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第四章 あれ?ヒロインは何人いるの?

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それからさらに数日が経つと、フッと本当に『フッ』って感じで明かりがいきなり消える感じに、兄の翼が消えた。
消えた後には金に光る翼の小さな痣があったけど、とにかく翼は消えました。
なんの前触れもなく、いきなりフッて感じで消えました。
……俺のも唐突に現れて消えたし、いったい何が関係しているやら、さっぱりわからん。
まあ、邪魔がなくなったってだけだけども。なかなか視界の暴力的なものがなくなったので、スッキリした感じではある。
でも、ふわふわと気持ちが良い触り心地であったので、ちょい残念って思う気持ちもある。
ヴァルたちも若干残念そうだったし。潜り込んで羽根で遊ぶのが楽しかったらしいです。
ちなみに兄の髪色は金髪のままです。
まあ、兄には似合ってるしいいかもしれない。
神石玲と福良春樹として、お互い認識しあって距離感が離れるかな?って思っていたんだ……だって、日本人だしさあ?
けど……そんなことは全くなく、いや、むしろ近すぎでしょうってくらい、ベタベタなベタなカップル化してます。
兄がとにかく世話焼きで……マジでクリーンが使えることに感謝する毎日です。だって、トイレは……ねえ?勘弁していただきたいのですよ。
兄も翼があるから学校は自主休講ですし……暇があれば俺の世話という……。
ある意味、溺愛だけど過剰すぎて溺れてしまいそう。
体が安定してきたおかげで、ウトウトと眠くなることはなくなった。
なので、俺の1日は兄からの沢山のキスの雨から始まり、顔を洗ってもらい(トイレはクリーンで無し!もう、コレ大事!大事なことなんで、もう一度!)、着替えから身支度まで兄の膝の上で、兄にされる。
食事も腕が使えるのに、兄に姫抱っこ座りで食べさせられる。
兄の腕の中から離れる暇のない、日中を過ごして……お風呂も一緒。寝るのも一緒。
ふふふ。
兄は俺を一人で生活できないようにしたいのかな?
10歳からパラサイトは不味くない?ニートどころの話じゃないよ?
え?そんなに始終一緒にいて、ウザくないか?って?
これがまた、ウザくないんだよ。
ウザく感じないんだよ。
身体中で喜んじゃうんだよ……嬉しいんだよ。

……俺、終わってるよね。

でも、翼がなくなったことで、自主休講の理由がなくなってしまった。
つまり、日中はまた兄と離れるわけで。
半期休みは長めになって、嫌なこともあったけど、イチャイチャは長くできたから……我慢しなければならないことだろう。

いや、俺、我慢しろよ。

ヴァルたちだっているんだし。
姉だっている。
ルイくんだっているんだから。

でも……寂しい。

だから、兄にお願いした。

「兄様、明日はセバスにのところに行きたい。お願い。」

運良く?運悪く?
ちょうど翼が消えたのは週末。
だから、週明けから兄は学園にまた通う。
だから、その前にもう一人の大事な人をできるなら復活させたい。
たぶん、兄と一緒じゃないと出歩けない気がするし。
使用人たちのことは嫌いじゃない。
でも、自分一人でで会うと怯えてしまうことがわかってしまった。
兄がベッドから離れている時に、たまたまメイドが水の差し替えをしに来た。
その時、俺は体が震えだして……その後は覚えていない。
話によると『ごめんなさい』を繰り返していたらしい。
……水の差し替えに来たのはこれが初めてじゃない。
兄が側にぴったりとくっついていれば、何もなかった。
どのくらいまで平気かも、調べてもらった。
だって、兄は昼間いなくなるから。
そしてわかったのは、兄がベッドから降りた時点で、家族とルイくんとセシウス様とアズリア以外は同じ部屋に入った時点で発作を起こすということ。
そして、部屋から出た場合は兄がくっついていないだけで発作を起こしてしまった。
本当はもっと調べてみたかったけど、兄とアズリアに俺への負担が大きすぎるからダメだと言われてしまった。
しかし、結果として……最悪だよね。
兄がいなければ部屋の外に出れないし、酷いと錯乱してしまうほどらしくて……あんまりはっきり教えてくれなかった。
でも、下手をすると命の危険もあるって言われてしまったので断念しました。
お腹の子にも悪いと言われたら、引っ込むしかない。

「仕方ないか。わかった。明日連れて行ってあげる。でも、抱っこだけだよ?」
「はい。ありがとう兄様。」
「お礼は、キスか『レイ』って呼んでほしいな?」

………。

チュッと兄の唇にキスをした。
兄が神石先輩だって、わかってから初めて自分からキスをした。
だって……恥ずかしい。

「名前より、キスのがマシって……どんだけ、名前呼ぶのが恥ずかしいの?」
「……だって。」

恥ずかしいのもあるけど、憧れの先輩を呼び捨てなんて、恐れ多くて……できないよう。

「ふふ。まあ、そのうち呼んでくれるよね?」
「う……ん……頑張ります?」
「なんで疑問形かな?」

クスクスと笑われてしまった。


でも、ようやくセバスに会える!







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