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第1章 竜ですよね?
第6話 子竜でもやれること
しおりを挟む『エンシェント・ヴィルヘルムっ!!』
森の中で、我の名前が響いている。この声は、リューか!更にスピードを上げる。早くリューに逢いたい、逢いたい、逢いたい………。
進んでいくに連れ、森の木が倒されているのが見えた。神聖な森を倒すことができるのは森の者だけ、ということは我と同族か他の魔物に間違いない。
(一直線に向かっている。方向的にリューの声が聞こえた場所だな)
上空にいては小さいドラゴンのリューを見つけることが難しい。目立ちたくないがーーー
『おい!あそこに魔王殺しが!』
『やべっ!皆!隠れるんだ!』
『死にたくないよー!かーちゃんっ!』
『怖い怖い怖い怖い怖い怖いっ!!!』
ーーー早速見つかってしまった。
誰がお前らを殺すか………そんなの、ただの噂だ。魔王を殺したのは事実なのだが。森が悲鳴に包まれた時、木を倒した原因と思われる、バハムートがいた。
バハムートの前にいるのはーーー
『リュー!』
今は幼い黒竜、リューがバハムートを見上げている。このままでは喰われてしまう。我はゆっくり、鋭い牙が並んでいる口をバハムートに向けて………。
(………はぁ!?)
バハムートを殺そうとすると、リューは突然バハムートの口の中へ飛び込んだのだ。
リューの考えていることは意味が不明なものばかり、一体何故?と頭でループしている。
『おい!バハムート。リューをどうした!?』
『ん?おぉ、これはこれは……魔王殺しではないですか。今日はどういった件で?』
『口に入ったリューを出せ!今すぐにっ!』
『リューって言うんですか?この肉。久しぶりの幼い子竜だったので、美味しく頂きましたよ』
陽気に話すこいつを今すぐでも殺してしまいたいが、バハムートの体内にいるリューを救うことしか頭になかった。
『何故、リューを喰った』
『簡単な質問しないでくださいよー。そんなの、新鮮な肉があっただけです』
『他の奴を喰えばよかっただろ。リューは関係ない』
『何をムキになってんですか?子竜は今、私のお腹の中です。し、か、も、絶滅危惧種である黒竜ですし。食べない方が可笑しいでしょ?』
クククっと笑うこいつの言うとおり、確かに黒竜は他の竜より極少ない種族だ。
産まれることさえ難しいとされており、人間は死んだ黒竜のDNAを採集し、復元しようとしたが全部失敗に終わったと聞く。
黒竜が産まれるのは10000000分の1という程、伝説になっている。自然界で見かけたとしたら100万年前の話だとか……。
『ちょいと洞窟から出てくる黒竜を見てな。これはチャンスしかねぇと思って、追いかけたのさ。だが、自分から入るなんて、とんだバカだよな。ククククっ!!』
『……………』
『返せって言いたいの?魔王殺しと言っても所詮、噂でしかないしょ。ねぇ?ヴィルヘルムさん?』
その名を言うな。言っていいのは、リューだけだ。
『ねぇ、どんな気持ち?子竜がいなくて寂しいの?ねぇ、ねぇ』
それ以上喋るな。喋るな、喋るな………っ!
『煩い!殺すぞ!』
我の叫び、咆哮は森全部に響き渡り、ロック鳥が大量に羽ばたいていく。
『なに苛立ってんの?早めに食べればよかったのにねぇ………ぐぅっ』
悪口を言おうとしたバハムートは、突如お腹を抑え始めた。まさか………。
『ぐぇ………暴れるな……っ!子竜風情が……』
バハムートの体内でリューが暴れてるのだろう、バハムートは顔を歪めながら、腹を押さえつける。
まだ生きている。
『~~~っ!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっイタイイタイイタイイタイイタイ!!』
(今まで、こんな倒し方は思い付かないだろう。小さいからできることだな……。中々エグいな)
鱗で覆われたドラゴンは、そう簡単に倒すことはできない。勇者でも、仲間がいなければ無理と言っていい。
外部が守られているからこそ、体内は柔らかい。リューはそこを狙ったのかもしれん。我がそんな事を考えている内に、あまりの痛みに寝転がっているバハムートは動かなくなった。口から血が流れ出ている。
頭を掴み、持ち上げるとだらしなく白目をむいている。
『これぐらいで死ぬとは。スライムより弱いな』
「Jさーん。そこに居るなら出すの手伝ってくださーい」
お腹から聞こえるリューの声を聞いて、一安心した。子竜でも、やる時はやるんだなぁ。と一つ学んだヴィルヘルムであった。
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次回
やっと人間に戻れます。
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