28 / 31
第二十八話「誓約の真実:なぜ“身を引くほど強まる”のか」
王宮の最奥、絶対安全区画の寝室で、私は天井のフレスコ画(レオンハルトと私が神話の神々のように描かれている新作)を見上げながら、深い溜め息をついた。
「……システムに書き換えられた設定、か」
セレナが最後に吐き捨てた言葉が、呪いのように頭から離れない。
左手の薬指には、脈打つように光るガントレット型の指輪。
これが私を「国の心臓」として生かし、同時に縛り付けている。
今の私がレオンハルトに感じる「愛しさ」や「信頼」は、本物なのだろうか?
それとも、星冠値がカンストした瞬間に、脳のシナプスを書き換えられて出力された「理想の王妃としての反応」なのだろうか?
「……確かめなきゃ」
私はベッドから起き上がった。
隣で眠るレオンハルトの頬を、そっとつつく。
彼は瞬時に目を開け、私の手を握りしめた。
「おはよう、リュシア。夜明け前だが、何かあったか?」
「殿下。……実家へ行きたいのです」
「実家? ヴァルモン邸か?」
「はい。お父様が言っていた『黒の誓約書』。あれを確認しなければなりません。……私たちが背負わされたこのシステムの、本当の意味を知るために」
レオンハルトは真剣な眼差しで私を見つめ、そして頷いた。
「わかった。君が真実を求めるなら、私は止めない。……たとえそこに、どんな残酷な過去が待っていようとも」
◇
早朝のヴァルモン公爵邸。
「王家直轄聖域」として厳重に封鎖された我が家は、静寂に包まれていた。
父、ヴァルモン公爵は、書斎で私たちを待っていた。
「……来たか。いつかはこの日が来ると思っていた」
父は片眼鏡を外し、重厚な本棚の一部を操作した。
ゴゴゴゴ……と低い音を立てて隠し扉が開き、地下へと続く階段が現れる。
「この先にあるのが、初代魔女――つまり、我が家の始祖が残した『誓約の原本』だ」
私たちは父に続き、地下深くへと降りていった。
カビと古書の匂いが立ち込める最深部。
祭壇のような台座の上に、鎖で厳重に封印された黒い本が置かれていた。
『黒の誓約書(ブラック・オース)』。
私が近づくと、左手の指輪が激しく共鳴し、鎖がひとりでに弾け飛んだ。
本が、まるで生き物のように開く。
「……これが、真実ですわ」
私はページに刻まれた古代文字を読み解いた。
そこには、美しい建国神話とはかけ離れた、血塗られた歴史が記されていた。
『初代国王アステリアと、その妻である魔女。二人は愛し合ってなどいなかった』
私が読み上げると、レオンハルトが息を呑む。
『王は魔女の力を利用して国を興したが、平和になると彼女を疎んじ、排斥しようとした。魔女は怒り、国を割る内乱を起こそうとした。……だが、それでは民が死ぬ。国が滅びる』
ページの文字が、赤く光る。
『故に、魔女は最期の呪いをかけた。それが《星冠の誓約》だ』
私は震える声で続けた。
『このシステムの本質は「愛」ではない。「相互監視」と「強制力」による安全装置だ』
――衝撃の事実だった。
誓約の特徴であるパラドックス、「一方が身を引こうとすると、もう一方の執着が強まる」という仕様。
これは、仲違いした王と王妃が別居や離婚をしようとした際、システムが強制的に介入し、相手を追いかけさせ、物理的に引き離さないようにするための「脱走防止機能」だったのだ。
「……なんてこと」
私は愕然とした。
私が「婚約破棄して」と言うたびにレオンハルトの好感度が上がったのは、彼の愛が深かったからではない。
システムが「エラー発生! 構成要素(王妃)が離脱しようとしています! 管理者(王太子)は直ちに捕獲行動を取れ!」と命令を出し、彼の脳内物質(ドーパミンやオキシトシン)をドバドバ分泌させて、「守りたい」「愛している」という感情を増幅させていただけなのだ。
つまり、私たちのロマンスだと思っていたものは、すべて数百年前の魔女が仕組んだ「内乱防止プログラム」の挙動に過ぎなかった。
「……嘘だ」
レオンハルトが膝をついた。
「そんな……私の君への想いが、プログラムされたものだと? この胸の痛みも、君を想う熱も、すべて偽物だと!?」
