が壊れる様を見たい方が多いと聞いてますが。」
「ふふ、もちろん映像に残す手筈は整っている。我らが死んでも……この子に未来はないよ。それを憂いて悲しむ公爵家が見れないのは残念だがね。」
「まあ、今少しは楽しめることが幸いでしょう?」
「確かに。」
「さあ、体内の浄化は終えた。まずは気をやるくらいの快感を与えてあげよう。苦しいだろう?今は。
これからするのは“ドレイン”という魔法だよ?コレはね、いろんなものを吸い取る魔法でね?気持ちがいいんだそうだよ。」

頭がボーッとしてきて、魔法魔法魔法と使わなきゃいけないのはわかっているんだけど、イメージが湧くどころか思考が分散していく。
ああ、だめ、だめだ。

何か呪文が聞こえるけど、脳が溶けるような熱さに考えがまとまらない。

「んーーーーーーーーーーーーーっ!」

いきなりの快感と言うには凄まじいほどの感覚が俺を襲った。
張っていたお腹の中身が出るのではなく、激流のように吸い出されたと言ったらわかるだろうか?
気持ちがいいなんてものじゃなく、目の裏がチカチカとハレーションを起こす。こんなことで快感を得るなんて、一生知りたくないことだ。
ましてや、五歳児でなんか!

「ほお?生まれながらの淫乱なのかな?その年でメスイキとは。」
「噂は本当なのではありませんか?」
「ああ、いろんな男を狂わせてるという?では、こんな幼いのに男の味を知っているのかな?」
「実の父や兄に開発でもされているのでは?」
「ふ、あり得ることだ。腐った貴族には。」

んなことあるかい!

って、思った。
でも、すぐに怒りも霧散してしまう。
童貞暦25年をなめんなや……。
でも、今はそれどころじゃない。

「さあ、初めてではないようだし、どうせ壊しても構わないものだしね。」

初めてもなにも生まれたて真っさらさらじゃ!
それもだ前世も入れて!

後ろに何か生暖かいぬるついたものが擦りつけられる。
マジか!
まさかいきなり入れようとか!
それはダメだってBL知識がいってるよー!
恐怖が一瞬だけ快感を凌駕し、我にかえるが……。
確かに役ではそんなこともあったよ?
レイプされたり、輪姦されたりもあったからな!
だがそれは二次元で声だけなんだよ?
それに役でだって、大抵は痛いって!叫んだんだぞ?
……腐った女子ってひどいと思う……でも、妄想でなら許せるけども!
今、現実だから!
絶対に大惨事的なことになるだろう……。

でも、こいつらは怖す気満々なわけで……優しさなんて全くないわけだ。

だから!

俺は心の中で叫んだ!

い  や  だ   !!!

と。
その瞬間、体の中に荒れ狂うような熱を感じた。
そして何故か、目の前にウインドウが現れた。

暴走する?▷イエス
      ノー

ん?
……なんぞや?
呆然とするも“イエス”と心で思った。
その瞬間、カッと光に包まれた気がした。
ほら、目隠ししてるから……。

「「「うぎゃアァァァァァァァア!!!!!」」」

と叫び声が聞こえた。
次に手が自由になって、ズルリと水の中に落ちた。
いや、水ではなくお湯に変わっていた。
ゆっくりと目隠しを外す。
あまりはっきりしない視界の中……あたりが赤と青に包まれていた。
そして、それはユラリユラリと揺らめいていた。
その中に黒い人影が踊っているのが見えた。
だんだんとはっきりする視界……揺らめいた赤い光と青い光は炎だと気づいた。
その中に踊る黒い人影は、まんま人であった。
もう、自分を苦しめていた奴らはいないと感覚的にわかった。
やがて黒い人影は動きを止める……炭化して崩れていく人……。
それをハノエルはただ見ていた。
甲高い叫び声が聞こえる。
誰の声?
不安を煽る叫び声。
誰か、それを止めて?

その声はものすごく近いところで聞こえていた。

「ハノエル!」

誰かがそこに飛び込んできたのが見えた。

「ハノエル、力を……。」

聞こえないよ、聞こえない。
だって、叫び声がうるさいんだ。
体も熱いよ……。

そして気付く……ああ、近いはずだ。
叫び声を上げているのはハノエルなのだから。

そして、俺ではない俺の声が遠くから響いた。
『怖い、僕は……人殺しだ……怖いよ……魔法なんて……人を傷つけるだけ……誰か、僕を助けて!』
俺はわかった。
ハノエルは、優しすぎる。
そうか……これが『原因』だったのか……だから、自分が危なくなっても魔法を使わなかったのか…………。
いいよ、ハノエル。
これは俺が選んだ選択だもの。
ハノエルは、俺だよ。
俺は、ハノエルだよ。
大丈夫。
俺=ハノエルは、悪くない。
悪いのは………。

そこで俺は意識を失った。





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