娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第二章 異世界というものは

No.49

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なずかな?
頭がボーっとする。
なんでだろう。
あ、アレはあたしだ。そう、あたしだ。

「あんたなんて……シネバヨカッタノニ。」

「アンタがシネバヨカッタノ。」

「ナゼ?アンタガ生キテルノ?」

「アノコガシンダノハ ア ン タ ノセイダトイウノニ!」

違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う………。

私のせいなんかじゃない。

ーーミンナミンナ アタシ セイ?

ダカラ
コノコダケガ……ワタシノミカタ。
ソウ コノコ ダケ

そして、目の前が一瞬で真っ赤に染まる………。

赤はいやだ…
赤は血の色……
恐怖のいろ……








バッと飛び起きる。

「ママ!目が覚めた?」

心臓がバクバクしていて、すぐに理解ができない。心臓の音がうるさい。

「ママ?大丈夫?汗がすごい。」
「コレヲ。」
「ママ、拭いてあげるね?」
「そ…か?」
「うん。」

汗を優しく拭ってくれた後、奏歌が私を抱きしめてくれた。


そして、私は思い出した。


ここは異世界だ。

そう、異世界だった。

奏歌と私はあの世界で死んだんだった。
神様がわたしの願いを叶えてくれたんだ。

「ショウダイジョウブカ?」

だれ?
心臓が痛くて
ワカラナイ


「ママ、大丈夫?みんな心配したんだよ?」

奏歌だ。

ううん、違う……ソカだ。

みんな?みんなって?だれ?
私の家族は奏歌だけ……。
奏歌いがいにいない。

ああ、そうか!
そうだった。

この世界に来て、知り合った人がいた。

ふわりと周りの色が変わった。

どうやら私は、奏歌だけがカラーで認識できて、奏歌以外がモノクロで認識できなかったようだ。
思い出すと同時に、全てがカラーにかわった。
心配そうに私の手を握る奏歌。その肩に手を置いたミリオン。
私を抱えてるのは、ロドリヌスか。どうりで硬いけど温かいベッドだとおもった。
心配そうに覗き混んでいるのは、ハリーとラナン……とシャル?までいるのか。

「えっと……。私どした?」
「覚えてない?」
「んーーーー?」

確か、お城に来て。
脳筋だから……って、別部屋に来て。
お茶を入れたメイドが悪いやつで。
んーと、お茶にが入っていた。
で?
なんか、黒い……攻撃されて戻してメイドが死んだ。
でもって……んー?奏歌が血だらけ?
違う、アレは前世だ。
奏歌を殺ろせって?
いや、違う。
そんなことは……ない、なかった。

「ママ?まだ変?」
「んー、大丈夫。私はどうしたの?」
「んと、すごく怒ってたのは覚えてる?」

怒って。
うん、奏歌を殺されると思ったら……なんかすごく頭にきて……頭の中が白くスパークして。
なんか黒いものがどんどんどんどんとお腹の底から溢れて……。
パチンッて。
そっから、覚えてない。

「なんか、すごく頭にきて……あとは覚えてない。
……私、何かしちゃった?」
「……良かった。戻ったな?」
「戻った?」
「いや、お前のソカへの愛の深さにみんな驚いてるだけだ。」
「……。」

愛の深さって。
まあ、そうだけど。
私の命より大事なものだからね。

「はあ、もう。ママ?私だって強いし、ママより危機感あるし。
大丈夫だからね?もう、そんなに怒らなくてもいいんだよ?」
「え?あ、うん。ソカは強いんだ……ね。」
「そう!」
「わかった。」

そうか、ソカは強いんだ。
だから、大丈夫。

「えっと。どんくらい時間だった?」
「大丈夫だよ。2時間くらいだから。」
「そうなんだ。……ごめんなさい。」

2時間もたってるのか。
なんか、私がなんかしちゃったみたいで。

「ショウ様が謝る必要はございませんわ。
謝るのは私どもの方。あのような不届きものを雇い入れていた、私どもの落ち度でございますわ。」
「さよう!あやつは、レリアに眠り薬を飲ませておりました。
……まあ、自業自得で消えましたがな。アレを命じたものは、こちらで罰すると誓いましょう。」

