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第二章 異世界というものは
No.34
しおりを挟む近くで見るとグロさが際立つね。
ん?
なんかものすごーく臭い。
なんてゆーの?そうそう、生臭いんだよ。
なんだコレ!魚の腐ったような臭いだよ……。それも一匹や二匹ではない数を腐らせたような臭いだよ!
もうコレは、いろんな意味で『公害』レベルだと思うんだよね。
でも、周りは臭いのことは言っていない。
みんな、よくマスク無しで平気だな!ってレベルなんですけど⁈
「もう!なんで、この世界は臭いことばっかなのー!」
キー!
と私のトンチンカンに思える文句を聞いて……戦いの最中なのに、自分の匂いを確認するおバカさん達がいた。
そうだよ、皆んな臭いんだよ!
ちゃんてな浄化して?ちゃんとお風呂入ったり、洋服洗ってよ!
「さて、君?よくもラナンさんを傷つけたな?言っとくけど許さないよ?」
『……喰う喰う喰う喰う……。』
……一応、声を出していたみたいだけど、『喰う』しか頭にないのか。まあ、これなら罪悪感は湧かずに済むね。
さて、光も効くらしいけど、せっかく弱点もわかったことだし……ふむ、いってみようかな。
えーと海水だったよね?
ナメクジに塩ってやつだよね。
塩はソルト……ソルトウォーターでいいのかな?
雨にすると範囲が広すぎ?
あ、シャワーか。うんうん。シャワーなら部分的?だね。
塩水より海水のがいいのかな?とは思うけども。残念ながら海水の成分はわからないからな。
それに海は今のところ見ていないしね。……でもお魚がいるんだから、いつかは見れるかな?
ではでは、塩もあるしね。
まずは塩水でいってみよう!
「『ソルトウォーターシャワー』」
シャワワーとブラックドラゴ……もとい、巨大ナメクジに塩水をシャワーしてみた。
初めは、何の影響もなかった。
だから、失敗かな?って思ったんだけども。
いきなり、シュシュシュと音がしてプシューーッと空気が抜けるように小さくなっていく。
ふふふ、やはり貴方はナメクジなのですな!
と感心してる場合じゃない。
溶けて液体化した気持ちの悪いものから、臭気が上がっていて……、周りにいた兵が苦しみ出した。
え?もしかして毒!毒なのかよ!うわあ、やばいじゃん!
もう、全てが最悪な生き物だな!
「『光の雨!シャイニングレイン!』」
で、どーよ!
あ、ああああ……やりすぎた。
だってさ、奏歌の歌声効果って言うの?
変に頑張っちゃったんだよね。
もしかすると奏歌の歌で相乗効果になったんじゃないかと、私は解析するね!つまり、私だけの責任じゃない……ことに…して!
まあ、どうなったかと言いますとね?
ドロドロに溶けたナメクジが毒に変わって、あたりに毒が立ち込めたらしい。
やばいと焦って、光の雨を降らせちゃったわけ。
そしたら、どうも浄化しちゃったみたいなんだよね。
綺麗さっぱり、目の前からナメクジは消滅えたわけですよ。
で、それだけならまだしも……光の雨はまたまた傷められた大地を元にもどし、さらには……ラナンの傷が消えてしまっているじゃないですか!もちろん、兵士さんたちもすっかり元気に……。
あらやだ、もう、奥様ったら、やりすぎなんではなくて?
と井戸端奥様の声が遠くに聞こえてきた。
あははは………。
毒も綺麗さっぱり……。
やっぱり、やっちまった……って、思いますよねえ?
……でも、きっと、たぶん、私だけのせいじゃないと思う(現実逃避)。
毒で苦しんでいる兵も、もう苦しんでなくて……。
ああ、こちらを見たミリオンの笑顔が怖~~~~い。
このまま、テレポートして帰りたい。
帰っていいかな?
その時、何かが光った。
何?と思うよりも早く、目の前にロドリヌスがいた。
「……ったく、あぶねーなあ?」
私をすぐに抱き上げて、さらに飛ぶ。
私は何が起きたのか、分からずただロドリヌスにしがみついていた。
高速で動くロドリヌスから振り回されるためなんだけどもね、条件反射的なものです。
でも子供抱っこのため、ロドリヌスが何故、動き回っているのかわからない。
「『風よ、切り裂け!』」
「グゥッ!お ま え 、な に も のだ!」
「名乗ってほしけりゃ、名を名乗るんだな?」
「ロド様、そのままソカの元に。あたしが片付けるわ。」
「任せていいのか?」
「とうぜん。人相手なら負けないわ。」
なんだか、怖いモノを纏ったミリオンの言葉に、ロドリヌスが私を連れて奏歌の元に戻った。
「ショウ!大丈夫だった?」
「う、うん。よくわからないんだけど……何があったの?」
「アレを見ろ。」
ミリオンと元ナメクジがいた場所を見ると黒い男がいた。そう、全身が闇って言うか、影みたいな黒いモノ。
形は人。でも、全身黒タイツのような……たぶん男であってると思う。胸ないし。
それがフードを被って立っていた。元ナメクジの場所に。
なんだアレ。人なの?
