娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第四章 異世界を自由に静かに……生きたい

No.13

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まあ。変な奴、悪い奴なら速攻逃げればいいか。
このござーる侍を見る感じそこまでは嫌な奴じゃないかな?とも思うし。

馬車の扉がノックされて、扉が開かれる。
まあ、もちろん私はロドリヌスに抱っこされるわけで……。
今日は婚約者のフリだし、大人しく……婚約者を抱っこって変じゃない?
……年が下だから、変じゃないのかな?誰も突っ込まないし。

で、外に出たら鎧の騎士が沢山整列していたよ。
あ。今下見て目を逸らしたのは、あの派手騎士と一緒にいたやつじゃないかな?
まあ、良いけど。

「では、こちらにござる。」

ござる侍に連れられて、屋敷というか……城?
何というか、日本のお城を低くした感じの屋敷って感じかな?

中に上がり口があって、草履を脱いだということは、靴を脱いで上がるのか?
懐かしい!感じだ。

「ロド、靴を脱がなきゃ。」
「靴を?」
「うん。」

上がり框だっけ?そこに座らされて、私の靴をロドが脱がせて、たたきにおいた。
ロドもすぐさま脱いで、私を抱き上げる。
……抱き上げる必要ないんじゃいかな?
長い廊下は綺麗に磨かれて、飴色だ。
すごいな、こんなところで日本の住宅(というには型が古いけども)に合うなんてさ。

「どうぞこちらに。」

と長い廊下を歩いて……突き当たりに障子型の引き戸。障子型と言ったなのは、障子の代わりに白い曇りガラスが入っているから。
ちなみにこの世界、高いけどガラス製品はある。
薄くする技術はなくて厚いし、割れやすいけどそこは魔法で割れにくくできる。

「どうぞお入りください。」
「失礼いたしますぞ。」

「ああ、女神様と天使様!私の家臣が申し訳ございません!」

すでに土下座で待っていた、少年侍……は、領主なのですかね?

「えーと、天使ちゃうので頭上げてもらえません?話できませんし?」
「ああ。お許しくださるのですか!」
「いや、許すとか許さないとかじゃなくて……。」
「もう、めんどうだな。許すから面をあげい!」

って、奏歌なんで偉そうなの?

「で、私たちに会って何がしたいの?」
「あの、この姿絵にサインを。」

ポッと顔を赤らめつつ出されたのは、この町に入る時にもサインした……アレパタパタ写真……地味に来るね……恥ずかしいさ。

「……これだけのために呼んだの?」
「申し訳ございません。ただ、そのボソリと呟いたのを……聞かれてしまい。」
「その、拙者があってもらえないか聞いてくるように言ったでござる。」

そしたら、あのバカチンがやらかしたわけだ。

「大変ご迷惑を。」
「ん、まあ、この町から出してもらえるならいいや。」
「それはもちろん!」
「あ、あと聞いていい?」
「はい、なんなりと!」
「その言葉とか、刀とか兜って……『囚われ人』が関係しているの?」
「はい、よくご存じで。三代前の領主の奥方が『囚われ人』で無理やりこの世界に来たらしいのです。
その召喚した魔術師の元からなんとか逃げ出して、ボロボロになっていた所を領主が見つけ保護したそうで。
その後二人の間に愛が芽生えて……結婚は無理だったらしいのですが愛妾として生涯を睦まじく過ごしたらしいのです。
その方が刀や兜にこだわりがあったらしいと聞いていますが。」

……歴女ってやつかな?
それともその時代の人?いや、その時代の女性はあんまり戦関係詳しくないはず。
じゃあ、やっぱ現代の子かも。
『囚われ人』って、どのくらいの頻度でこちらの世界に召喚されるのかな?
三代前って、一代がどのくらい生きてるかわからない世界じゃ……わからん。

「お会いしたいのでしたら、多分キャンベリーニダンジョンの前で『おだんご』を売ってると思いますよ?」
「は?」
「あの?」
「はい?」
「「生きてるの?」」
「もちろんです。」

どうやら生きてる『囚われ人』に会えそうです。
だって、これから向かうダンジョンにいるんだもんね。

しかし、全く『囚われ人』ってなんなのさ。
魔力の貯蔵庫的なこと言ってるけどマジでそうなわけ?
でも、逃してるし。
そのあとは使い道ないの?
でも、まだ生きてるってことは……魔力高いんじゃないんかな?

で、食事を出してくれたんだけど……団子を作った割に……日本食じゃなかったわ。
うん、普通に肉食だったわ。
ちょっと残念だ。

しかし、なんで直江兜もどき?
そこんとこも色々知りたいなあって、思うんだよね。
だって、直江より上杉の毘のがかっこよくない?

ダンジョンだけじゃなく、もう一つ目的ができたけど、知りたいこと(いや、忘れていたけどもっ!)だったので、無問題だ。

宿屋を引き払ったので、領主の屋敷に泊めてもらいました。
領主は若干16歳の少年。
先代は、あのドラコ事件の被害者だったみたい。
私たちがつく前に死んでしまった中にいたようです。

この世界ではよくあることだと、わかってはいるけど……なんとなくね。やりきれない思いです。

領主はニコニコしながら、私たちにいろんな兜を見せてくれました。
うん、歴女決定だ。
だって、信玄やらねえ……マジでいれいろ。突っ込みどころ満載。

「ママ、これアニメのじゃない?」
「……歴女だけどアニオタ?」
「かもしれないね。」

どうやらヲタク様がいらっしゃるみたい。
団子屋ももしかして、旅には団子的な……考えがあるのかな?
願わくば、まともに話せる人だといいな。



そして次の日の朝、私たちは領主(の龍二くんというらしい)に惜しまれつつ、キャンベリーニへ向けて出発した。


追記……私の絵姿が10枚くらいあって……全部にサインする羽目になりました(泣)
ロドリヌスをポカポカと殴ってストレスを発散させた私なのです。
叩かれてるロドリヌスが満面の笑みだったので、気持ち悪くてすぐにやめましたけどね……。





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