「……帰りたい。」
「ママ、そうだね。帰ろう。
えっと、王妃様、宰相様。
ママ……ショウは疲れてるから、話はまた今度ではダメですか?」

帰りたい。

「部屋を用意したのだけれど、帰る方がいいかしら?」
「疲れておるなら尚更のう。心配ならば、坊主の部屋ならばよかろう?あそこは強大な結界がはってあるからの。
……話が終わってない故、また城に来てもらうのものう……。」

ああ、そうか。
話、全然できてないのか。
また、来なきゃだめ?
私は、別に褒めて欲しくないし。
この国じゃなくてもいいんだ。
奏歌と二人で静かに暮らせたらいい。
それだけを望んだのに。

やっぱり人に頼ってはだめだ。
人の輪は……災いを呼ぶんだ。
ーー人の輪から外れてるくせに。
そうだよ。
人の輪には入りたくないんだよ。
ーー入れないだけのくせに。
望んでいないから。
ーー嘘嘘、入りたくてたまらないくせに。
そんなこと!
頭が痛い。
私は人の輪……嫌い。
必ず、面倒がやってくる。
それは。
世界が変わっても変わらないんだ。

なぜ?

私はここにいるんだろう。

「ソカ、二人でどっか行こう。」
「ショウ!」
「もう、いい。みんないらないの。」

いらないんだ……から。

「ママ!まだ混乱してるの?ねえ!」
「ピピィピピ!」
「「「え?」」」

ティア?何?なんだっけ………。
私の意識はティアのひかりに包まれて、白く染まった。




ーーーーーーーーーーーーーー

sideロドリヌス


何かを察したエターナルドラゴンだという、ティアが光を発した。
何やら、ショウに起きているようだ。

「ティア?ママは、どうしたのかな?」
「ピピィ!」

しかし、俺たちにティアの言葉はわからない。
たぶん、ショウ以外で唯一言葉を通訳できるのは、シャルしかいないだろう。

「でもさ、ママ、変だったじゃない?……モフモフのシャル?も目に入ってなかったよね?」
「我も焦って本体のままで出てしまったが……。怖がるもなかったな。」
「いや、たぶんママは認識しても怖がらないと思う。
で、人型になってもコメントなかったし。すごく、すごーく、変だ!ママがモフモフを無視すること自体が変!」

ソカがはっきりキッパリ言い切るが、モフモフとは?なんだ?

「……あの黒いモヤが影響してるのかな?」
「黒いモヤだと?」

モヤ?なんだそれは。

「うん。ママに…ショウに投げつけられた黒い玉?アレ、モフモフシャルくんがばくってしたじゃない?したら、モワッて黒いモヤが出て、あのメイドさん?にまとわりついてブワッてなった。」
「ただ、霧散しただけではなく?」
「うん。モヤに包まれたよ。で、変な声が聞こえたの。
たぶん、『失敗した』って聞こえたんだけど。」

失敗した?それは何に対してだ?
薬を飲まなかったことか?
それとも、その黒いモヤがでたといことなのか?

「俺には見えなかった。……シャルは見えたのか?」
「我に感じたのは、呪いの玉だ。」
「『呪いの玉』だと?」
「そうだ。故に我はそれを噛み切った。……我のスキルだ。《呪い返し》というな。間に合ってよかったがな。」

呪いだと。返されたから、メイドは消えたのか。
それほど強い呪い。
一体、誰が、なんの目的で?
……だが一つはっきりした。

「王宮はショウたちにとって、安全ではない。」

ということがな!

だが、この状態のショウを動かすのもまずいか。
仕方がない。
宰相じーさんの案にのるしかないか。

「とりあえずは、俺の部屋にいく。あそこなら強固に結界をかけられるからな。」
「そうね。」
「我も協力しよう。」
「私も!」

皆で、俺の部屋に移った。

話はそれからだ。
何か得体の知れない予感がする。



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