娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第二章 異世界というものは

No.36

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「うーんと?リバイブって?」
「えっと…確か…あっ、人を生き返らせる魔法だ!」

うぇっ?蘇生?まで?ってこと?

「そうだ。まあ、死んですぐの破損のないものじゃないと……蘇生は無理だな。
たぶん、だが。使えるようになるとおもうぞ。」

あ、よかった。今じゃなかった。
つまり、死んでほしくない人間からは離れなきゃ、生き返らせることができるってことじゃない?
やったね!
もう、怖いもんないじゃないですか?
奏歌からは離れないんだからねっ!

「ソカから離れないとか、思ってるでしょう?
でもね?なんでもかんでも生き返らせないからね?
だから、命は大切にしてちょうだい?たしかに貴女達二人はとても強いわ。
たぶん、レベルが上がってくれば、あたしたちでも太刀打ちできなくなる日がくるでしょうね、確実に。
でも、忘れないでほしいの?
魔法は万能ではないのよ。
それに……何が災いするかわからないのが現実なのよ?」

さっきとは違う微笑みで言ったミリオンの言葉は、素直に心に落ちてきた。
うん。そっか、そうだね。
どんな小さなことでも、何が起きるかわからない。どう転ぶかわからない。
私たちの魔法は凄いかもしれないけど……たしかに万能じゃないもんね。
敵対してくるものが、どんな弱点を突いてくるかわからないし。  
慎重に行動しないとね。

「うん。肝に命じとく。スピードや魔法なら勝てるかもしれないけど、何が足を引っ張るかわからないもんね。」
「そう、貴女たちの絆は強いでしょう?それに漬け込むやつもいるかもしれない。」
「まあ、なるべく守るがな。未来は見ることができないからな。」
「うん。そうだね。」

そうだよ。いつも、いつだって未来は不確定。
あの時だって……。ブンブンと思い出しかけたことは、頭を振ってけした。
そもそも、私たちだって……なぜだか、この世界にいるんだもんね。奏歌の生を望んだためでもあるけどさ。
あんな死を迎える未来なんて、当たり前だけど知らなかったことだし。
いくら、老いることがあまりない世界だってさ。
実際には何で死ぬかわからない。
あの屍の山の中に、いつ混じるかわからないんだもの。
そう、奏歌を守るために慎重に慎重を重ねてもいいくらいだ。

「まあ、いいわ。気をつけて生きてくれたら。
使うなって言っても……無理でしょうしねえ。ショウもソカも頭より先に行動しそうなんだもの。
どんな魔法を使ってもねえ……。」
「目立つだろうなあ。発想そのものが、この世界じゃありえないからなあ。」
「だわね。」

と二人で納得していますが!ちょっと心外だわ!頭だって使ってるよ~。
それに、私らはまともだよ?ねえ?
……まあ、そうだねえ。
発想だけは未来的にはなっちゃうか。
何せ、漫画やラノベ、ゲームの受け売り状態だしぃ?
まあ、そこはそれ。
笑ゴマでしょう?ね。

「そのうち、凄いことをやらかしそうよね。」
「ああ、だが。その前にたぶんなあ……。」
「そうねえ。たぶん、くるわよね。」

え?なに?なんで、そんなかわいそうなものを見る目で見てるわけ?
すんごい、嫌な予感がするんですけど!

「なに?」
「ん?」
「たぶんなあ。」
「「うん。」」
「登城命令が降る。」
「「え?なんで!」」
「……なんでって。なあ……。」

なんでよ!私たちは、一応ギルドの依頼でいったんだよ?

「こういう時は頭の回転が止まるのねえ?
『ブラックドラゴ』を倒したからに決まってるでしょう?軍でも倒せないのを一人で倒したのよ?
そ れ も !
大勢の兵士の前で。最大の功労者だしねえ。さらに、教会も……。黙ってないわよね。」

……ああああ……。そうだー、兵士ばっかだった。
あの屍の山は、半分以上が敵というか盗賊たちで、あとは下級の兵士や冒険者で……残った兵士は結構いたんだよね。
ってか、かなりの数でいったんだね。まあ、だから直ぐに終わるはずだったんだよね。たぶん。

しかし、警察の表彰程度でいいのに。
つまり、ギルドからの労い程度でいいんだけどな……。

「お断りは?」
「「できない!」」

うぎゃー!いやだー!

「行きたくない!」
「ママ、二人でどっかに「「いかせない!」」

奏歌の言葉を遮り、二人は私らを確保したのだった。
いやだー。
まじ嫌だわ!
王とか、教会とかって……面倒しか浮かばないわ!

後悔先に立たず……。
いや、後悔してないんだけど!
別の意味で後悔だよね。

「まあ、今日は疲れただろ?送るからゆっくり休め。」
「あい……。」
「はーい……。」
「まあ、そのなんだ。慣れたらそれほど、面倒でも嫌なもんでもないぞ?王は、まあ面倒だが悪いやつじゃないし。」
「ロドさん、それはフォローになってないから。『面倒』言ってるからね?」
「んんん。まあ、なんだ。ミリ、フォローしてやれ。」
「えー、あたしも親兄弟とはいえ、面倒なんだもの。あの人たちは。ああ、そうねえ。うん。
母上を引っ張りだそうかしら?」
「ルテリシア様を?」
「ええ。母なら……たぶん。」

ミリオンの母って、王妃様?
いやいや、厄介が増えそうじゃないの?

「そうだな。王妃様ならあいつらを黙らせることが可能か?」
「ええ、来ていただきましょう。」
「頼む。」

と二人の間で王妃様を呼ぶって決まったようです。

……何がどうして、こうなった?
人付き合いって、なんでこう面倒ごとが増えていくのでしょうか……。




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