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第4章 王都
第45話 番号決め
しおりを挟む次の日。
Jが王都に帰ってくると、手には鹿のモンスターが気絶しているのでこれは何かと聞いてみると、『お腹すいたからこれで何か作ってくれぬか?』と拍子抜けな事を言った。緊張感持ちましょうよ………。
モンスターの進行については、明日には攻めてくるだろうと伝えられた。その情報はギルドにも広まっているようで……。
「ここが、今回闘う冒険者が集う場所だ」
「皆集まってるね。緊張してきた……」
「冒険者が……ひぃーふぅーみぃー。うむむ。かなりいるようだな。流石だな」
一人一人この場に対する感想を述べ、前に進む。
すれ違う度に振り返る者が多く、明らかに向いてる視線はヘンリーに集まっていた。
期待の眼差しを向ける者と、興味のない者に向ける眼差し様々だ。あまり気にすることではないかと、歩き続ける。
ギルドマスターが揃うこの集落に来たのには、理由がある。
ヘンリーは翌朝に、ギルドマスター直々呼び出しの手紙が来たという。
内容は『他の冒険者より前線に立ち、危険を避けながら闘え』という怪しい内容だった。
当たり前の内容を見て悩んでいるヘンリーは、ギルドマスターに押し掛けようと言ったのが始まりだった。
「こんな事態に押し掛けるなんて、ヘンリーさんは何を考えてることやら」
「一応プロの冒険者だしね。何か思いあった事でも」
「ヒトミ。お前は小僧と二人で持ち物の確認とかをしろ。俺はギルドマスターに会いに行く。怠るなよ」
「うん。Jさんにも伝えとくね。行こ」
「早く戻ってこいよ」
「……なるべく心掛ける」
言い残して集落に入っていった。
集落には厳つい男や剣を研いでいる者も多く、決戦を心待ちにしていることか。
時間は午後の一時になり、スタッフがギルドやパーティーを班に分けているようだ。スタッフが持つ箱に手を入れ、同じ番号同士が同じ班になる設定らしい。
渋々そうな顔もいれば同じ班になった者を睨み付ける者も………。
「竜くん。私達の番だよ」
「こちらから手を入れてください。同じ番号の御持ちの方、もしくは引いた冒険者と同じ番号は同じ箇所に集まってください」
「判りました」
箱に手を入れ、何の番号かドキドキしながら1枚の紙を掴む。
紙を広げて、番号は………25番。
「25番か。引いてる人が要るか呼んでみるか。25番の冒険者はいますかー」
叫んでみると遠くから手を上げている人がいたので、そちらに向かった。
手を上げた人は緑色のローブを纏った赤髪の少年だった。
武器は体型よりも大きいボウガンみたいだ。
「君が俺達と同じ番号か?」
「25番でしょ。なら合ってるよね!おにーさん。おねーさんヨロシクネー。コーはポポだよ!」
「かわいい名前だね。ポポくんって言うんだね。パーティーは一人だけ?」
「ううん。双子の妹もいるけど、ポーション買いに行っちゃったの。もうすぐ来ると思うんだけど………こない」
「………迷子だな」
「迷子だね。完全に」
しっかりしてそうな子でも、子供としての一面があることから。可愛がりたくなる。
優しく撫でて心配を和らげる。
「折角パーティーになったんだ。探すの手伝うよ。どんな特徴の妹だ?」
「え、ええと。コーと同じ赤髪で黄緑のコートを着てるの。身長はコーと同じで、コートには丸っこいぶたが書かれてる………」
ポポが妹の特徴をポケットメモ(ポーションのおまけに貰った)にスラスラと書いていく。
丸っこい豚……?
うーんと考えていると、ひーちゃんはトントンと肩を叩いた。
「竜くん竜くん。その子ってさ。………あの子じゃ、ない?」
「どこだ」
「ほら。今ポーションを飲んでる子だよ。イッキ飲みしてるよ」
「ああ!!妹だ。そんな近くに……」
(子供の身長だと見えなさそうだもんな。小学5年くらいの身長かな)
妹を見つけてすぐ駆けつけたポポは、妹を抱き締めた。兄妹愛を感じる。
ひーちゃんも子供が好きなのか、保護者目線でニコニコ笑っていた。その気持ち分かるよ。
ほのぼのしていると、戻ってきたポポは妹と手を繋いで連れてきた。
「おにーちゃんのおかげで見つかったよ。ありがとー!ほら、あいさつ」
「………ピピです」
「ピピちゃん。迷子になっちゃ駄目だよ。ポポくんも困ってたんだから」
めっとひーちゃんはピピに軽く注意する。
前髪をピンで止めていて、赤髪は三つ編みになっている。ポポの言った通りの黄緑のコートをしているが、俺が気になったのは丸っこい豚のイラスト。確かに丸っこいけど、顔は長い牙を生やした豚というよりピンク色の猪っぽい。
ピピは注意されたことに、分かったと意味を込めて静かに頷いた。
人見知りなのかな。
「おにーちゃん。メンバーはこれで全員?」
「いや、俺達の他に二人いるよ。一人は女性で、もう一人はこわーいお兄さんだよぉ?」
「へいきだよ。コーは強いんだもん。怖いなんて感じないよ」
「会ってみたら分かるさ。今は話をしに行ってるから遅れてくるけどな」
「わかった!待つ!」
「………待つ」
元気だなー。とほのぼのして数十分。
Jはお腹が空いたと言って、朝に捕ってきた鹿の串焼きを手に持っていた。
ポポとピピはキラキラした目で頂戴とねだっている。まだパーティーメンバーになった事を話していないので、Jが戸惑っていた。
説明して、同じ仲間になったのを伝える。あげたくなさそうな顔で鹿の肉をあげた。
ポポとピピが食べ終わるまでじーっと欲しそうに見つめていた。やっぱドラゴンだなと自覚した。
ヘンリーが戻ってくるまで、あと10分かかった。
「遅れた。で、一緒にいく冒険者はわかったか」
「噴水で遊んでいる二人だよ。あの子達」
二人を見つめた後、どこか不満そうになりながらも『そうか……』とだけ答えた。
「………?」
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次回、組分け
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