『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人

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第12話:解決と称賛

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 王都の南区画、スラム街の広場は、異様な熱気に包まれていた。

 先ほどまでの「絶望」と「死の気配」は、一人の令嬢の行動によって一変した。  古井戸から猛毒『コキュートスの雫』が検出されたのだ。  私がハンカチで口を押さえ、不快感を示した(ただ臭いと思っただけの)あの井戸から。

「毒が見つかったぞ! 原因はこの水だったんだ!」 「あのお嬢様が……宰相閣下の婚約者様が、一目で見抜いてくださったんだ!」 「なんてことだ。俺たちは毒を飲まされていたのか」

 騎士たちが迅速に井戸を封鎖し、錬金術師たちが解毒剤の生成に取り掛かる。  原因さえ特定できれば、国の医療技術は優秀だ。  高熱に苦しんでいた患者たちには、即座に中和剤が投与され、またたく間に顔色が戻り始めていた。

 死の淵にあったスラム街が、息を吹き返していく。  その光景は感動的だった。  感動的だったのだが――。

「聖女様……!」 「おお、沈黙の聖女様!」 「我らの命の恩人だ!」

 私の周囲半径十メートルが、完全に「宗教画」の世界になっていた。

 ボロボロの服を着た人々が、次々と私の前に跪く。  涙を流して感謝を述べる老婆。  私のドレスの裾にキスをしようとする子供(衛兵が慌てて止めている)。  両手を合わせて拝む男たち。

 私は……帰りたかった。  切実に帰りたかった。

(やめて。拝まないで。私は神様じゃないし、仏像でもないの) (あと、病み上がりの状態で近づかないで。まだ菌が残ってるかもしれないじゃない!)

 私は感染の恐怖から、無意識に後ずさりをした。  背中を丸め、身を縮める。  極力、空気との接触面積を減らすための防御姿勢だ。

 しかし、その姿すらも、民衆の目には「神々しいまでの謙虚さ」として映ったらしい。

「見ろ……。あんなに感謝されているのに、誇るどころか身を引いていらっしゃる」 「『礼には及びません』と仰っているようだ」 「なんて慈悲深い。自分の功績を誇示しないなんて」 「やはり本物の聖女様は違う。どこぞの偽物とは大違いだ」

 視線が一斉に、広場の隅で呆然と立ち尽くすミリアに向けられる。  彼女は顔面蒼白で、震えていた。  自分の祈りが通じず(当然だ)、私が一瞬で解決してしまった現実が受け入れられないのだろう。

 その時、一人の老婆が私の前に進み出た。  手には、薄汚れた布に包まれた何かを持っている。

「聖女様……。これは、私の死んだ夫の形見のペンダントです。安いものですが、どうかお納めください。命を救っていただいたお礼です」

 老婆の震える手。  泥にまみれたペンダント。  衛生的に非常に危険だ。触りたくない。

 私は困惑して、助けを求めるようにクラウス様を見た。  クラウス様、断ってください。  「そのようなものは受け取れない」と、ビシッと言ってください。

 しかし、クラウス様は優しく微笑み、私に頷いた。

「……エリス。民の真心だ。受け取ってあげなさい」

 嘘でしょ。  貴方、潔癖症じゃなかったんですか?  普段なら「汚い」と一蹴する場面でしょう?

 どうやらクラウス様の中での「エリス=聖女」補正が強すぎて、私の行動全てが「慈愛」として処理されているらしい。  私は逃げ場を失った。  断れば老婆が傷つく。受け取れば私が(精神的に)死ぬ。

 私は覚悟を決めた。  息を止め、手袋をした手で、そっとペンダントの端をつまんだ。  指先だけで、最小限の接触で。

 すると、老婆が感極まって泣き崩れた。

「あああ! こんな汚い老婆の捧げ物を、嫌な顔一つせず……! しかも、壊れ物を扱うように、指先で優しく……!」

 違うんです。  汚いからつまんだだけです。

 しかし、その瞬間、広場中から「ワァァァッ!」と歓声が上がった。  「聖女エリス万歳!」「ローゼン公爵家万歳!」「宰相閣下万歳!」  拍手喝采。  私はペンダントをつまんだまま、引きつった笑顔で固まるしかなかった。

