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終章(金・土・日)
第2話
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ユミは大きく頷いた。
「そう。我慢してたの。私ね、水曜日にこの状態でいれる時間が長くはないな、って感じたんだ」寂しそうにユミが呟く。和也もある程度、予想していたことだが、ユミがはっきり自覚しているのはショックだった。
「ユミが長くないって……」
「和也さんの前で、こうして姿を現しているのも、少し気力を使ってるんだけど、段々辛くなってきてるんだ」
「そうか……」和也は返す言葉が見つからない。
「限界がくるのが、今日なのか明日なのか、一週間後か分からない。ただ、一月とか一年単位じゃないと思う」
「そ、そんな……」
「もちろん、私の推測が間違っていて、一〇〇年以上この姿でいられるのかもしれない。でも、私自身がイレギュラー(異常)な存在なのは分かってる。私以外に、こんな状態の人を見たことある? ないでしょ?」
ユミの話す内容は、もっともに聞こえて、
「ま、まあ。ユミの存在は、特殊ではあるよな」和也は肯定するしかない。
「自然界でイレギュラーな生物は、環境にうまく適応できずに、遅かれ早かれほとんど淘汰されるのが摂理。ごくごく一部が、環境にうまく適応できて生き残る。もちろん、私が生物なのかは議論の余地があるけど、いずれ私が消え去るのは、仕方がないことなんだよ」
天才少女ユミの言い分には、まったくスキがないので、和也は反論できない。
「でも……」
「うん。だから、私はこの姿でいられる間に、やりたいことをやってみたいの」
「ユミのやりたいことって?」
「今は……おめかしして、和也さんとデートするのが一番かな」
明日のデート後に、ユミが消えてしまう可能性は、かなり高いのかもしれない。
「明日、一緒にH水族館に行くだろう?」心の動きをユミに悟られないように、和也は努めて冷静に話す。
「うん。明日はすごく楽しみなんだ。でもでもね、和也さん聞いてくれる?」
ここまでずっとユミの話を聞いているので、今更な感じではある。もちろん和也はユミの話を聞くつもりだ。
「ああ。もちろんだ」
「あのね。一緒に寝て和也さんの匂いを感じると、そのあの……和也さんにえっちなことをされたり、和也さんをえっちなことで満足させたい、って気分が高まっちゃうんだ」
「うん……」
「誤解されると困るんだけど、私は誰でもオッケーなエロエロな女じゃないからね。相手が和也さんだから、そういう気分になるの」
「ああ。ありがとう。誤解はしてないよ」
と、和也はユミを抱き寄せる。
「私がえっちな気分になって、満足しきって気力が抜けたら、消えちゃう可能性もあるでしょ? そうなると、デートに行けないなって、必死で我慢してたんだよ」
ユミの話した内容は、和也の予想とはまったく違っていたので、
「そうだったのか……。気付かなくてごめん」と、和也は素直に謝る。
「私はもう覚悟を決めたから……。和也さんが満足できるなら……いいよ」
ユミが囁くように呟いた。
「そう。我慢してたの。私ね、水曜日にこの状態でいれる時間が長くはないな、って感じたんだ」寂しそうにユミが呟く。和也もある程度、予想していたことだが、ユミがはっきり自覚しているのはショックだった。
「ユミが長くないって……」
「和也さんの前で、こうして姿を現しているのも、少し気力を使ってるんだけど、段々辛くなってきてるんだ」
「そうか……」和也は返す言葉が見つからない。
「限界がくるのが、今日なのか明日なのか、一週間後か分からない。ただ、一月とか一年単位じゃないと思う」
「そ、そんな……」
「もちろん、私の推測が間違っていて、一〇〇年以上この姿でいられるのかもしれない。でも、私自身がイレギュラー(異常)な存在なのは分かってる。私以外に、こんな状態の人を見たことある? ないでしょ?」
ユミの話す内容は、もっともに聞こえて、
「ま、まあ。ユミの存在は、特殊ではあるよな」和也は肯定するしかない。
「自然界でイレギュラーな生物は、環境にうまく適応できずに、遅かれ早かれほとんど淘汰されるのが摂理。ごくごく一部が、環境にうまく適応できて生き残る。もちろん、私が生物なのかは議論の余地があるけど、いずれ私が消え去るのは、仕方がないことなんだよ」
天才少女ユミの言い分には、まったくスキがないので、和也は反論できない。
「でも……」
「うん。だから、私はこの姿でいられる間に、やりたいことをやってみたいの」
「ユミのやりたいことって?」
「今は……おめかしして、和也さんとデートするのが一番かな」
明日のデート後に、ユミが消えてしまう可能性は、かなり高いのかもしれない。
「明日、一緒にH水族館に行くだろう?」心の動きをユミに悟られないように、和也は努めて冷静に話す。
「うん。明日はすごく楽しみなんだ。でもでもね、和也さん聞いてくれる?」
ここまでずっとユミの話を聞いているので、今更な感じではある。もちろん和也はユミの話を聞くつもりだ。
「ああ。もちろんだ」
「あのね。一緒に寝て和也さんの匂いを感じると、そのあの……和也さんにえっちなことをされたり、和也さんをえっちなことで満足させたい、って気分が高まっちゃうんだ」
「うん……」
「誤解されると困るんだけど、私は誰でもオッケーなエロエロな女じゃないからね。相手が和也さんだから、そういう気分になるの」
「ああ。ありがとう。誤解はしてないよ」
と、和也はユミを抱き寄せる。
「私がえっちな気分になって、満足しきって気力が抜けたら、消えちゃう可能性もあるでしょ? そうなると、デートに行けないなって、必死で我慢してたんだよ」
ユミの話した内容は、和也の予想とはまったく違っていたので、
「そうだったのか……。気付かなくてごめん」と、和也は素直に謝る。
「私はもう覚悟を決めたから……。和也さんが満足できるなら……いいよ」
ユミが囁くように呟いた。
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