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第2話:孤独な王子の素顔
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アレクシス様に「邪魔だ」と言われたことが、妙に心に引っかかっていた。
別に、何かを期待していたわけじゃない。
ただ、あの孤独な背中が、脳裏に焼き付いて離れなかったのだ。
華やかなホールにいるのが息苦しくなって、私はこっそりとバルコニーへ抜け出した。
ひんやりとした夜風が、火照った頬に心地いい。
「はぁ……やっぱり、私にはこういう場所は似合わないな」
手すりに寄りかかり、王都の夜景をぼんやりと眺める。
星が綺麗だ。
実家のボロ屋敷から見る星空と、何も変わらない。
そう思っていたら。
「…………」
バルコニーの隅の暗がりに、誰かがいることに気がついた。
月明かりに照らされて浮かび上がったその人影は――
「……アレクシス、様?」
呪われ王子の、アレクシス様だった。
彼は私の存在に気づいていないのか、手すりの上にちょこんと乗った一羽の小鳥に、何かを差し出していた。
パンくずか何かだろうか。
小鳥は警戒することもなく、彼の手からそれをついばんでいる。
その光景は、あまりにも意外だった。
冷酷で、誰も寄せ付けない呪われ王子。
そんな彼が、小さな命に優しさを見せている。
「…………」
私は声をかけることもできず、ただその様子をじっと見つめていた。
小鳥が飛び去ると、アレクシス様はふっと息を吐き、夜空を見上げた。
その横顔は、ホールで見た時のような険しさはなく、どこか寂しげで、憂いを帯びているように見えた。
噂なんて、当てにならないものだ。
きっと、彼にも色々な事情があるのだろう。
そう思った瞬間、彼がこちらを振り向いた。
バチッと、赤い瞳と視線がかち合う。
「……!?」
しまった、見つかった!
気まずさで体が固まる。
「……またお前か。物好きな女だな」
彼の口から出たのは、やはり棘のある言葉だった。
「も、申し訳ありません! すぐに立ち去りますので……!」
慌てて背を向けようとした、その時。
「別に、どこへ行こうがお前の勝手だ」
「……え?」
「ただ……そんなところで突っ立っていると、風邪をひくぞ」
そう言って、彼は再び夜空に視線を戻してしまった。
ぶっきらぼうな言い方。
でも、その言葉には、不思議な優しさが滲んでいるような気がした。
私は、その場を離れることができなかった。
ただ、彼の隣で、同じように夜空を見上げる。
会話はなかった。
でも、沈黙が心地よかった。
彼の纏う空気が、少しだけ和らいだように感じたのは、きっと気のせいではないはずだ。
「……あの」
何か、話さなければ。
そう思ったのに、言葉が続かない。
「……なんだ」
「いえ……お邪魔、しました」
結局、私はそれだけ言うのが精一杯で、そそくさとバルコニーを後にした。
自室に戻っても、ドキドキと心臓がうるさい。
アレクシス様の、あの寂しげな横顔。
そして、不器用な優しさ。
――あの人は、本当に“呪われている”だけなのだろうか?
そんな疑問が、私の胸に小さな波紋を広げていった。
別に、何かを期待していたわけじゃない。
ただ、あの孤独な背中が、脳裏に焼き付いて離れなかったのだ。
華やかなホールにいるのが息苦しくなって、私はこっそりとバルコニーへ抜け出した。
ひんやりとした夜風が、火照った頬に心地いい。
「はぁ……やっぱり、私にはこういう場所は似合わないな」
手すりに寄りかかり、王都の夜景をぼんやりと眺める。
星が綺麗だ。
実家のボロ屋敷から見る星空と、何も変わらない。
そう思っていたら。
「…………」
バルコニーの隅の暗がりに、誰かがいることに気がついた。
月明かりに照らされて浮かび上がったその人影は――
「……アレクシス、様?」
呪われ王子の、アレクシス様だった。
彼は私の存在に気づいていないのか、手すりの上にちょこんと乗った一羽の小鳥に、何かを差し出していた。
パンくずか何かだろうか。
小鳥は警戒することもなく、彼の手からそれをついばんでいる。
その光景は、あまりにも意外だった。
冷酷で、誰も寄せ付けない呪われ王子。
そんな彼が、小さな命に優しさを見せている。
「…………」
私は声をかけることもできず、ただその様子をじっと見つめていた。
小鳥が飛び去ると、アレクシス様はふっと息を吐き、夜空を見上げた。
その横顔は、ホールで見た時のような険しさはなく、どこか寂しげで、憂いを帯びているように見えた。
噂なんて、当てにならないものだ。
きっと、彼にも色々な事情があるのだろう。
そう思った瞬間、彼がこちらを振り向いた。
バチッと、赤い瞳と視線がかち合う。
「……!?」
しまった、見つかった!
気まずさで体が固まる。
「……またお前か。物好きな女だな」
彼の口から出たのは、やはり棘のある言葉だった。
「も、申し訳ありません! すぐに立ち去りますので……!」
慌てて背を向けようとした、その時。
「別に、どこへ行こうがお前の勝手だ」
「……え?」
「ただ……そんなところで突っ立っていると、風邪をひくぞ」
そう言って、彼は再び夜空に視線を戻してしまった。
ぶっきらぼうな言い方。
でも、その言葉には、不思議な優しさが滲んでいるような気がした。
私は、その場を離れることができなかった。
ただ、彼の隣で、同じように夜空を見上げる。
会話はなかった。
でも、沈黙が心地よかった。
彼の纏う空気が、少しだけ和らいだように感じたのは、きっと気のせいではないはずだ。
「……あの」
何か、話さなければ。
そう思ったのに、言葉が続かない。
「……なんだ」
「いえ……お邪魔、しました」
結局、私はそれだけ言うのが精一杯で、そそくさとバルコニーを後にした。
自室に戻っても、ドキドキと心臓がうるさい。
アレクシス様の、あの寂しげな横顔。
そして、不器用な優しさ。
――あの人は、本当に“呪われている”だけなのだろうか?
そんな疑問が、私の胸に小さな波紋を広げていった。
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