チートを望んだ少年と最『恐』の竜。「友達になろう」「え?やですけど……」

滑るさん

文字の大きさ
36 / 69
第3章 二人の冒険

第31話 魔王殺しの考え

しおりを挟む



リューにスカッシュゴブリンの事を任せ、我は4匹の人間を助けにいく。
物陰に隠れている4人は、我の姿を見ると震えが止まった。一人の女が我に聞く。


「あ、あなたは?」


予想外の敵襲だと思われているのか、また震え始める。
他の仲間と思う奴は、震えながら短剣を向けている。


「大丈夫だよ。我達は通りすがりの冒険者だ。困っているのだろう?」

「冒険者、様ですか?それならよかった……!町に向かってる途中、運悪くモンスターと出くわしてしまって……。他の仲間もいたんですけど、モンスターに殺されてしまったんです」

「………何人だ」

「え……?」

「何人殺されたと聞いている」


女は何度か口を開いては閉じ、震えた声で言う。


「ざっと……………3人です」


という事はこの馬車には最初7人いたが、3人殺され、その生き残りが4人ということか。
初対面か、知り合いかは知らんが、目の前で殺されては一生のトラウマに成りかねん。
人間は竜と違い、脆い生き物だ。その代わり、メンタルが強いのだが、そこは個人別々で分からんな………。


「あの、通りすがりで悪いのですが、助けてはくれないでしょうか?しがない命ではありますが、どうか、どうか………」

「お、俺達からもお願いします!」

「「お願いしますっ!!」」

「………………そこまで言うなら、役に立ってもらうからな。いいな?」


我の答えに応じるように頷いている。強力な防御魔法を4人にかける。
馬車の方を見ると、スカッシュゴブリンのボスが占拠している。部下の方はリューが対応している所だ。
ボスはさっきから我の事を見つめている。
後ろから感じる視線に違和感を感じていた。殺気とは何かが違う………。


(殺るしかないか)


例え殺気立てていなくても、凶悪なモンスターに変わりない。ボスがいる馬車に近づき、右手を部分竜化させる。
力加減を最大限に落とし、雑魚を殺せる力に調整した。
スカッシュゴブリンは我の殺気を感じたのか、馬車から降りた。近くで見ると、ゴブリンとは思えぬ表情豊かな顔つきをしている。


「我の言葉が分かるか?分かるなら今すぐ答えよ」

「………………」


答えはしなかったが、ゴブリンは微かに頷いた。モンスターの割りに知性が高いか。


「何故人を襲った。食料か?それとも、ゴブリンの本能で殺ったのか……。どっちだ」

「オマエ、も。仲間。そっち、人間側。味方?敵?」

「………成る程な。よく分かるもんだな。モンスター同士だと」

「匂い。自然、カワ、血。ソレだけ」

「ゴブリンのくせに鼻は良いんだな。珍しい。で、スカッシュの習性を無視して、お前だけ人間を殺してない・・・・・だろう?」

「……………」


ゴブリンは無言のまま俯き、黙り始めた。
ゴブリンの嗅覚と我とでは違うが、部下のゴブリンよりも返り血の臭いがしない。
ボスなのに、人間を殺そうとしないモンスターは、そういない。自然界は人間を殺し、有りがたく命を頂くのが礼儀だ。
それをまんま違反している。


「ゴブリン。お前……人間恐怖症なのか?」


ゴブリンはビクッと肩が震え、俯き続ける。図星のようだな。


「ボスなのに臆病者で、人を殺さず、部下に殺らせているのか。よく部下達はお前に着いていったな。自然界では通用しない事を、もし知られてたら孤立だな」

「人間。怖い……。ボール、ゼンブ壊された。ボス、ガンバった。ミンナ、皆………。人間、問答無用。あいつも、ミンナ、殺してる。仲間は、どうして人間着いてく?」

「あいつ?………リューのことか。 リューは我の希望だ。どうして着いていくかって、それは我が決めていることで。例え人間に、家族に嫌われても、我は思う。同族を失いたくないのだ。近くにいるだけで。心が温かくなるのだ。不思議なことにな……………。ゴブリン、人間を恐れているなら、正面から向き合え」

「む、むり。向き合う。オソワレル。無理、むり、ムリ」

「人間全てそうではない。裏切る者もいるが、優しい者もおる。リューもその1人だ。ゴブリンも、無理とは言わないが向き合ってみれば、きっと次に・・進めるぞ。……………我はお前を殺さん。馬車を襲ったのなら、謝りに行け」


部分竜化を解き、ゴブリンに手を差し出した。


「………オマエ、変わった、仲間。……ガンバる。ガンバってみる、よ」


ゴブリンの決意が固まった。我の手を取り、後ろの人間に話しかける。
4人は何で倒さなかったと語る顔をして、困っている。
1人の人間に耳打ちすると、正義感の強そうな男はゴブリンの事情を聞き入れ、他の仲間にも伝えた。
これで孤立する事がないだろうな。

良いことをしたなと、リューの方を見る。疲れた顔で木にもたれ掛かっている。


「………リュー?」

「………俺の事、忘れてたよな?」

「気のせいだ。気のせい……。うん」

「!!うわあああああぁぁぁぁぁぁ。Jのバカやろおぉーーっ!」


分からん言葉を言いながら走り去ってしまったが、どうやら落ち込んでいる。
我、悪いことをしたか?







ーーーーーーーーーーーーーーーーー
悪意はありません。



次回、竜亮、王都に行く。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...