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第10話:逆転の一手、公開実験!
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「民衆の前で、証明する……具体的には、どうするんですか?」
作戦司令部である安酒場で、私はギルさんに尋ねた。
ギルさんは、テーブルに置かれたエールをぐいっと飲み干すと、ニヤリと笑った。
「言葉で否定したって、誰も信じやしねぇ。噂ってのは、そういうもんだ。だから、実際に見せてやるのさ。百聞は一見にしかず、ってな」
「見せる……?」
「おうよ。王都の広場で、大々的に『公開実験』を行うんだ」
「公開実験……!」
ギルさんの計画は、こうだった。
まず、広場に大きな舞台を設置する。
そこで、私が実際に石鹸を作る工程を、全て見せるのだ。
材料に毒草など入っていないこと、安全な製法で作られていることを、人々の目の前で証明する。
さらに、完成した石鹸で、実際に肌を洗ってみせる。
「ほら、見てください! 私の肌は爛れるどころか、こんなにしっとりツルツルですよ!」と。
「……すごい。それなら、噂が嘘だって一目瞭然ですね!」
私は興奮して身を乗り出した。
「ああ。だが、それだけじゃ弱い」
ギルさんは、人差し指を立てる。
「大事なのは、『誰が』その安全性を保証するか、だ」
「誰が……?」
「例えば、権威のあるお医者様とか、有名な学者先生とか。そういう人に『この石鹸は安全です』ってお墨付きをもらえれば、効果は絶大だ」
「でも、そんな人、私たちに協力してくれるでしょうか……」
「そこが、腕の見せ所よ」
ギルさんは、自信ありげに胸を叩いた。
彼には、何か心当たりがあるようだった。
作戦は決まった。
私たちがすべきことは、山ほどある。
広場の使用許可、舞台の設営、協力者の確保……。
そして、その噂は、思わぬ人物の耳にも届いていた。
王城の一室。
アレクシスは、側近からの報告を聞いて、眉をひそめていた。
「……アシュリー商会が、公開実験を?」
「はっ。なんでも、悪質な噂を払拭するため、王都広場で石鹸の製造実演を行うとのことです」
アレクシスの脳裏に、あの強気な令嬢の顔が浮かんだ。
リナ・アシュリー。
自分の肌荒れを治してくれた、不思議な石鹸を作る女。
彼女が、窮地に立たされている。
その原因が、義姉となるイザベラであることも、彼は察していた。
「……くだらん」
アレクシスは、吐き捨てるように言った。
イザベラの陰湿なやり口には、前々から辟易していた。
そして、あのリナという女が、このまま黙ってやられるようなタマではないことも、なぜか確信していた。
「……少し、様子を見てくる」
彼はそう言うと、マントを羽織って部屋を出た。
側近が慌てて後を追う。
「殿下、どちらへ?」
「……散歩だ」
ぶっきらぼうにそう答えたが、彼の足が向かう先は、一つしかなかった。
――面白い。あいつが、どうやってこの状況を切り抜けるのか、この目で見たくなった。
アレクシスの口元に、ほんのわずかな笑みが浮かぶ。
それは、彼自身も気づかない、興味と期待の表れだった。
公開実験の当日。
王都広場には、大勢の野次馬が集まっていた。
皆、好奇と不信が入り混じった目で、舞台の上の私とギルさんを見つめている。
この実験が成功すれば、私たちは復活できる。
失敗すれば、もう二度と立ち上がれない。
ゴクリと、喉が鳴った。
心臓が、早鐘のように鳴っている。
「――さあ、始めようか、リナお嬢!」
ギルさんの声に、私は覚悟を決めて、大きく頷いた。
作戦司令部である安酒場で、私はギルさんに尋ねた。
ギルさんは、テーブルに置かれたエールをぐいっと飲み干すと、ニヤリと笑った。
「言葉で否定したって、誰も信じやしねぇ。噂ってのは、そういうもんだ。だから、実際に見せてやるのさ。百聞は一見にしかず、ってな」
「見せる……?」
「おうよ。王都の広場で、大々的に『公開実験』を行うんだ」
「公開実験……!」
ギルさんの計画は、こうだった。
まず、広場に大きな舞台を設置する。
そこで、私が実際に石鹸を作る工程を、全て見せるのだ。
材料に毒草など入っていないこと、安全な製法で作られていることを、人々の目の前で証明する。
さらに、完成した石鹸で、実際に肌を洗ってみせる。
「ほら、見てください! 私の肌は爛れるどころか、こんなにしっとりツルツルですよ!」と。
「……すごい。それなら、噂が嘘だって一目瞭然ですね!」
私は興奮して身を乗り出した。
「ああ。だが、それだけじゃ弱い」
ギルさんは、人差し指を立てる。
「大事なのは、『誰が』その安全性を保証するか、だ」
「誰が……?」
「例えば、権威のあるお医者様とか、有名な学者先生とか。そういう人に『この石鹸は安全です』ってお墨付きをもらえれば、効果は絶大だ」
「でも、そんな人、私たちに協力してくれるでしょうか……」
「そこが、腕の見せ所よ」
ギルさんは、自信ありげに胸を叩いた。
彼には、何か心当たりがあるようだった。
作戦は決まった。
私たちがすべきことは、山ほどある。
広場の使用許可、舞台の設営、協力者の確保……。
そして、その噂は、思わぬ人物の耳にも届いていた。
王城の一室。
アレクシスは、側近からの報告を聞いて、眉をひそめていた。
「……アシュリー商会が、公開実験を?」
「はっ。なんでも、悪質な噂を払拭するため、王都広場で石鹸の製造実演を行うとのことです」
アレクシスの脳裏に、あの強気な令嬢の顔が浮かんだ。
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彼女が、窮地に立たされている。
その原因が、義姉となるイザベラであることも、彼は察していた。
「……くだらん」
アレクシスは、吐き捨てるように言った。
イザベラの陰湿なやり口には、前々から辟易していた。
そして、あのリナという女が、このまま黙ってやられるようなタマではないことも、なぜか確信していた。
「……少し、様子を見てくる」
彼はそう言うと、マントを羽織って部屋を出た。
側近が慌てて後を追う。
「殿下、どちらへ?」
「……散歩だ」
ぶっきらぼうにそう答えたが、彼の足が向かう先は、一つしかなかった。
――面白い。あいつが、どうやってこの状況を切り抜けるのか、この目で見たくなった。
アレクシスの口元に、ほんのわずかな笑みが浮かぶ。
それは、彼自身も気づかない、興味と期待の表れだった。
公開実験の当日。
王都広場には、大勢の野次馬が集まっていた。
皆、好奇と不信が入り混じった目で、舞台の上の私とギルさんを見つめている。
この実験が成功すれば、私たちは復活できる。
失敗すれば、もう二度と立ち上がれない。
ゴクリと、喉が鳴った。
心臓が、早鐘のように鳴っている。
「――さあ、始めようか、リナお嬢!」
ギルさんの声に、私は覚悟を決めて、大きく頷いた。
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