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第三章 異世界を満喫する
No.15
しおりを挟む「えーと?パパなの?」
「(うん。ちょうなの。ぱぱなの。)」
「そっか、そっか。」
「(……お前は、そいつらに捕まったのではないのか?)」
「(ちがうの。へんにゃね、クチャいのにちゅかまりそうでね。にげたの。ちたらね。おちちゃの。いちゃいよー、って。たちゅけてよーって、でもね、いちゃくてまっくりゃになったの。ちたらね、だーじょーぶよーって。あったかなの!でね、いちゃいのないの!ちゅごいねー。なの。)」
「(……つまり、お前を助けたのか?)」
「(うん、ちょうなの。)」
「えっと、私は何もする気は無いんだけど……お願いがあって。」
「(敵意がないことは、理解した。)」
「ほら、ロドたちも剣をしまって!」
「しかし……。」
「私たちは、平和的に依頼を達成したいんだからっ。」
「「わかった。」」
ようやく、二人が剣をしまうと高い岩棚からひらりと一頭の黒猫………ドガンッと舞い降りた。
でかっ!
つまり、かなり高い位置にいたの?
私の想像では、大型の肉食獣くらいか牛とかそのくらいかなあって……いっても小さめの象とか?
って、思ってました!
まさか、小屋以上だとは。
一言で言ったら『百人乗っても大丈夫』の某倉庫より大きいです。
じゃ、このバーニーズばりの子タイガーはかなり月齢低いってことでしょうか?ね?
「(子が世話になった。願いと言ったな、礼がわりだ……言ってみるがいい。)」
「うんと、爪をもらえないかな?」
「(爪?)」
「うん。三本あればいいのだけど、切らせてもらえない?」
「(二頭殺す気できたのか?)」
「え、なんで殺すの?爪切ると死んじゃうの?」
「(いや、それはないが。)」
「じゃ、爪切らせて。そもそもなんで二頭?」
「(お前たち『人』が欲しがるのは前足に一本あるこの爪だろう?)」
前足をキュッとして見せてくれたのは、一本だけ長く鋭い鎌のような爪。
あとは大きいだけの猫っぽい爪。
「ロドさん、あの爪が必要なの?」
「ああ、そうだ。黒サーベルのあの爪が一番強いんだ。」
「でも、それって猫さんたちにとって大事?…武器だもんね。」
「(そうだな。だが、皆、これのために殺されたぞ?実際には片方にあればいいのだが。)」
「そうなの?じゃあ、二頭からじゃなくて、三頭から一本ずつじゃダメ?」
「(爪だけでいいと?)」
「うん。爪だから受けたの。討伐なら受けないよ?
あ、もう一つだけ……お願いが…。」
「(やはり、皮か?お前の着ているものは、我らの仲間のものだが、それは死んだ後のものか……。)」
あっ、そうだ。これ、黒サーベル使われてるって!
バカじゃん私!
「ごめんなさい!これ、もらったの。でも、なんか気に入ってて……。」
「(かまわん、その皮からは『恨み』の念はない。たぶん、殺されたのではないのだろう。
ただ、お前に着られるのは嫌じゃないようだ。……守りが強く出ている。)」
「守り?」
「(ああ、そうだ。で、何をさらに願う?)」
そりゃ、もちろん一つしかない。
「お願い!モフらせて!」
「「はあ?」」
「(は?)」
「「「意味がわからん!(意味がわからん!)」」」
えっそんな?
二人と一頭ではもらんでもよくない?
「だって。」
もふもふのドデカニャンコだよ?
あんなにもふもふなんだよ?
もふりたいじゃん!
「ママは、ニャンコに目がないからね……。」
「にゃんこ?」
「そう。ニャンコ。」
「だって、しょうがないじゃん!にゃんこに目がないんだからっ!
あんなに可愛いんだよ?
もふもふなんだよ?
触りたいに決まってる!
ヒールするときに白にゃんこに触って、すんごいもふもふなのを知って、私が我慢できるとでも?
いや、できない!できないでしょう?
だって、私の夢にまでみたにゃんこだよ?
それも私が埋もれて乗れるくらいのもふもふにゃんこなんだよ?
触るでしょ?触るよね?触らないなんて、女がすたるでしょ!!」
「……ママ、落ち着いて。みんな引いてるから……。」
おや?
私としたことが。
いつになく、興奮しすぎて……何が言いたいかわからん状態になってしまった。
「(………なんとく……察した。……では、私に触るか?)」
「喜んで!」
私はどこかの居酒屋のように、答えて、その白にゃんこのパパに遠慮なく飛び込んだのだった。
もふぅーーーーーーん。
ロドリヌスとミリオンがなんか叫んでいるけど……たぶん、後で説教コースが待っているかもしれないけど!
いま、この時はこのもふもふを堪能しよう。
全身全霊で!
あっ、隣に奏歌もダイブしたらしい。
反対には白にゃんことティアもいました。
あははは。もふもふだあ。
しばらく、私は正気に戻れなかったのは言うまでもありません。
もふもふ、恐るべし。
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