彼は絶望に顔を歪めた。
無理もない。自分の人生の根幹を否定されたのだから。
しかし、次の瞬間。
彼は顔を上げ、私の手を強く握りしめた。
「いいや、違う!」
「え?」
「確かに、きっかけはシステムだったかもしれない。だが、私が君を見て感じた『尊敬』や、君が私のために流してくれた『涙』……あれまで偽物だとは言わせない!」
レオンハルトの瞳に、力強い光が戻る。
「リュシア、思い出してくれ。君はシステムに抗い、法を変え、竜と交渉し、自らの意思で国を守った。……プログラムされた人形に、あんな芸当ができるはずがない!」
……確かに。
私が「給付金で竜を買収した」のは、魔女の仕様書にはないはずだ。あれは私の社畜経験(オリジナル)だ。
「始祖の魔女は『呪い』としてシステムを作ったかもしれない。だが、私たちはそれを『無限(インフィニティ)』に進化させた。……これは、私たちが呪いを乗り越え、システムさえも凌駕する愛を育んだ証拠ではないか!」
ポジティブすぎる。
呪いの歴史さえも、「試練を乗り越えた愛の物語」に変換してしまった。
父が感心したように頷いた。
「さすが殿下。その強靭な精神力こそが、王の資質ですな」
私は溜め息をつきつつ、ページをさらにめくった。
今は精神論より、実務的な解決策が必要だ。
このシステムが「強制力」である以上、解除コードがあるはずだ。
「……ありました」
最後のページ。そこに小さな文字で記された条項を見つけた。
『万が一、双方が真にシステムからの解放を望む時、解除の道は開かれる』
解除条件。
それは、非常にシンプルかつ困難なものだった。
『双方の「星冠値」を維持したまま、互いの目を見て、心からの「拒絶」を告げること』
「……拒絶?」
私が読み上げると、レオンハルトが首を傾げた。
「どういうことだ? 愛しているのに拒絶しろというのか?」
「いいえ。これは『逆説的解除(パラドックス・ブレイク)』です」
私は解説した。
システムは「離れようとするとくっつける」機能を持つ。
ならば、その逆。
「完全に結合した状態(星冠値∞)」で、互いに本心から「離れたい」と願えば、システムは論理矛盾を起こし、崩壊する。
つまり、私が本心から「婚約破棄したい」と願い、レオンハルトも本心から「リュシアといらない」と願う。
その「本音」が一致した瞬間だけ、誓約は解除されるのだ。
「無理だ」
レオンハルトが即答した。
「私は君を拒絶なんてできない。一ミリも離れたくない。死んでも嫌だ」
「……そこが問題なんです」
私も頭を抱えた。
私の方は「離れたい(隠居したい)」という本音があるが、彼にはない。
彼が私を手放したくないと思っている限り、システムは稼働し続ける。
そして、もし彼が無理をして「嫌いだ」と嘘をついても、システムは感情の波形を読み取るからバレてしまう。
詰んだ。
解除条件はわかったが、実行不可能だ。
「……いや、待てよ」
レオンハルトが何かを思いついたように顔を上げた。
「『心からの拒絶』……それは必ずしも『嫌いになる』ことではないはずだ」
「え?」
「私が君を愛するがゆえに、君を縛るこのシステムを憎み、君を解放したいと願う……。その『愛ゆえの拒絶』ならば、私の本心になり得るのではないか?」
なるほど。
「君が好きだから、君を自由にするために、君を手放す」。
これなら、彼の愛とも矛盾しない。
「リュシア。……やってみよう」
レオンハルトは私の肩を抱いた。
「君が本当に望む『自由』を、私が叶えてみせる。……このシステムを壊して、君をただのリュシアに戻す。それが、私の君への『最後の愛』だ」
彼の言葉に、胸が締め付けられた。
システムを壊せば、私たちは「赤い糸」を失うことになる。
その後、私たちがどうなるかはわからない。他人に戻るかもしれない。
それでも、彼は私のために、この絶対的な絆を断ち切る覚悟を決めたのだ。
「……はい、殿下。信じています」
私たちは見つめ合った。
解除の儀式は、今すぐにはできない。心の準備と、舞台が必要だ。
そう、全ての始まりである王宮で。
その時。
黒の誓約書が、不吉な音を立ててひとりでに閉じた。
バタンッ!