「おまえ、アレに攻撃されたんだぞ?」
「うぇ?」
「私も見た!あそこから黒いロープみたいなものが飛び出して、ショウのところに向かって行ったのが見えて、思わず、歌止めちゃった。」
「そうだ。」
「それをロドさんがバシュって、手で受けて握りつぶした感じに見えた!」
「魔法で相殺しただけだぞ?」
「んで、んで、そのあとも全部、ショウを抱っこして躱したの!すっごいね。」
まじですか?つい、ミリオンが怖くて、思考がそっちに向いちゃっていた。
「あれに捕まると、ヤバイんだぞ?」
「そうなの?」
「あれは、ドレインの魔法で属性は闇。わかっていれば、光で握りつぶせるが……捕まればやばい。」
「ドレインって、吸収魔法?」
「そうだ。お前の魔力を吸い取ろうとしたんだろう。
教えただろう?人は完全な属性生物じゃあない。持っている属性の魔法でも、発動しなければ無しにはできないんだって。特にドレインは、同じ闇の属性さえも吸い取る……いや、相性が良すぎて一瞬で個体を消せるだろう、魔物相手ならな。」
「う…ん。」
怖い魔法だ。そんな攻撃にあったなんて……。
「戦いの場で気をぬくな。」
「うん、ごめんなさい。」
「まったく、肝が冷えたぞ?」
ほんっとに、申し訳ない。
そんな攻撃されたなんて全くわからなかったよ。
だって、殺意とかは、感じなかったんだもん。
でも、何が飛んでくるのはわかったけど……気をそらして(ミリオンの笑顔が怖くて)いたから反応が遅れてしまった。
「これからはもっと、気をつける。ごめんなさい。あと、ありがとう。」
「ああ。気をつけてくれ。」
「……ねえ。ミリさんは大丈夫かな?」
「ああ、人間相手なら負けないだろ。……というか、ブラックドラゴよりも、格下だぞ?あれは。ある意味、ブラックドラゴのカスみたいなもんだな。
……たぶん、喰われた術者だろうとおもう。」
「ふーん、って、ママ!」
「な、なに!」
「ティアが!」
「え?」
「ああ、あ、あそこー!」
奏歌の指さした先に、ティアが座っていた。
えええーー!
いつのまにーーー!
「い、行ってくる!」
「ま、待て待て!」
「は、なしてー!ティアがー!」
「よく見ろ!」
何をよ!
赤ちゃんドラゴンだよ?
危ないよ。助けなきゃ!
「いや、ほら見てみろ。アレは戦う気だ。」
は?何を?
「ママ!ティアが!」
え?って思う間も無く、ティアの口から膨大な光が発射された。
そう、いわゆる『ドラゴンブレス』というものだろう。
「な、な、な、ん………」
たぶん、『なんだ』とか言いたかったのか……その黒い人影は『な』をたくさん残して、も、完全に消えた。
ミリオンは、一瞬唖然とした顔になったけども……すぐにいつもの食えない微笑みに変わった。
ティアは、くるりと私の方を向いてギュイーンという表現が正しいと思える速度で、私の元……正確にはロドリヌスの足に突っ込んできた。
「アウチッ!」
ティアがぶち当たった瞬間、ロドリヌスは外人のような痛がりを見せて、ため息をついた。
そりゃ痛いよね。
はっは……。
なんか、色々しでかしてしまった……私たちなのでした。
『我の出番がまた無かった……』とシャルから念話が飛んできたが、知っちゃこったない。
だって、奏歌、ティア、私で……やりすぎてしまったのだもの。
さらにシャルが絡んだら……面倒がさらに増える未来しか見えない。自分たちが『災害』認定されそうだ。特にシャルはオーバーキルになりそうだもん。
いや、もう、今更かもしれないが……すでにオーバーキルどころじゃなかもんね。
________________________________
とうとう、平成も終了ですね。
令和元年かあ……。
相変わらずバタバタでなかなか感想へ返信ができず申し訳ないです。
拙い話を読んでいただきましてありがとうございます。(^ω^)
和暦が変わっても、よろしくお願いいたします。
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