緊急! 超獣鋼猟 ウイークエンダー・ラビット ~パーフェクト朱墨の山~

リューガ

文字の大きさ
119 / 124

120.罪深い姫の怒り

しおりを挟む
 セカンド・ボンボニエールは、10トン近い重さがあるロボット。
 それを支える4本の鉄の足が、叩きおられてる。
 機体は前のめりに倒れて、車体の上から床にめり込んだ。
 コクピットへ入るハッチは、そこだ。
 私は、そのハッチを持ち上げ続けてる!
 重い!
 しかも、ハッチの横に邪魔者がいる。
 直径30ミリもある砲弾を射つ、機関砲。
 ゴツいやつだよ。
 火傷しそうなほど熱い。
 さっきまで火を吹いてたんだ。
 当然だね。
 その砲が、私に触れそうなそばにある。
 床に、ちょっと刺さって止まってる。
 機関砲をガン! と蹴ってみる!
 クツ底から熱さは感じなかった。
 このクツやスーツは燃えることはないけど。
 砲塔は、まわらなかった。
「ウィットネス・ディパーチャーだ」
 中から男の人の声がした。
「僕はまだ歩ける! 」
 コクピットから叫んだ。
「早くしてください。
 手がキツいです! 」
 シートベルトを外す音が聞こえる。
「そのフタ、重いの?! 」
 ふ、フタ?
 この人の命を預けて、増加装甲までつけたハッチを、そう言う発想はなかった。
 後ろから話しかけ、駆け寄る人たち。
 ノーブル・アンビルだ。
 4人ともいる。
「あなたたち! 」
 たちまち怒りと叫びがわいてくる。
「安菜を護衛するんじゃなかったですか?! 」
 私が、命を懸けてる大事なことだ。
「その安菜さまに頼まれました」
 震える声で、答えられた。
「あなたを手伝うように」
 おびえてる。
 女の子の声だ。
 感じは、たぶん私と同じ年頃。

 ふりかえって、安菜を見る。
 今も、閻魔 文華に浮きあげられたままだった。
  
「もう、助かる道がないんです! 」
 そう叫ぶ、男のこん棒エンジェルス。
 ルルディ騎士に似た黒い炎の鎧。
 その下には、丸々とした機械式のパワードスーツ、破滅の鎧もまとってる。
 なのに、この弱弱しさは何だろう?
 ひざと、両手を床に付いてる。
 そのまま泣き叫ぶ姿から、戦う気力は感じなかった。
「迎えに来た大人たちも、「もう、お前たちへの未練も消え失せた」って言って、攻撃してくるんです! 」
 涙声でまくし立てるだけの男。
 それを安菜は律儀に見つめる。
 文華から課せられた、見届け人の役割を果たすつもりなんだ。

「ごめんなさい」
 私、八つ当たりしてた。
「このハッチ、重いです」
 あやまって答えると、すぐに代わってくれた。
 本物のルルディ騎士にかかると、ハッチも軽々だね。
「この鉄砲、熱いよね! 」
 また、ノーブル・アンビルの一人に話しかけられた。
 この声も女の子だ。
「このままだと火傷しますね」
 私が言うとすぐに、騎士は砲身をつかんだ。
 ギュッと引くだけで、砲塔が軽々と回った。
 そしたら、しのぶとみつき、続いてディパーチャーが飛び出した。
「手間をかけたね」
 ディパーチャーさんがあやまった。
 顔は、すり傷だらけで血がにじんでる。
 そう言えば、窓の防弾ガラスが割れていた。
 中で飛び散ったのかな。
「さあ、逃げよう」
 ディパーチャーさんに言われた。
 まわりが騒がしくなった。
 重いモーター音が重なる。
 床もゆれる。
 北辰やパーフェクト朱墨が、私たちを囲むように集まりだしたんだ。
 みんなで逃げるつもりだ。
 だけど、だけどね。
「まだだよ! 安菜を助けないと! 」
『助けるつもりですよ』
 パーフェクト朱墨から、朱墨ちゃんの声がした。
 今は壁ぞいを、カニみたいに横歩きしながら。

「まだ、そんなことを言っているのか?! 」
 その時、文華の大声がひびきわたった。
「どうやったらボルケーナに勝てると言うんだ!? 」
 怒号だ。
 もう他に選択肢はない、と言う意味の。
「見ろ! 」
 文華の命令と同時に、こん棒エンジェルスの悲鳴がひびいた。
「うワア!! 」
 こん棒エンジェルスが浮き上がった。
 大の字に体を開いて。
 その顔は、外に向けられている。
 文華の右手が、光を放った。
 黄色、いや金色の光だ。
 攻撃?!
 身構える猶予もない。
 その手がふられた。
 光が、私たちの頭上を通りすぎていく。
 夜の闇に飛んでいく。
 そして、それまで見えなかったものに当たった。
「何あれ」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

キメラスキルオンライン 【設定集】

百々 五十六
SF
キメラスキルオンラインの設定や、構想などを保存しておくための設定集。 設定を考えたなら、それを保存しておく必要がある。 ここはそういう場だ。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

みらつりショートショート集

みらいつりびと
SF
SFその他のショートショート集です。 サクッと読み終わる1話完結掌編だけを集めました。

あの日、君が目指した空の果てへ

嶌田あき
青春
旧題:風船ガール 〜気球で目指す、宇宙の渚〜  高校生の澪は、天文部の唯一の部員。廃部が決まった矢先、亡き姉から暗号めいたメールを受け取る。その謎を解く中で、姉が6年前に飛ばした高高度気球が見つかった。卒業式に風船を飛ばすと、1番高く上がった生徒の願いが叶うというジンクスがあり、姉はその風船で何かを願ったらしい。  完璧な姉への憧れと、自分へのコンプレックスを抱える澪。澪が想いを寄せる羽合先生は、姉の恋人でもあったのだ。仲間との絆に支えられ、トラブルに立ち向かいながら、澪は前へ進む。父から知らされる姉の死因。澪は姉の叶えられなかった「宇宙の渚」に挑むことをついに決意した。  そして卒業式当日、亡き姉への想いを胸に『風船ガール』は、宇宙の渚を目指して気球を打ち上げたーー。

処理中です...