「……?」
父が鋭く部屋の隅を見やった。
「誰だ!」
影から現れたのは、一人の伝令兵だった。
いや、その目は虚ろで、明らかに何者かに操られている。
「……報告……報告……」
伝令兵は機械的な声で告げた。
「地下牢の……カイル・アステリア元殿下が……脱獄しました……」
「なんだと!?」
レオンハルトが色めき立つ。
「手引きしたのは……『真の王』を名乗る者……。現在、王宮の玉座の間が……制圧されました……」
真の王。
カイルが言っていた「あの方」。
ついに姿を現したのか。
「急ごう、リュシア! 誓約の解除どころではない、国が乗っ取られる!」
私たちはヴァルモン邸を飛び出した。
馬車の中で、私は震える指輪を抑えながら考えた。
なぜ、このタイミングなのか。
私たちが「誓約の真実」に辿り着いた瞬間に、黒幕が動いた。
まるで、私たちがシステムを解除するのを待っていたかのように。
あるいは――解除させまいと、妨害に来たのか。
「……殿下。黒幕の正体、見当がつきましたわ」
「誰だ?」
「この国のシステムを、誰よりも愛し、誰よりも利用し、そして……誰よりも『変化』を恐れている人物です」
王宮が見えてくる。
その尖塔には、王家の紋章旗ではなく、見たこともない古の紋章が掲げられていた。
それは、黒の誓約書に記されていた「始祖の魔女」の紋章と同じものだった。
「まさか……死者が蘇ったとでもいうのか?」
レオンハルトが呻く。
「……システムに書き換えられた設定、か」
セレナが最後に吐き捨てた言葉が、呪いのように頭から離れない。
左手の薬指には、脈打つように光るガントレット型の指輪。
これが私を「国の心臓」として生かし、同時に縛り付けている。
今の私がレオンハルトに感じる「愛しさ」や「信頼」は、本物なのだろうか?
それとも、星冠値がカンストした瞬間に、脳のシナプスを書き換えられて出力された「理想の王妃としての反応」なのだろうか?
「……確かめなきゃ」
私はベッドから起き上がった。
隣で眠るレオンハルトの頬を、そっとつつく。
彼は瞬時に目を開け、私の手を握りしめた。
「おはよう、リュシア。夜明け前だが、何かあったか?」
「殿下。……実家へ行きたいのです」
「実家? ヴァルモン邸か?」
「はい。お父様が言っていた『黒の誓約書』。あれを確認しなければなりません。……私たちが背負わされたこのシステムの、本当の意味を知るために」
レオンハルトは真剣な眼差しで私を見つめ、そして頷いた。
「わかった。君が真実を求めるなら、私は止めない。……たとえそこに、どんな残酷な過去が待っていようとも」
◇
早朝のヴァルモン公爵邸。
「王家直轄聖域」として厳重に封鎖された我が家は、静寂に包まれていた。
父、ヴァルモン公爵は、書斎で私たちを待っていた。
「……来たか。いつかはこの日が来ると思っていた」
父は片眼鏡を外し、重厚な本棚の一部を操作した。
ゴゴゴゴ……と低い音を立てて隠し扉が開き、地下へと続く階段が現れる。
「この先にあるのが、初代魔女――つまり、我が家の始祖が残した『誓約の原本』だ」
私たちは父に続き、地下深くへと降りていった。
カビと古書の匂いが立ち込める最深部。
祭壇のような台座の上に、鎖で厳重に封印された黒い本が置かれていた。
『黒の誓約書(ブラック・オース)』。
私が近づくと、左手の指輪が激しく共鳴し、鎖がひとりでに弾け飛んだ。
本が、まるで生き物のように開く。
「……これが、真実ですわ」
私はページに刻まれた古代文字を読み解いた。
そこには、美しい建国神話とはかけ離れた、血塗られた歴史が記されていた。
『初代国王アステリアと、その妻である魔女。二人は愛し合ってなどいなかった』
私が読み上げると、レオンハルトが息を呑む。
『王は魔女の力を利用して国を興したが、平和になると彼女を疎んじ、排斥しようとした。魔女は怒り、国を割る内乱を起こそうとした。……だが、それでは民が死ぬ。国が滅びる』
ページの文字が、赤く光る。
『故に、魔女は最期の呪いをかけた。それが《星冠の誓約》だ』
私は震える声で続けた。
『このシステムの本質は「愛」ではない。「相互監視」と「強制力」による安全装置だ』
――衝撃の事実だった。
誓約の特徴であるパラドックス、「一方が身を引こうとすると、もう一方の執着が強まる」という仕様。
これは、仲違いした王と王妃が別居や離婚をしようとした際、システムが強制的に介入し、相手を追いかけさせ、物理的に引き離さないようにするための「脱走防止機能」だったのだ。
「……なんてこと」
私は愕然とした。
私が「婚約破棄して」と言うたびにレオンハルトの好感度が上がったのは、彼の愛が深かったからではない。
