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第5話:商いの神様、ギルとの出会い
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「……なるほどな。こいつは面白い」
私の石鹸をまじまじと眺めていた中年の男性は、ニヤリと口角を上げた。
「ラベンダーの香りに、オリーブオイルのしっとり感……。ただの洗浄剤じゃなく、『癒やし』を売ろうって魂胆か。嬢ちゃん、あんた、何者だい?」
その言葉に、私は目を見開いた。
この人は、ただ手に取っただけで、この石鹸の価値を正確に見抜いている。
「あ、あなたは……?」
「俺か? 俺はギルってんだ。……ま、今はただのしがない飲んだくれだがな」
ギル、と名乗った男性は、自嘲気味に笑った。
その笑顔には、どこか寂しさが滲んでいる。
「以前は、ちょっとした商会の番頭をやってたんだが……ヘマやらかして、このザマよ」
そう言いながら、彼は懐から安物の酒瓶を取り出して、ぐいっと煽った。
アルコールの匂いが、ふわりと漂う。
しかし、彼の目は、まだ私の石鹸に釘付けだった。
「だが、これだけのモンを作れるってことは、あんた、ただの田舎娘じゃねぇな。どこでこの知識を?」
「そ、それは……秘密です」
前世のことは、さすがに言えない。
するとギルさんは、クツクツと喉を鳴らして笑った。
「秘密、ね。いいじゃねぇか。商売人には秘密の一つや二つ、あった方がいい」
彼は立ち上がると、私の前に手を差し出した。
ごつごつとした、働き者の手だった。
「どうだい、嬢ちゃん。俺と組まねぇか?」
「……え?」
「俺の商いの腕と、あんたの商品。二つが合わされば、こいつはとんでもねぇ化け物になる。俺にはわかるんだよ、金になる匂いがな!」
彼の目は、ギラギラと輝いていた。
それは、飲んだくれの目じゃない。
獲物を見つけた、一流の商人の目だった。
正直、迷った。
素性の知れない、飲んだくれのおじさんだ。
騙されているのかもしれない。
でも。
彼の言葉には、不思議な説得力があった。
そして、何より、彼はこの石鹸の価値を、誰よりも理解してくれた。
もう、一人で途方に暮れるのは嫌だ。
このチャンスを逃したら、きっと次はない。
私は、差し出されたその手を、ギュッと握り返した。
「……お願いします! 私の名前はリナです。リナ・アシュリー。どうか、あなたの力を貸してください!」
「へっ、威勢のいい嬢ちゃんだ。気に入った!」
ギルさんは、ニカッと歯を見せて笑った。
「よっしゃ、任せときな! このギル様が、あんたを王都一の商人に仕立て上げてやるぜ!」
こうして、私とギルさんの奇妙なパートナーシップが始まった。
前世の知識を持つ貧乏令嬢と、落ちぶれた天才商人。
私たちの成り上がり劇の、第二の幕が上がった瞬間だった。
「さて、リナお嬢。まずは作戦会議だ。この『魔法の石鹸』をどうやって売るか、だが……」
ギルさんの目が、キラリと光る。
「普通の売り方じゃダメだ。俺たちには、インパクトが必要なんでさァ」
彼の口から語られる奇想天外な販売戦略に、私はただただ、圧倒されることになるのだった。
私の石鹸をまじまじと眺めていた中年の男性は、ニヤリと口角を上げた。
「ラベンダーの香りに、オリーブオイルのしっとり感……。ただの洗浄剤じゃなく、『癒やし』を売ろうって魂胆か。嬢ちゃん、あんた、何者だい?」
その言葉に、私は目を見開いた。
この人は、ただ手に取っただけで、この石鹸の価値を正確に見抜いている。
「あ、あなたは……?」
「俺か? 俺はギルってんだ。……ま、今はただのしがない飲んだくれだがな」
ギル、と名乗った男性は、自嘲気味に笑った。
その笑顔には、どこか寂しさが滲んでいる。
「以前は、ちょっとした商会の番頭をやってたんだが……ヘマやらかして、このザマよ」
そう言いながら、彼は懐から安物の酒瓶を取り出して、ぐいっと煽った。
アルコールの匂いが、ふわりと漂う。
しかし、彼の目は、まだ私の石鹸に釘付けだった。
「だが、これだけのモンを作れるってことは、あんた、ただの田舎娘じゃねぇな。どこでこの知識を?」
「そ、それは……秘密です」
前世のことは、さすがに言えない。
するとギルさんは、クツクツと喉を鳴らして笑った。
「秘密、ね。いいじゃねぇか。商売人には秘密の一つや二つ、あった方がいい」
彼は立ち上がると、私の前に手を差し出した。
ごつごつとした、働き者の手だった。
「どうだい、嬢ちゃん。俺と組まねぇか?」
「……え?」
「俺の商いの腕と、あんたの商品。二つが合わされば、こいつはとんでもねぇ化け物になる。俺にはわかるんだよ、金になる匂いがな!」
彼の目は、ギラギラと輝いていた。
それは、飲んだくれの目じゃない。
獲物を見つけた、一流の商人の目だった。
正直、迷った。
素性の知れない、飲んだくれのおじさんだ。
騙されているのかもしれない。
でも。
彼の言葉には、不思議な説得力があった。
そして、何より、彼はこの石鹸の価値を、誰よりも理解してくれた。
もう、一人で途方に暮れるのは嫌だ。
このチャンスを逃したら、きっと次はない。
私は、差し出されたその手を、ギュッと握り返した。
「……お願いします! 私の名前はリナです。リナ・アシュリー。どうか、あなたの力を貸してください!」
「へっ、威勢のいい嬢ちゃんだ。気に入った!」
ギルさんは、ニカッと歯を見せて笑った。
「よっしゃ、任せときな! このギル様が、あんたを王都一の商人に仕立て上げてやるぜ!」
こうして、私とギルさんの奇妙なパートナーシップが始まった。
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ギルさんの目が、キラリと光る。
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