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第一章

何があったとしてもいつかは朝がやってくる。#02

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☆☆☆



 外は意外にも肌寒くスウェットの上に薄手のパーカーしか羽織ってこなかったことに後悔する。
 少し日が昇ってきたけれど、早朝ということもあり車通りや人通りは当たり前だが少ない。
 うう、寒いと呟きながらホテルのそばにある湖畔沿いの遊歩道をあてもなくのんびり歩いてみる。
 普段見慣れない景色を眺め、ポケットからスマホを取り出し何枚か写真を撮ってインスタにアップした。
 これで私が合宿に来ているアピールは出来ているだろう。
 欲を言えばメンバーと一緒に写ったものをアップしたけれど、公式発表前だしさすがにやめておく。
 しばし遊歩道を歩きそろそろホテルへ戻ろうかと踵を返そうとしていると、前から見覚えのある人物――圧倒的美少女が走ってきた。

「……おはよ」

「…………おはよう」

 ジャージ姿でランニングをしていた美浜がそのペースを緩める。
 その眩しすぎる姿を直視出来ず少し彼女と距離を取る。

「……朝からランニングか」

「……ええ、日課だし」

 向かう方向が同じホテルなので自然と併走する形になる。
 まあ、併走と言ってもほぼ歩きのペースだけど。

「……あなたは似合わない朝の散歩でもしているの」

「……まあ、そんなとこだな」

 本当は寝れなかっただけだが――と心の中で付け加える。

「…………」

「…………」

 しばし沈黙が続き、やがてホテルが近づいてくると。


「――ねえ、あなた、何か重大なことを隠しているでしょ」


 美浜が不意にそんなことを問うてきた。
 あまりにも突然な問いに私は思わずその場で立ち止まる。
 その問い詰める目は透き通っていて、見つめ続けているとその瞳に吸い込まれてしまいそうだ。

「……誰だって隠し事の一つや二つはあるだろ」

 そう口にして木々の合間から見える明るくなってきた空を見上げる。
 そのはぐらかした答えに美浜は納得していないのか、眉をひそめながら私へと訝しむ視線を向けた。
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