システムが「エラー発生! 構成要素(王妃)が離脱しようとしています! 管理者(王太子)は直ちに捕獲行動を取れ!」と命令を出し、彼の脳内物質(ドーパミンやオキシトシン)をドバドバ分泌させて、「守りたい」「愛している」という感情を増幅させていただけなのだ。
つまり、私たちのロマンスだと思っていたものは、すべて数百年前の魔女が仕組んだ「内乱防止プログラム」の挙動に過ぎなかった。
「……嘘だ」
レオンハルトが膝をついた。
「そんな……私の君への想いが、プログラムされたものだと? この胸の痛みも、君を想う熱も、すべて偽物だと!?」
彼は絶望に顔を歪めた。
無理もない。自分の人生の根幹を否定されたのだから。
しかし、次の瞬間。
彼は顔を上げ、私の手を強く握りしめた。
「いいや、違う!」
「え?」
「確かに、きっかけはシステムだったかもしれない。だが、私が君を見て感じた『尊敬』や、君が私のために流してくれた『涙』……あれまで偽物だとは言わせない!」
レオンハルトの瞳に、力強い光が戻る。
「リュシア、思い出してくれ。君はシステムに抗い、法を変え、竜と交渉し、自らの意思で国を守った。……プログラムされた人形に、あんな芸当ができるはずがない!」
……確かに。
私が「給付金で竜を買収した」のは、魔女の仕様書にはないはずだ。あれは私の社畜経験(オリジナル)だ。
「始祖の魔女は『呪い』としてシステムを作ったかもしれない。だが、私たちはそれを『無限(インフィニティ)』に進化させた。……これは、私たちが呪いを乗り越え、システムさえも凌駕する愛を育んだ証拠ではないか!」
ポジティブすぎる。
呪いの歴史さえも、「試練を乗り越えた愛の物語」に変換してしまった。
父が感心したように頷いた。
「さすが殿下。その強靭な精神力こそが、王の資質ですな」
私は溜め息をつきつつ、ページをさらにめくった。
今は精神論より、実務的な解決策が必要だ。
このシステムが「強制力」である以上、解除コードがあるはずだ。
「……ありました」
最後のページ。そこに小さな文字で記された条項を見つけた。
『万が一、双方が真にシステムからの解放を望む時、解除の道は開かれる』
解除条件。
それは、非常にシンプルかつ困難なものだった。
『双方の「星冠値」を維持したまま、互いの目を見て、心からの「拒絶」を告げること』
「……拒絶?」
私が読み上げると、レオンハルトが首を傾げた。
「どういうことだ? 愛しているのに拒絶しろというのか?」
「いいえ。これは『逆説的解除(パラドックス・ブレイク)』です」
私は解説した。
システムは「離れようとするとくっつける」機能を持つ。
ならば、その逆。
「完全に結合した状態(星冠値∞)」で、互いに本心から「離れたい」と願えば、システムは論理矛盾を起こし、崩壊する。
つまり、私が本心から「婚約破棄したい」と願い、レオンハルトも本心から「リュシアといらない」と願う。
その「本音」が一致した瞬間だけ、誓約は解除されるのだ。
「無理だ」
レオンハルトが即答した。
「私は君を拒絶なんてできない。一ミリも離れたくない。死んでも嫌だ」
「……そこが問題なんです」
私も頭を抱えた。
私の方は「離れたい(隠居したい)」という本音があるが、彼にはない。
彼が私を手放したくないと思っている限り、システムは稼働し続ける。
そして、もし彼が無理をして「嫌いだ」と嘘をついても、システムは感情の波形を読み取るからバレてしまう。
詰んだ。
解除条件はわかったが、実行不可能だ。
「……いや、待てよ」
レオンハルトが何かを思いついたように顔を上げた。
「『心からの拒絶』……それは必ずしも『嫌いになる』ことではないはずだ」
「え?」
「私が君を愛するがゆえに、君を縛るこのシステムを憎み、君を解放したいと願う……。その『愛ゆえの拒絶』ならば、私の本心になり得るのではないか?」
なるほど。
「君が好きだから、君を自由にするために、君を手放す」。
これなら、彼の愛とも矛盾しない。
「リュシア。……やってみよう」
レオンハルトは私の肩を抱いた。
「君が本当に望む『自由』を、私が叶えてみせる。……このシステムを壊して、君をただのリュシアに戻す。それが、私の君への『最後の愛』だ」
彼の言葉に、胸が締め付けられた。
システムを壊せば、私たちは「赤い糸」を失うことになる。
その後、私たちがどうなるかはわからない。他人に戻るかもしれない。
それでも、彼は私のために、この絶対的な絆を断ち切る覚悟を決めたのだ。
「……はい、殿下。信じています」
私たちは見つめ合った。
解除の儀式は、今すぐにはできない。心の準備と、舞台が必要だ。
そう、全ての始まりである王宮で。
その時。
黒の誓約書が、不吉な音を立ててひとりでに閉じた。
バタンッ!
