緊急! 超獣鋼猟 ウイークエンダー・ラビット ~パーフェクト朱墨の山~

リューガ

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44.顔のないメカの巫女

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 すっかり息が上がった。
 けど、空港パレードのクライマックスには間に合ったらしい。
 ターミナルビルの滑走路側は、夜中でもまぶしく照らされている。
 ボンボニエールの群れは、私たちの前まで来た。
 海はビルの後ろだけど、波の音は結構聞こえたはずだよ。
 でも、今聞こえるのはブレーキの音だけ。
 車列は滑走路沿いから90度曲げ、ビルに向かってきた。
 ちょうど、このビル対して90度になるように。

「うわぁ・・・・・・」
 管制室からつれてこられた2人の管制官が、怖そうにうめいた。
 わかる。わかりますよ、それ。

 列が、左右二つにわかれた。
 ここまで来ると、1台づつの色も形もハッキリ見えた。
 一番多いのは、灰色やミドリなどの、いわゆる迷彩色や軍事色のやつ。
 赤と黄色など、ハデな色のもいる。
 蛍光塗料でさらにハデハデなミドリやピンクに塗ったものも。
 それでも、共通点はある。
 いかにも重火器とわかる、筒型の突起。
 巨大な剣とわかる、鋭いシルエット。
 あれ全部、ハンターキラーのものだよ。

 2列に別れたボンボニエールに、空中の機体も合流する。
 2列は、私たちの目の前から滑走路まで、また何列にもわかれて並ぶ。
 そして、お互いに向き合ってモーター音をうならせ、あわせて立ち上がった。
 そのまま静止した。
 私たちの前に道をつくって。
 
 道の向こうに、1台だけボンボニエールが残ってる。
 まるで手品のように、激しい鉄の流れから現れたそれは。
 深緑で、重武装の機体だった。
「ファントム・ショットゲーマー・・・・・・」
 なんと!
 達美さんが引っ張ってきた管制官も知っていた。

 ベースはセカンド・ボンボニエール。
 武装をかなり減らした機体が、動画『何が忘れられたのか』にもでてる。
 それがいまは?
 右肩に大きくハリだすのは、は105ミリりゅう弾砲。
 背中に固定された大きなコンテナが、砲弾をしまい、自動で装填してくれる。
 たしか、あのくらいの車両に積める、限界の大きさ、重さ、それに反動のはず。
 左肩には、6発の対戦車ミサイル。
 これは1発なら人でも持ち運べるやつだね。
 低いところを飛んでいたら、飛行機でも打ち落とせる。
 そのさらに後ろには、飛びだすミニガンが。
 動画にでてきたのはこれ。
 そういえば、ボンボニエール系は人型ロボットとは言うものの、顔と言える部分はない。
 4本足の上にのるのは、ひし形と言うか、碁石、空飛ぶ円盤みたいな、衝撃をそらしやすい形の胴体。
 それに腕が生えてる。
 ファントム・ショットゲーマーの胴体には、増加装甲がほどこされてる。
 手には、人間が使う銃をそのまま大きくしたようなライフルが。
 口径は12.7ミリだったと思う。
 そして左腕に、片手用の盾が固定されてる。
 殴りやすいように、コブシの向こうまで突起が延びてるよ。 
 そいつが、やってきた。

 と同時に、道を作るボンボニエールたちに動きがあった。
 
 ウィーン ウィーン

 なんと、後ろ足を伸ばし、頭を下げた!
(ないけど)

 ガンガン

 鋼鉄の手が2回拍手。
  
 ウィーン

 最後に頭を1回下げた。
「何ですか、あれ?」
 アーリンくんが聴いてきた。
「ニ礼ニ拍手一礼。
 神社という、宗教施設の拝礼作法だよ」
 武志さんが説明してくれた。

 ガチャっと、ファントム・ショットゲーマーから音がした。
 天井にあるハッチが開いたんだ。
 そこから現れたのは、朱墨ちゃん。
 茶色いヘルメットと、スキー用のゴーグルをしてる。
 でも、その姿は・・・・・・。

「白衣に、緋袴?」
 管制さんの言う通り、その姿は白い小袖と赤い袴。いわゆる巫女さんだ。
 長い黒髪も、後ろでまとめて和紙で包み、白いヒモでしばってる。
「千早と冠もついてるよ。こんばんはー」
 ええ、こんばんは。
 確かに、白衣の上からもう一枚白い衣をまとってるのは、千早というものだ。
 赤いヒモ飾り、それにミドリの鶴とマツの枝の図柄だね。
 ヘルメットとゴーグルをはずすと、金色の冠をつけた。
 ティアラみたい。
「私、晩ごはん食べてたんだけどな」
 それは、ざんねんだったね。
「まあ、ママみたいな神さま気分が味わえたのはよかったよ」
 すっかり、イベント用おめかし巫女さんになった朱墨ちゃん。
 でも、その顔は苦笑いで。
「私のこと、みとめてないのかと思ったよ。
 学校に通うなんて、ってね」
 アーリンくんを見る目は冷たい。
 たしかに、貴族や聖職者は学校に通わず家庭教師をつけるのが普通の世界もあるけどね。
「家庭教師も雇えない貧乏神社なのかね、うちは」
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