チートを望んだ少年と最『恐』の竜。「友達になろう」「え?やですけど……」

滑るさん

文字の大きさ
49 / 69
第4章 王都

第43話 ヘンリーの過去の話。

しおりを挟む




モンスター(依頼)との戦闘まで、2日も立った。
準備は着々進められ、ヘンリーは行き着けの薬品売り場や期間で商売している商人に話しかけ、ポーションや結晶など、もしもの為に買い集めた。
俺達はヘンリーに言われた通りに、報酬の多いクエストや依頼を受け、地道にお金やら報酬やら稼いでいった。

Jは危機感を読み取ると言って、王都から出てモンスターの現在地を確認しに行った。
その時にクエストで手に入れた素材と鉄で、便利な通信機を作ってみた。形はヘッドホンを小さくした感じに似ている。

この通信機は、最大で半径千メガまで届くよう設定してある。
前までは百メガしかいかなかったが、ひーちゃんから、物作りが上手いと勧められた店長さんという人と共同作業で完成させた。
店長さんはこの通信機に興味を持ち、今度から大量生産しようと持ちかけられた。キラキラとした目で見つめられた。
これに関しては悪用される事があるかもしれないので、その話はキャンセルした。
拒否するとそれはそれはがっくりと肩が落ちてた。ごめんな。


「それで。J、どんな状況になってる」

『まだ分からぬ。全速力で低めに飛んではいるが、まだ目標までは見えないな』

「報告ありがとう。また何か情報が入ったら連絡してくれ」

『うむ。では、一旦切るぞ……。どうやって切るんだこれ。あ、これか?』


ブツッと接続が切れる音が鳴る。
あっちもモンスターの動きが読めないのが痛いな。ギルドも報告だけはしてさっきも言ったように、モンスターの行動は報告されてはいなかった。


「小僧。何を躊躇っている」

「ヘンリーさんか。そっちは進展とかあった?」

「少なからず、ポーションを買うとき等に情報のやり取りも怠っていない。ある奴の情報によれば、魔王の生き残りは強いだろう。幹部もいるかもしれないから、そっちの対処法も考えないといけない………。小僧。貴様はなにランクだ」

「え。Bランクですが……。それがなにか」


唐突にランクを聞かれて、すぐ返事を返した。
依頼の必要ランクはBからなので、俺も参加することになる。


「Bランクならそれほどの実力はあるんだろうな」

「は、はい。ギルド登録した時から、このランクになりましたが………。何か不満でも?」

「………腕試しがしたいと思っただけだ。実力を拝見したいしな。ちょっと表でないか」

「拒否権はないんですかね」

「貴重な俺の頼みを断るか。断ったら、ヒトミに言いふらすぞ」


それは明らかに脅しに近いやつじゃないですかね。
ここで断ればまた脅迫されそうなので、言うことを聞くことにした。
外で戦うといつモンスターに襲われるかわからないので、王都にある競技場を借りることになった。
ギルドに入っている人なら誰でも無料で提供してくれるらしい。
競技場といっても様々な施設が用意されているようで、モンスターとの仮訓練や魔法や技の試し打ち等、訓練場に近い。
ギルドからは期待の新人育成や才能を伸ばす場所でもあるため、ギルド本部長も見に来ている事もあるという。(ヘンリーによれば)


「それにしても広いな」

「当たり前だ。これぐらい広くないと戦うことも出来ないだろう。訓練とはいえ、両者どっちも有効にかつ、一つの戦力も考えられるらしい。観客席もあるから、闘技場としても使われている事が多い。俺達が戦う場所もこの闘技場だ」

「物知りなんだなー。ヘンリーは」

「何度か来たことがあるからな。知れば損はないし、役立つ」

「ということは。前は旅に出ていた事があるのか?教えてくれないかな。その時の話」

「………デリケートの無い奴だな、小僧」


口からは何時もの愚痴が出てきたが、顔は何処か弱々しさを感じた。ヘンリーは観客席の一つに座り込み、俺も横にある席に座り、正面で過去の話を聞いた。


「……はぁ。そうだ。ここから離れて本当の冒険者として、活動していた。稼ぎも悪くなく、パーティーは明るいやつが多かった。俺を含めて5人のパーティーだ。俺は特に話す時しか口を出さなかった奴が、彼奴らはそんな俺に何度も話しかけてくれた。無視もせず、こきも使わず、サポートまでもしてくれた。優しいやつばかりだった。今の時代じゃぁ、珍しいかもしれなかったよ………」

「それに、優しいだけじゃなく実力も申し分ない。リーダーを含めて皆Aランクだから、名を知られて当然だった。町からの依頼も殺到するし、モテるやつもいたな……。今のは無しにしてくれ」

「大丈夫だから、続けてくれ。それに関しては気にしないから」

「そうだな。そうやって気にかけてくれる奴だったよ。何処と無く気を使って、距離を保ったまま何気なく話して、ダンジョンを探索して、たまにはとここで実力を見せびらかして楽しんでた………でも」

「でも?」


悔しそうに苦虫を噛むかのように、くしゃりと顔が歪む。本当に悔しかったんだな……。
俺に出来るのは、過去の話を聞いて気持ちを軽くするのと慰める事しかできない。俺が居た訳ではないので、どれぐらい苦しかったか判るわけでもない。


「その時に攻略済みだったダンジョンを探索してたんだ。攻略済みのダンジョンはそんなにレベルは高くなく、危険性もない。Dランクなら軽々進められるものだ。依頼の素材もそこで調達できる環境だったから尚更だ。だから、甘くみていた。甘くみていたから、賑やかな彼奴らはいない………。もし生きていたら、まだ俺は冒険者を続けていた所だったかもな。……………」

「………そっか」

「小僧は……。リュウスケは、ヒトミをどう思う」

「な、何だよ。唐突に……。そーだな。昔からいた仲だから、いて当たり前になって、側にいるだけで落ち着くというか。どう言えばいいかな……」


小僧から名前呼びに変わり、若干だよ、若干。怖かったです。ゾワッと寒かった。
嫁入り前のお父さんを相手にしている……そんな感じに似てるのか?


「ヒトミはポジティブな所があって、皆に好かれる女の子でもあった。小さい時なんて、力で負けちゃったんだよな………。今思っちゃ恥ずかしい思い出だ」

「元気な奴で、何かと目が離せない」

「だよな!目を離したら居なくなってる事が多かったな~。それでさ、探したら後ろに居て驚かされたもんだよ」

「遊ばれてるな、小僧も。ククッ」


ヘンリーとは解り合えないと思っていたが、只の自己嫌悪だったのかもな。喋らないと理解なんて到底無理だよな。


「腕試しした後、二人で食べに行かないか。ちょっとした一時なら許されるだろ?ヒトミには内緒な」

「了解した」


この後、闘技場で身体を動かしたがあまりにも暴れすぎた為、スタッフに怒られた。修理代はお願いして何とか無しにはしてくれました。
しかし、暫くの冒険で貯めたお金は3割程修理代にいってしまったのは別の話である………。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヘンリーの過去を深堀しました。
やはり似ていると、気にかけちゃいますよね。
素直なヘンリーも悪くないですね。


次回、ギルド紹介
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

処理中です...