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第一章 あれ?腐った呪いなの?
じゅうさん
しおりを挟む目が覚めてあたりを見回す。
誰もいない……?
なんでいないの?
一人きり……?
不安が胸を押し上げる。
あ、俺の中のハノエルの心がキュッて縮こまった……。
キラワレタンダ……。
それはないと俺は思うぞ?
ハノエルのネガティブな気持ちにまったをかけると、天蓋のカーテンがめくられ、兄カレイドが顔を出した。
ほらね。
心の中で俺はドヤ顔してみた。
「…ハノエル、今日はハノエルに……ハノエル!ハル!目が覚めたんだね!トルーン、すぐに父上たちを!」
「はい、すぐに!」
兄は驚きと安堵がない混ぜになったような表情で一緒にきた男に指示を出す。
あと、ええっと、トルーンは執事見習いだっけ?
よかった、俺の記憶はまとものようだ。
「よかった、ハル。神様、ありがとうございます!……っハル!」
俺は体を起こそうとして、腕に力を入れようとしたらベッドから落ちそうになり、兄に抱き留められた。
体に力がはいらないらしい。
「大丈夫かい?」
「………。」
声がでない!
なんで!
「無理に声を出しちゃだめだよ。ハルは……一ヶ月も目を覚さなかったんだ。」
一ヶ月も!
そりゃ、声も出なくなるよ。
使ってないんだから。
兄が優しく俺をベッドに戻す。
でも、安心させるためか手を握ったままだ。
俺の中のハノエルがホッとしている。……家族大好きだもんな。
特に兄が大好きってわかる。
もちろん、俺も大好きだ。
バタバタバタバタバタ……ガタンっ、バンっ!
「ハル!ハノエルが目を覚ましたって!」
「ハノエル!」
「ハル!」
ベッドに父様、母様、姉様の順に顔を出す。
みな、俺を見ると一様にホッとした顔をして、瞳に光るものを浮かべた。
もちろんハノエルも皆が来てくれてホッとしている。
一ヶ月も目が覚めなかったら……誰でも心配するよね。
すると、パンパンと手を叩く音がする。
「ほらほら、目覚めたばかりのハノエルがびっくりだよ?
診察するから、下がって。」
「だが、アズリア。」
「はいはい。わかってます。でも、診察は必要でしょう?」
「そうね。アズリアの言う通りね。」
兄様以外が後ろに下がると一人の青年が顔を出した。
確か……。
「久しぶり、と言っても最後にあったのは2年も前か?」
「ぁ……。」
「うん、アズリアだよ。声はまだ出さないでね?」
アズリア……3歳くらいの時に会ってる。確か、母様の弟でお医者さんにだったはず?
触れられた瞬間、意識せずに体から震え出した。
「あ、ああ。怖いね……。もう、大丈夫だよ。ね?」
母様によく似た笑顔で頭を撫でらると、少しずつ震えが収まってきた。
「いい子だね。痛いことはないからね?サーチをかけるから、体を楽にしていてね。」
コクリとうなずく。
「うん。サーチ。」
アズリアの手から、何か暖かいかものが流れ込んでくる。
これは魔法?
でも、この力を俺は知ってる。
「うん、薬は完全に抜けてるし……あとは、体力の回復だけだな。
しっかり食べるんだよ?
喉の方にはヒールをかけてあるけど、眠ってる間使ってないからね、声が出にくいと思う。
無理に出さないようにね?」
「ぅ…。」
たしかに出し辛い。
「アズリア。ハルはどうなんだ?」
父が、焦れたようにアズリアを急かす。
「ああ、義兄上、姉様。もう大丈夫だと思いますよ。」
「ああ、よかった。私がもっとよく調べておけば……。」
「まさか、教会にまで。」
父と母が項垂れる。
「ほらほら、まだ目が覚めたばかりなんだから、あまり長くはだめだよ。セバス、何か消化に良いものから食べさせてみて。
様子見ながらね。俺は、寝かせてもらう。
もし、なんか少しでも変化があったら、起こしてくれ。」
そう言ってアズリアは、部屋から出て行った。
かなりお疲れで目の下に隈があった。
つまり、ずっと俺をみてくれていたのだろう。
さりげなく、セバスも出て行ったのは料理長に指示を出しに行ったのかもしれない。
「ぉ、ぼ、く……ど、……。」
どうなったんだ?あの後。
それが聞きたい。
自分のことだから。
「それは、ハノエルが元気になってからでもいいんじゃないかな?」
「で……し……。」
でも、知りたい。
「しら……な、や、……だ。」
「ハノエル……。」
知っとかないとこれからの対処が、できないしね。
俺はこれから自分の身と家族を守るのだ。
「……わかったよ。」
と、父が話し始めた。
兄と母は回復してからではダメかと何度も言った。
でも俺は知りたいし、知らなきゃいけないのだ。
父は、俺が聞かないと逆に気になって静養できないのではないかと判断してくれたみたいだ。
ありがとう、父。
まず、俺を襲った三人はある貴族の庶子二人と貴族に甘い汁をもらっていた神官だとか。
三人ともその貴族のおかげで神官の中でも幅をきかせていたらしい。
しかし、その貴族。
叩けばホコリがたくさん出てくるような奴で、隠れて悪いことばかりしていたんだとか。
まあ、それを暴いてお家お取り潰し……みたいなことをしたのが、父と王様なんだと。
王様に怒りはむけらんないじゃない?
でも、公爵だって……ねえ?
で、そこに飛んで火にいる夏の虫な……ハノエルなわけですよ。
家族は入れない。弱っチー小さなお子様。それも公爵家が可愛がっているわけです!
まあ、やっちゃえ的な?
計画的には無計画なわけだから穴だらけだったみたい。
まず、神官長が遅すぎることに不審になり、家族のもとに戻った(小さな子にはあるみたい、不安で泣きすぎて家族の場所にもどるって)のではと、父たちのところへ。
もちろんハノエルはいない。
まさか!と。
で、俺が暴走したところに登場したわけ。
奴らが撮っていたビデオみたいなものがあって、奴らの悪事が明るみに。
ただ、使われた媚薬がたちの悪いものを数倍の濃さで使われたらしい。
悪くすれば発狂。
正気には戻って来れなかったかもしれない薬だったんだって。
で、アズリアは薬物、医療、治癒に精通していて……なんとか体から消すことに成功したらしい。
ただ、そこまでが大変だったみたい。
なまじ、俺の魔力が高いせいでアズリアの魔力を跳ね飛ばしちゃったみたいなんだ。
というか、兄カレイド以外の全てを否定してしまったみたいで……完全に体に吸収されたら終わりって、時間に猶予もなく結構大変だったみたい。
俺も兄以外が触るとすんごい暴れたみたいで。
……でなんとか、薬の効果は消せたけど、体力も精神も消耗しすぎて、目覚めるかわからない状態で今に至る。って奴。
魔法のおかげで一ヶ月眠ったままでも栄養はなんとかなっていたらしいけどね……点滴はないみたい。
つまり、弱い身体がさらにひよってしまったわけだよね。
なんで弱い体。
でも、幼児なんてそんなものだよね?
ただ、幼児だからこそ元に戻すの大変そう。
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