娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

文字の大きさ
29 / 124
第二章 異世界というものは

No.6

しおりを挟む


パッと目の前の景色は一瞬で変わった。転移というのは、自分でしても人にやってもらっても慣れないものだよね。
だって、いきなり目の前が変わるから。
強いて言うなら……飛行機の中に座っていたかと思ったら、目を瞑った一瞬に地面にいた?
そんな感覚?って、そんなことをしたことないんですけどねー。
そして、だ。
目の前には散らかった部屋があります。

「汚い……。」
「臭い……。」
「すまん。」

ということは、やはりロドの部屋らしい。

「これでもかなり片付け……た。」
「もう!おろちて。我慢できにゃいの。」
「う……は、はい。すまん。」

自分のテリトリーの中のせいか、私を素直に下ろす。感じからするとバリア……結界を張ったらしい。ロドリヌスの気で包まれてる気がする…あ、これが魔力ってモノか!
とりあえずですよ。
ガーっと洗濯物らしきものに、浄化をかけていきます。
もちろん匂いはローズの香りで!でないと……加齢臭なるものがしそうだしね。……そんなお年ですよねえ?
でそれを端から一気にたたむ!
魔法の凄いのは畳みながらアイロンをかけていけるって感じにできるんだよね。ふふふ、この力が日本であったらよかった。
あ、でもね、畳んだあとにオイルヒーターの上に少し乗せるとちょっとだけなるんだ。正しい使い方じゃないから、下手に真似しちゃだめだよ?
うちは、狭いアパートのへやだったから、オイルヒーターで結構暖かくなりました。喉にはいいのと火傷しにくいから、それで暖をとりました。あ、もちろん『おこた』はありましたよ?

あ、そうそう話をもどしますね。
たたみ終えてから仕舞う場所を聞いたら、端っこにある長持ちみたいなのがあってそこに服は入れているらしいのです。なので奏歌に入れてもらいました。だって、私では開けられなかったから。
なんでもその箱は、マジックバックみたいになったもなんだって。魔法を付加してる魔石がついてるんだとか。その辺はそのうち詳しくお聞きしたいな。
ある程度は、ロドリヌスも自分の空間収納マジックボックスに入れているらしいのですけどね。
さすが、元とはいえ勇者様ですねえ。空間収納マジックボックス能力をお持ちでしたよ。
一通り片したところで、部屋を魔法で掃除した。
いや、本当は全てを水拭きしたいが……。そんなことをしていたらこの部屋の広さだと日が暮れてしまうというか、いつまでもいる気はないのですよ。それに、私たちは掃除にきたわけはじゃないのです。
……あとねえ、魔法はたくさん使えますけども体力がねえ……ないんですもんねえ。ズルをしましたよ。だって、寝ちゃったらマズイでしょ?いろんな意味で。
さて、部屋が綺麗になりました。もちろん匂いだってかえましたよ。桜イメージの香りの芳香剤っぽくしてみました。春ですしね。といっても私ではないの。
奏歌が桜のアロマの香りをふわりと漂わせただけです。たぶん、春は私がサクラのイメージで作られた芳香剤シリーズを買うからかも。
うむ、なかなか器用なやつですね、我が娘ながら。
そしてお茶を入れるポットとカップを取り出す。
一応、勇者のは部屋に何個かあったので浄化して一つを勇者の前に。私たちのはマイカップをつかいます。
私が持っているカップは奏歌とラナンと私の分しかない。
たぶん、癖みたいなもので自分で入れるお茶を客用カップに入れるっていう頭がなかったのよね。入れた後で気がついたの。
ほら、掃除やなんだと自分でお茶を入れたことで、招かれ感がなくなってしまっわけですよ。私の責任じゃないと思います。
でもねえ……。
三人のはお揃いだからって、ロドリヌスよ……ジト目ではやめてくれないかな?まあでも、気にしなませんけどね?
お茶を入れたらロドが空間収納マジックボックからお菓子を出してくれた。
なんでも、ワザワザ買い出しに行ったらしいんだよ。
まあ、転移も使えるからすぐに買って帰れるから困らないかな?
もしもヒッキーの子が転移使えたら、自力で生活できそうだよね。買ったらすぐ部屋だもの。

用意もできたし、いざお茶を飲もうとしたところで扉が激しく叩かれた。
ま、片付けていた時間かわありましたからねえ。

「ちっ、もう来たか。」

いや、くるでしょう。どこにいったからわかってるし。
同じ城の中なんだから。

「ええ、来たわよ。」

と、目の前にミリが立っていた。
あれ?扉、閉まってるよ?
もしかしてミリオンも?

「遅かったな?ミリオン。」
「仕方ないじゃない、あんたの結界の隙間を見つけるの容易じゃないんだから!それをぬっての転移なのよ?」
「はは、まあ、合格だ。座れ。」

やっぱり、ミリオンも転移できるんだね。魔力強いっていってたまもんね。
と、
そんな会話をしている間も扉はガタガタと叩かれているが、開かないし、ロドリヌスもミリオンも奏歌、ラナンすらまったく気にしていない。……いいんですかね?
え?もしかして一番小心モノは私だったりしますか?
私が入れたお茶を飲んでうまいと、皆さま賞賛しているけどさあ、どこにでもあるやすい茶葉だよ?すんごく安いの。でもね、緑茶に似てるんですよ。
やっぱり、お高いのは紅茶みたいなお茶でした。

「あの、なんで?ミリが?」

あれ?って奏歌が今気づく。
気づいてなかったのか……。まあ、そーゆーとこありますよねー、我が娘は。

「ん?あれ?いってなかったかい?」
「ラナン?」
「ミリ、ミリオンは勇者候補だよ。というか、継ぎたくないとごねてるがすでに勇者にはなっているのか?」
「……私は認めてないけど、国的にはね?まあ、だから?あのバカが王太子なんだけど?」

……そういや、次期王だとか言ってたか?あの第二王子は。
つまり、第一王子が勇者になるから、王は別なんだ?

「ふーん。だから、てんいできるのかあ。しゅごいね。」
「いいえ?凄いのは貴方達姉妹の方ね?でも、まあ。お茶が美味しいわ。淹れるの上手ね。あ、このお菓子美味しいわよ?ソカ。」
「美味いな。」
「ぎゃー!シャル!」

なぜ、今出てくるんだー!

「誰だ?オメエ。」

おう、ロドからかなりの殺気がでている。すごく怖い気配。
それを受けているに、飄々と受け流すシャル。
ちょっと、もう、なんで出てきたわけ?

「ふふ、現勇者と元勇者がお目見えなので、ご挨拶でもとね?思ったのだ。
あとは、そう……我が主を勇者にも英雄にも渡す気もないゆえな。」

うわーもー、なんか、めんどくさいことになりそうなんですけど!
外はあいも変わらずガッタガッタしてるしー!
はあ、なんで?なんでこうなるの?
あと、母がこんな大変な思いをしてるのに、なんで奏歌はそこでお菓子でまったりしてるの!

「私、あんまり関係ないし?」

私の恨みがましい視線に気づいて言い訳がましく言うが……母が困ってんだから助けてくれたっていいんじゃないかな!

しおりを挟む
感想 188

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...