「……?」
父が鋭く部屋の隅を見やった。
「誰だ!」
影から現れたのは、一人の伝令兵だった。
いや、その目は虚ろで、明らかに何者かに操られている。
「……報告……報告……」
伝令兵は機械的な声で告げた。
「地下牢の……カイル・アステリア元殿下が……脱獄しました……」
「なんだと!?」
レオンハルトが色めき立つ。
「手引きしたのは……『真の王』を名乗る者……。現在、王宮の玉座の間が……制圧されました……」
真の王。
カイルが言っていた「あの方」。
ついに姿を現したのか。
「急ごう、リュシア! 誓約の解除どころではない、国が乗っ取られる!」
私たちはヴァルモン邸を飛び出した。
馬車の中で、私は震える指輪を抑えながら考えた。
なぜ、このタイミングなのか。
私たちが「誓約の真実」に辿り着いた瞬間に、黒幕が動いた。
まるで、私たちがシステムを解除するのを待っていたかのように。
あるいは――解除させまいと、妨害に来たのか。
「……殿下。黒幕の正体、見当がつきましたわ」
「誰だ?」
「この国のシステムを、誰よりも愛し、誰よりも利用し、そして……誰よりも『変化』を恐れている人物です」
王宮が見えてくる。
その尖塔には、王家の紋章旗ではなく、見たこともない古の紋章が掲げられていた。
それは、黒の誓約書に記されていた「始祖の魔女」の紋章と同じものだった。
「まさか……死者が蘇ったとでもいうのか?」
レオンハルトが呻く。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる!
前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。
「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。
一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……?
これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!
無能な悪役令嬢は静かに暮らしたいだけなのに、超有能な側近たちの勘違いで救国の聖女になってしまいました
黒崎隼人
ファンタジー
乙女ゲームの悪役令嬢イザベラに転生した私の夢は、破滅フラグを回避して「悠々自適なニート生活」を送ること!そのために王太子との婚約を破棄しようとしただけなのに…「疲れたわ」と呟けば政敵が消え、「甘いものが食べたい」と言えば新商品が国を潤し、「虫が嫌」と漏らせば魔物の巣が消滅!? 私は何もしていないのに、超有能な側近たちの暴走(という名の忠誠心)が止まらない!やめて!私は聖女でも策略家でもない、ただの無能な怠け者なのよ!本人の意思とは裏腹に、勘違いで国を救ってしまう悪役令嬢の、全力で何もしない救国ファンタジー、ここに開幕!
お前との婚約は、ここで破棄する!
もちもちほっぺ
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」
華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。
一瞬の静寂の後、会場がどよめく。
私は心の中でため息をついた。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
婚約破棄された王太子妃候補は第一王子に気に入られたようです。
永野水貴
恋愛
侯爵令嬢エヴェリーナは未来の王太子妃として育てられたが、突然に婚約破棄された。
王太子は真に愛する女性と結婚したいというのだった。
その女性はエヴェリーナとは正反対で、エヴェリーナは影で貶められるようになる。
そんなある日、王太子の兄といわれる第一王子ジルベルトが現れる。
ジルベルトは王太子を上回る素質を持つと噂される人物で、なぜかエヴェリーナに興味を示し…?
※「小説家になろう」にも載せています
婚約が白紙になりました。あとは自由に生きていきます~攻略対象たちの様子が何やらおかしいですが、悪役令嬢には無関係です~
Na20
恋愛
乙女ゲーム"この花束を君に"、通称『ハナキミ』の世界に転生してしまった。
しかも悪役令嬢に。
シナリオどおりヒロインをいじめて、断罪からのラスボス化なんてお断り!
私は自由に生きていきます。
※この作品は以前投稿した『空気にされた青の令嬢は、自由を志す』を加筆・修正したものになります。以前の作品は投稿始め次第、取り下げ予定です。
※改稿でき次第投稿するので、不定期更新になります。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。