          ◇

 その喧騒の外れで。  ミリア・ベルガーは、爪が食い込むほど強く拳を握りしめていた。

「……なんでよ」

 彼女の唇から、血が滲む。

「なんであいつなの? 私が主役のはずでしょ? 私はヒロインで、あいつは悪役令嬢で……処刑されて終わるはずだったじゃない!」

 彼女の計算は、ことごとく狂っていた。  断罪劇での失敗。  ダンスパーティーでの自爆。  毒殺未遂での逮捕。  そして、起死回生を狙ったこの「聖女ごっこ」すら、エリスの圧倒的な「聖性(と誤解)」の前に粉砕された。

 周囲の視線が痛い。  さっきまで「聖女様」とおだてていた連中が、今は「役立たず」「偽物」と蔑みの目を向けてくる。  教会の司祭たちも、ミリアから距離を置き始めているのがわかる。

「ベルガー男爵令嬢」

 冷たい声が降ってきた。  見上げると、クラウス・ヴァン・アイゼンベルク宰相が、氷点下の瞳で見下ろしていた。

「……貴様には、聞きたいことが山ほどある」

「ひっ……」

「なぜ、この疫病の発生と同時に現れた? なぜ、井戸の毒に気づかなかった? いや……そもそも、貴様はこの毒のことを『知っていた』のではないか?」

 ギクリ。  ミリアの心臓が跳ねる。  鋭い。  鋭すぎる。

「毒殺未遂の件で仮釈放中とはいえ、貴様の行動はあまりにも不自然だ。……再調査が必要だな。今度は、教会の庇護など通用しないと思え」

 クラウスが騎士たちに目配せをする。  「連行しろ」  その合図だ。

 終わった。  今度こそ、本当に終わる。  牢獄に戻され、尋問され、全てを暴かれ、処刑される。  華やかなドレスも、宝石も、王子様の愛も、全て失って。

「いや……嫌よ……!」

 ミリアは後ずさる。  嫌だ。  あんな暗い牢屋に戻るのは嫌だ。  私は特別なのに。  選ばれた存在なのに。

 その時。  群衆の影から、スッと黒い手が伸びた。

(……助けてほしいか?)

 声が聞こえたわけではない。  頭の中に直接、響いてきたような感覚。  ミリアがハッとして横を見ると、路地裏の闇の中に、あの「フードの人物」が立っていた。  以前、牢獄で『コキュートスの雫』を渡してきた、謎の協力者。

(こっちだ。……まだ、チャンスはある)

 手招き。  悪魔の誘惑。

 ミリアは一瞬、クラウスとエリスを見た。  エリスは民衆に囲まれ、困ったような(謙虚な)顔で微笑んでいる。  クラウスはエリスを愛おしそうに見守っている。  光り輝く二人。  その光が強ければ強いほど、ミリアの心に落ちる影は濃くなる。

「……ええ。やってやるわよ」

 ミリアは決断した。  人間としての尊厳も、貴族としての誇りも、全て捨てて。  復讐のためなら、悪魔に魂を売ってやる。

「キャァァァッ!!」

 突然、ミリアが悲鳴を上げた。  そして、白目を剥いてその場に倒れ込んだ。

「なんだ!?」  騎士たちが驚いて駆け寄る。

「泡を吹いているぞ!」 「発作か!?」

 混乱が生じた。  民衆がどよめき、人の波が揺れる。  その一瞬の隙だった。

 ボンッ!!

