チートを望んだ少年と最『恐』の竜。「友達になろう」「え?やですけど……」

滑るさん

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第3章 二人の冒険

第30話 おめでとぅ!店長が仲間になった!

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私の着ている服は、冒険者が着ている物とは少し違い、龍のイラストが描かれた藍色の薄着に白いパーカーが魅力を引き立てている。
男の衣装でも、何故か違和感はなかった。
店長は、慣れた手付きで計算を終わらせ、電卓らしき機械に表示されている文章を紙に写している。


「では、上下の服合わせて……この値段です」


見せられた金額は、ちんぷんかんぷんな数字だった。ヘンリーは、小さな袋から10円玉の大きさを持つコインを出した。


「わかった。これでいいか」

「うん。はい、小遣い」

「いらねぇよ」

「いや!素直に受けとれよ!?」


店長とヘンリーのやり取りを眺めながら、店長に渡した金貨が気になった。
この世界のお金を教えられてない。(デジャブ?)
一般人から王族、冒険者にとって日常的な金貨お金。これがなければ、生活もできない。
そういえば、何回か買い物の時にお金を払っている姿は何度も見てきた。


(後で聞いておこ)

「で、衣装の他に。魔法をコントロールする魔道具が必要なんだが、効率良く手に入る場所は知ってるのか」

「魔道具だとすると……王都の方が多いけど。………なるほど」


私を見つめて、何故魔道具が必要なのかをさとった顔をしている。


「魔道具が欲しいんなら。うってつけの店があるよ。王都にあるんだけど、行く気あるかい?」

「やはり………行かなければいけないのか。仕方ない」


も、のぉ凄く嫌そうな顔をしている。王都に嫌な思い出でもあるのだろうか。店長は着ていたロゴ入りエプロンを脱いで、カウンター前に置く。


「………そんなに嫌なら、着いていこうか?」

「お店は大丈夫なんですか」

「お客さん来る方が少ないから大丈夫。それに、王都から頼まれてる物があるしね」


膨らんだ封筒みたいな物を抱えながら言う。
店長にとって都合が良すぎませんか?微妙に視線反らしたよこの人。


「お前がそう言うなら、大人しくしていろよ。こっちとしては煩いのは御免だからな」

「それ私も含まれてない?」

「お前は例外だ」

「僕は?」

「お前は黙ってろ」

「心がポキッと折れたよ今!言うと思ったけどさ……。酷くない?」

「気のせいだ。早く準備をしてくれ」


カウンター前にある丸い椅子に腰かける。紛れて私も座るが、店長は落ち着いて支度をしているように見える。
実力はきっとヘンリーより上だと予想される。年上の人にとっては失礼かもしれないけど………。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





準備が終わった店長は、お店の扉にかけてある看板を『今日は終了しました。御愁傷様(笑)』と書かれた方に裏返す。


「よし。ここから王都はそう遠くない。しかし……」

「俺が説明する。隅っこにでもいろ」

「ねぇ、話してないで王都に行こうよ。日が暮れちゃうから」


聞いてて、話が終わる様子が全く無いので、無理にでも止めた。そして、おめでたく、一時的だけど店長が仲間になった。やったね。

そして、町から出て数分………。


(一向に元に戻る気配がしない……)


もう数時間も立って、解けてもいいのに性別は男のまま。キューカは私と分かっているようで、何時も通り肩に乗って寝ている。
さらに悲報なことに、強い魔法を使った時にペナルティとして性別が変わる他、魔法が使えなくなったのだ。
まあ、ペナルティで男になったのに魔法が使えるとなると、意味がないからね。ギルドカードには、こう表示されている。


ーーーーーーーーーーーーーーー


◇ハヤセ ヒトミ

状態  呪い状態

職業  フリー


(以下略)


ーーーーーーーーーーーーーーー


ペナルティが『呪い』扱いされている。
モンスター等が使う『呪い』はそう簡単に治すことができなさそうなので、保留しておく。
しかし、これはペナルティとしての呪いだから、解けるのに時間がかかるはず。ううぅ………。
それが大体二時間かかっているのだけど。
頭が痛くなってくると、店長が話し始めた。


「そうそう。王都に着く頃には夜になってるだろうね。着いたら宿にでも泊まっていこうよ。3人で寝る?」

「断る。ヒトミは俺と一緒で、お前は一人で寝ろよ」


ボソっと小声で『戻ったら困るしな……』と言った。
一緒に寝て、寝てる間に戻ってたらそりゃぁ驚くよね。
知らない女子が隣で寝てるとか、ヘンリーは大丈夫でも店長は……。ゾワっと鳥肌がたった。


「そ、それじゃあ行こうか。店長さんもヘンリーも、野宿より宿で泊まった方が近くて、用事が済めるでしょ。ほらほら、早く行こ」


二人の背中を押し、王都に向けて足を進めた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーー
30話突破しました!
ここまでご愛読ありがとうございます。


次回、最恐竜、出陣。
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