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敵地潜入? 残されたふたり…!
シーン1
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「敵地潜入? 残されたふたり…!」
静けさをやたらな爆音とかまびすしい轟音がかき散らす…!
霧は深く、見通しがきかない状況はますますもって混乱するばかりだ。
ピンチを救うがごとくに現れた味方もてんで的外れな加勢で当てになるとは思えなかった。
「こんのっ、くそったれ!!」
視界の悪い中でかなり無茶苦茶な援護射撃(あるいはただの誤射?)をかましてくれた味方機の存在を意識するよりも、まずは目の前のかつての僚機である七番隊の機体をどう処理するかでウルフハウンドの心理は揺れていた。
ただしこの状況ではやはり敵と見なすほかないことも知れている。
何故か相手は無抵抗なのだけが引っかかったのだが、それも今この時をもって事態が急変する。
背後からの僚機(とは思いたくない)の発した雑音混じりの雄叫びに触発されたかのごとく、じぶんとおなじ見てくれをした正規軍主力機は激しく身震いしだす。
もとは友軍同士でチャンネルがつながっていた通信機の音声も半ば発狂したかにしたうめきを伝えていた。
瞬間的に異変を察知するオオカミのパイロットはみずからの機体の左手で問答無用の先制攻撃を見舞っていた! 力ずくで殴り倒してやるべくしたアーマーの頭部めがけて電光石火の一撃だ!!
狙い違わずヒットした機械の拳に顔面をもろに強打された相手機はスパークと破片を飛び散らせながらに背後へとのけぞる! …のだが、これが思いも寄らないことあっさりと押し返して崩れかけたその体勢を立て直してきた!?
むしろこちらがのけぞることになるのには、ちょっとうろたえてしまう実戦経験はまだまだの自称エースパイロットさまだ。
「なっ、押し返されただと!? おおいっ、ざけんなよっ、完全に捉えたはずなのに力負けするなんざ、条件一緒のおんなじ機体同士でありえねえだろっ!!」
耳元には耳障りなうめきがおんおんとからみつく。
舌打ち混じりにレバーを押し込むのだが、まるで動かぬ岩山と力比べしてるみたいな反発が、しまいには機体どころか左手のレバーすらも押し返されてしまう。
揺らぐ足下に全身が総毛立つウルフハウンドだ。
「ぐっ、まともじゃねえぞ! コイツめ、マジで幽霊だなんて言うじゃねえだろうなっ!?」
機体を立て直す都合、不覚にも一歩引いてしまうが、気圧などされるものかとアクセルペダルをふかしかけたところにまた背後から例のあのがなりが聞こえる。
余計なノイズが軽減されてこれがすぐ間近にいることをわからせるが、それが発した文言といきなりの横やりにまた機体ごとおわっ! とのけぞってしまう灰色オオカミだ。
「おおおいっ、伏せろ! オオカミ!! ええっと、こっちでいいんだよな? せえのぉっ、そらっ、どっかーーーん!!」
「どっ? ううおおおおおっっ、なんだいきなり!!?」
まるきり不意のタイミングだ。
霧をかき分け真後ろからぐいと身を乗り出してくる新手のギガアーマーが、抜く手も見せずにこの勢いのまま繰り出した左腕のストレートで目の前の機体を轟音もろとも殴り倒す!!
一撃で撃破したことも驚きだが、その予期せぬ見かけにも二度びっくりだ。
「あっぶねえな! しかも今ぶっちゃけただの山勘で相手を狙っただろ!? なにがどっかーんだ!! おまけにてめえのそのでかいなりは、ビーグルⅣだとっ? そんな骨董品でよくもこの戦場に駆けつけてきやがったな!?」
静けさをやたらな爆音とかまびすしい轟音がかき散らす…!
霧は深く、見通しがきかない状況はますますもって混乱するばかりだ。
ピンチを救うがごとくに現れた味方もてんで的外れな加勢で当てになるとは思えなかった。
「こんのっ、くそったれ!!」
視界の悪い中でかなり無茶苦茶な援護射撃(あるいはただの誤射?)をかましてくれた味方機の存在を意識するよりも、まずは目の前のかつての僚機である七番隊の機体をどう処理するかでウルフハウンドの心理は揺れていた。
ただしこの状況ではやはり敵と見なすほかないことも知れている。
何故か相手は無抵抗なのだけが引っかかったのだが、それも今この時をもって事態が急変する。
背後からの僚機(とは思いたくない)の発した雑音混じりの雄叫びに触発されたかのごとく、じぶんとおなじ見てくれをした正規軍主力機は激しく身震いしだす。
もとは友軍同士でチャンネルがつながっていた通信機の音声も半ば発狂したかにしたうめきを伝えていた。
瞬間的に異変を察知するオオカミのパイロットはみずからの機体の左手で問答無用の先制攻撃を見舞っていた! 力ずくで殴り倒してやるべくしたアーマーの頭部めがけて電光石火の一撃だ!!
狙い違わずヒットした機械の拳に顔面をもろに強打された相手機はスパークと破片を飛び散らせながらに背後へとのけぞる! …のだが、これが思いも寄らないことあっさりと押し返して崩れかけたその体勢を立て直してきた!?
むしろこちらがのけぞることになるのには、ちょっとうろたえてしまう実戦経験はまだまだの自称エースパイロットさまだ。
「なっ、押し返されただと!? おおいっ、ざけんなよっ、完全に捉えたはずなのに力負けするなんざ、条件一緒のおんなじ機体同士でありえねえだろっ!!」
耳元には耳障りなうめきがおんおんとからみつく。
舌打ち混じりにレバーを押し込むのだが、まるで動かぬ岩山と力比べしてるみたいな反発が、しまいには機体どころか左手のレバーすらも押し返されてしまう。
揺らぐ足下に全身が総毛立つウルフハウンドだ。
「ぐっ、まともじゃねえぞ! コイツめ、マジで幽霊だなんて言うじゃねえだろうなっ!?」
機体を立て直す都合、不覚にも一歩引いてしまうが、気圧などされるものかとアクセルペダルをふかしかけたところにまた背後から例のあのがなりが聞こえる。
余計なノイズが軽減されてこれがすぐ間近にいることをわからせるが、それが発した文言といきなりの横やりにまた機体ごとおわっ! とのけぞってしまう灰色オオカミだ。
「おおおいっ、伏せろ! オオカミ!! ええっと、こっちでいいんだよな? せえのぉっ、そらっ、どっかーーーん!!」
「どっ? ううおおおおおっっ、なんだいきなり!!?」
まるきり不意のタイミングだ。
霧をかき分け真後ろからぐいと身を乗り出してくる新手のギガアーマーが、抜く手も見せずにこの勢いのまま繰り出した左腕のストレートで目の前の機体を轟音もろとも殴り倒す!!
一撃で撃破したことも驚きだが、その予期せぬ見かけにも二度びっくりだ。
「あっぶねえな! しかも今ぶっちゃけただの山勘で相手を狙っただろ!? なにがどっかーんだ!! おまけにてめえのそのでかいなりは、ビーグルⅣだとっ? そんな骨董品でよくもこの戦場に駆けつけてきやがったな!?」
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