 黒い煙が弾けた。  目くらましの煙幕だ。  視界が遮られ、咳き込む声が広がる。

「煙だ!」 「曲者か!?」 「エリス嬢を守れ!!」

 クラウス様が瞬時に私を抱き寄せ、マントで覆い隠す。  「動くな!」という鋭い命令。  私は彼にしがみつき、震えていた。

 やがて、風が煙を払った時。  そこにミリアの姿はなかった。

「……逃げたか」

 クラウス様が苦々しく呟く。  地面には、ミリアが着ていた聖女のドレスだけが、脱ぎ捨てられたように残されていた。  まるで、人間であることを捨てて、別の何かへと変貌したかのように。

「捜索しろ! 王都の門を封鎖だ! ネズミ一匹逃がすな!」  騎士たちが散らばっていく。

 しかし、私は直感していた。  彼女はもう、捕まらない。  もっと深く、もっと暗い闇の中へ潜ってしまったのだと。

          ◇

 数日後。  スラム街の疫病騒動は、急速に収束に向かっていた。  新しい水源が確保され、解毒剤が行き渡ったことで、死者は最小限に抑えられた。

 そして今日。  王宮の謁見の間にて、論功行賞が行われていた。

 玉座には国王陛下と王妃陛下。  両脇には高官たちがズラリと並んでいる。  その中央に、私とクラウス様は並んで立っていた。

「宰相クラウスよ。今回の疫病対策、見事であった。迅速な判断と行動力、余は満足しておる」

 国王陛下の厳かな声。  クラウス様は恭しく頭を下げる。

「もったいないお言葉です。しかし、最大の功労者は私ではありません」

 彼は隣にいる私を示した。  やめて。  こっち見ないで。

「我が婚約者、エリス・フォン・ローゼン嬢。彼女の鋭い洞察力と、危険を顧みない勇気が、毒の発見に繋がりました。彼女こそが、数千の民の命を救ったのです」

 国王陛下が頷く。

「うむ。報告は聞いている。『沈黙の聖女』……民はそう呼んでいるそうだな」

 沈黙の聖女。  その二つ名が、公式のものになりつつある。  恥ずかしい。穴があったら入りたい。

「エリスよ。余からも礼を言う。そなたは王国の至宝だ。……褒美を取らせよう。何か望むものはないか?」

 望むもの。  「平穏な生活」と「引きこもる権利」です。  そう言いたい。  喉まで出かかっている。

 しかし、この荘厳な空気の中で、そんな個人的な願望を口にできるはずがない。  もし喋って、「声が震えている」とか「言葉遣いが俗っぽい」とか思われたら、今までの「高潔な令嬢」のイメージが崩壊する。

 私は必死に考えた。  どうすれば、この場を無難に切り抜けられるか。  そうだ。  何もいりません、という態度を示そう。  謙虚さをアピールして、早々に帰らせてもらおう。

 私はゆっくりと首を横に振った。  無言で。  そして、胸に手を当てて、静かに一礼した。  (お気持ちだけで十分です)

 シーン……。  謁見の間が静まり返る。  国王陛下が目を見張る。

「……無欲、か」

 王妃陛下が感嘆の声を漏らす。

「なんと……。国一番の功績を挙げながら、何一つ求めないというのですか。名誉も、財貨も、地位も。ただ、民の笑顔があればそれでいいと?」

 違います。  財貨は欲しいです。老後のために。  でも、今は早く帰りたい一心なんです。

 しかし、私の「無言の拒否」は、またしても最高ランクの「美徳」として変換されてしまった。

 国王陛下が立ち上がり、宣言した。

「よい! その清貧の心、まことにあっぱれである! だが、王家として何も報いないわけにはいかぬ。……エリス・フォン・ローゼンに『聖星十字勲章』を授与し、王家の特別保護対象とする!」

 聖星十字勲章。  教科書でしか見たことのない、国最高峰の勲章だ。  しかも「王家の特別保護対象」って何?  SPがつくの? 監視されるの?  自由がなくなるやつじゃないの?

