チートを望んだ少年と最『恐』の竜。「友達になろう」「え?やですけど……」

滑るさん

文字の大きさ
48 / 69
第4章 王都

??話 真顔神の憂鬱

しおりを挟む






「はぁ………何をやっているのだか」


今日は転生担当ではなく、上級の神がやる仕事『観察』をしている。
真顔神ことシン・カグヤは、この仕事が一番嫌いだった。
この仕事はカグヤの他に別の神も行っているが、それぞれ口に出すのは人間にたいする愚痴やら悪口だった。


「おい。この人間はしゃいでいるぞ」

「子供が生まれたのですね。まぁ、運命的にすぐ死ぬんですがね。その事を知らない家族もはしゃいじゃって、かわいいものです」

「お。こっちの人間は明日には死ぬようだ。どうです?家族の1人が楽にさせちゃいますか?」

「いえ。この際は子供が間違って殺してしまった事にしたらどうでしょう?中々面白みがありますよ」

「いやいや。この人間の戦争でやるのはどうでしょう?悲しい物語ができますよ」


複数の神が、人間を将棋の駒のように遊んでいるのが気に食わない。
人間はおもちゃではない。一つの命だ。それを雑に扱うから人間は争うのだと思う。
真面目な人間、変わった人間、ぶりっ子な人間、個性的で見ているだけでも面白いのに、神はそれでも笑いながら人間で遊んでいる。


(アイツは今頃、何をしてるんだろう)


何ヵ月か前に転生させた二人。あの二人の関係は見ていて面白かった。
複雑な家庭、幸せな家庭、すれ違い。この二人は転生させる前から知っている。
カグヤは何度か、仕事を放棄し、地球で人間になりすまし公園に居た二人を特に考えもせず接近したことがある。
子供だった二人はカグヤを警戒していたが、遊んでいる内に打ち解け、毎日遊ぶようになった。


『お姉ちゃんはなんてなまえなの?』

『私かい?……カグヤだよ』

『カグヤ?かぐや姫じゃなくてー?』

『お姉ちゃんってがいこくじん?かみが白いから』

『うーん。外国人ではないけど、地毛でもあるんだよね。遠くから来たのは合ってるよ』

『『ふーん』』


質問攻めが多い子供達だったけど、それも子供だからと質問を返した。
子供の頃は覚えてないのが半々だろう。でも、カグヤにとっては癒された。
神として仕事を続けてきて精神的に苦しいことも少なくないカグヤでも、二人と遊んでいると何故か疲れが取れてしまう。

しかし、そんな楽しい日々は永遠には続かなかった。
カグヤは歳を取らないが、二人は人間だ。神とは違い、大きくなり………小学生、中学生、高校生になってしまった。


小学生になる前には、引っ越すと嘘をついて離れてしまった。
二人は悲しそうに見つめ、お別れと思い出の品を貰った。今でも肌見放さず持っている。その時は、心がもやもやとして不快を覚えていた。
寂しくも思いながら、離れてよかったのか時々思ってしまう。人間はいつか死んでしまう。それでも、また逢えたことが何よりも嬉しかった。


あのときは仕事上の対応をやっていたが、心はそうでもなく………『もっと話していたい。もっと遊びたい。もっとふれ合いたい。』そう思い続けていた。

だから、久しぶりに逢った彼にちょっと意地悪く言ってやった。チートはあげないと。………そんなの嘘だよ。チートはあの寂しがりの竜に持たせておいた。
あの子の方も、魔力の底がない・・・・チートをあげたし満足だよ。念のため、カグヤの加護もあげといたし、心配することもないか。


(あ。アイツ・・・の事も忘れてた。確か、××××だったかな……)


カグヤは一人、転生ばかりする神の事を思い出していた。
綺麗な腰ぐらいの長さをもつ黒髪をして、前髪は真ん中に一つにまとめてあり、目は神の間で珍しいとされる黒い瞳をしている。
背中には禍々しい翼を持つ神様。本当は鳥や天使のような羽が多い事もないけど、これも一つの違いなんだよね。本当は森、大地、川、山を担当している自然の神様だけど、ちゃんとやっているのだろうか?

あの大先輩・・・は少し純粋な事もあって親しみやすい人なんだよな。
天照とも同期で、親しみ過ぎて怖い事もあるんだよな………。
やば、鳥肌たってきた。


(………?確か、近くに小さな包帯をした男の子も居た気がするけど、その件はいいか)


どんどん思考が仕事から離れていた。気を取り直そうと頬を叩く。


(きっと、また逢える。だって、大先輩は今、二人と同じ・・異世界にいるのだから。心配することもないね。大先輩は強いんだし………)


強く思い、目の前の仕事を終わらせ、カグヤはまた地球に行こうと決意した。
クズ神達ではなく上司などにお土産を買ってあげよう。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
突然の番外編でした。
初盤に出てきた真顔神ことカグヤさん。皆さんの思っているカグヤのイメージがちょっと違うかもしれませんね。


次回、本編
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...