 私は内心で悲鳴を上げたが、外面は「恐悦至極」という顔(実際は引きつっている)で、再び頭を下げるしかなかった。

          ◇

 謁見の後。  私たちは王宮の庭園を歩いていた。  私の胸には、重たい勲章が輝いている。  肩が凝る。

「疲れたか、エリス」  クラウス様が気遣わしげに声をかけてくる。

 私はコクコクと頷いた。  もう、今日は泥のように眠りたい。

「すまない。だが、君の功績を正当に評価させたかったんだ。これで、もはや誰も君を『王太子に捨てられた令嬢』とは呼ばない。君は名実ともに、この国の英雄だ」

 彼は満足そうだ。  私の名誉回復のために、ここまで根回しをしてくれたのだろう。  その愛は重いが、温かい。

「それに……あの勲章があれば、ある程度の危険からは守られる。ミリア、いや、彼女の背後にいる組織も、うかつには手出しできなくなるはずだ」

 組織。  その言葉に、空気が少し冷たくなる。

 ミリアはあれ以来、行方不明のままだ。  騎士団の捜索も空しく、痕跡一つ残していない。  それは、彼女が単独犯ではなく、プロの組織の手引きを受けていることの証明でもあった。

「奴らの狙いは、おそらく国の転覆だ。水への毒混入は、社会不安を煽るための序章に過ぎない」

 クラウス様の表情が厳しくなる。

「隣国の『ガレリア帝国』。奴らの影が見え隠れする。……エリス、これからは今まで以上に警戒が必要だ。屋敷の警備も強化する」

 はい。  お願いします。  私はもう、安全な場所から一歩も出たくありません。

 その時。  風が吹き抜け、庭園の木々がざわめいた。  私はふと、視線を感じて振り返った。

 遠く、王宮の尖塔の影。  そこに、何かがいたような気がした。  カラス?  いや、人影?

 目を凝らすと、もう何もいない。  気のせいだろうか。  でも、背筋がゾクゾクするような悪寒は消えなかった。

          ◇

 王都の地下水路。  暗く、湿った闇の中。  かつて男爵令嬢だった「モノ」が、そこにいた。

 ドレスはボロボロになり、美しい金髪は泥にまみれている。  しかし、その瞳だけは、異様な光を放っていた。

「……エリス。エリス。エリス……」

 呪詛のように名前を繰り返す。  彼女の目の前には、数人の男たちが立っていた。  全員、黒い装束に身を包み、顔を隠している。  隣国の工作員たちだ。

「よく逃げ延びたな、ミリア」  リーダー格の男が言う。

「貴様は死んだことになっている。表の世界にはもう戻れない。……だが、新しい顔と、新しい任務をやろう」

 男が差し出したのは、一枚の仮面と、メイド服だった。

「潜入先は、アイゼンベルク侯爵邸。……宰相の寝首を掻くための、最後の布石だ」

 ミリアは、歪んだ笑みを浮かべた。  侯爵邸。  そこは、エリスが住む場所。  憎きライバルの、最も安全な聖域。

「ええ……喜んで。あの女の幸せを、一番近くで壊してやるわ」

 ミリアはメイド服を手に取った。  その瞬間、彼女の中で「ミリア・ベルガー」は死んだ。  生まれたのは、復讐に狂った名もなきスパイ。

 彼女は懐から、あの黒い小瓶『コキュートスの雫』の残りを取り出し、愛おしそうに撫でた。   「待っててね、エリス。今度こそ、逃さないから」

 地下水路の闇に、狂気じみた笑い声が反響する。  地上では、人々が「沈黙の聖女」を讃えて祝杯を上げている頃だろう。  だが、本当の悪夢は、まだ終わっていなかった。  むしろ、姿を変え、形を変え、私の懐(ふところ)へと忍び寄ろうとしていたのだ。

 勲章の重みに肩を落とす私は、まだ知らない。  屋敷で新しく雇われる予定の「無口で働き者のメイド」が、誰なのかを。  そして、私の「無言」が、最大の敵との心理戦において、意外な武器になることを。
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