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二人の動機
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変に散らかっていた『場』を、軽くならして、
「田中時雨。お前の事について、もう少し知っておきたい。今から、いくつか質問をするから、簡潔に答えろ。まず……帰りたいとは思わないのか?」
「ぁ、えっと、それがなぁ……これが、まったく思わへんねんなぁ。むしろ、頼むから、送り返さんといてくれ」
「もし、ほのぼのスローライフを期待しているなら、その幻想を今すぐブチ殺せ。ここは、ガチガチの剣と魔法の世界。魔王がいて、勇者がいる。ドレイも盗賊も山賊も当り前のようにいて、国家同士の戦争が日常の世界。今のところ、戦争の波は落ち着いているが、火種はそこらで燻っている。いつどんなタイミングで戦火が広がるか分からない。そんな世界だ。お前が生まれ育った『頭おかしい国』とは、趣からして全く異―――――くく」
「ん? どしたん? 急に笑いだして」
「いや……発言が、まんま、異世界モノの神様みたいだなって思ってな……」
「いや、それはあたしも思うたけど、神様自身がそれ言う? なんか、調子くるうんやけど」
(異世界転生を夢見て色々と夢想していたあの頃でも、流石に『こっち側』に立つ妄想はしていなかった。……はっ……勝手に『断定』していたが、どうやら、人生ってのは、まだまだ俺ごときでは掴みきれない、数奇で酔狂なヤンチャ坊主らしい。面倒くせぇだけで、楽しいとは思えないって所がミソだな。……笑えねぇ)
「ぇと、あの……」
急に黙ったセンに、シグレが不安そうな顔でそう声をかけた。
「ああ、悪いな。少し考え事をしていた…………えっと……なんだっけな。ぁあ、そうそう。この世界についてだったな。さっき言った通り、ここは、初期状態の第一アルファ人視点で言えば、生きるだけでもしんどい世界だ。普通の第一アルファ人なら、持ち前のハイスペックさを生かして、『どうとでも出来る』んだが、お前では、おそらく、簡単に死ぬ」
「あたしが無能なんは、あたし自身が誰よりも知っとる。せやから、そんなんは諦める理由にならへん。ほら、プロ野球選手になれる才能がなくても、必死に野球をするヤツはおるやろ? 感覚的には、あれと、おんなじやな」
「……それとこれを一緒にするのはどうかと思うが……まあ、言いたい事は何となくわかった。しかし、それにしても、お前、妙にかたくなだな。どうして、それほどまでの覚悟が決められる? もしかして、自殺志願者か?」
「あたしなぁ、異世界モノを読みこむ人間には二種類おると思うんや」
「興味深いな。続けろ」
「実際にこんな目には遭いたくないなぁと思いながら『でも、自分もちょっとは行ってみたいかも』と軽く考えつつ、セーフティーという名の愉悦をかみしめる派と……」
「もうひとつは?」
「……歯噛みしながら主人公に羨望の眼差しを送る派」
「ふむ」
「あたしは後者やった。ようは、それだけの話や。家庭環境や学校でのトラブル云々は、理由の一つでしかない。――もし、あたしの人生が、順風満帆なソレやったとしても、異世界モノの主人公に対する『強い嫉妬心』は、なんら変わらんドス黒さを持って、あたしの中で蠢いとったはずや」
(さぁて、それは、どうかな。順風満帆な人生だったら、はたして、そもそもネット小説にハマるかどうか……)
異世界モノに自己を投影して愉悦に浸る。
(健全か不健全か、などと、そんな寝ぼけた事を言うつもりはない……けれど、『それ』が『満たされた者にも等しく見られる反応』かと言うと、疑問符を抱かずにはいられない。高校生だった時の俺は満たされていなかった。決して、望み通りの人生ではなかった。異世界モノを読み漁った理由に、『つまらない人生に対する絶望』が無かったとは言えない。……まあ、けれど、しかし――)
「――あたしは、あのままやったら、きっと、鬱陶しい悪意を我慢しながら漠然と高校を卒業して、漫然と大学を卒業して、適当に公務員かOLになって……それで、毎日、ひたすら、パソコンの前に座って事務処理する日々を迎えとったやろう」
それだって、もちろん、それなりに楽しい人生だろう。
給料をもらって、休みの日に、美味しいモノでも食べて、たまに映画でも見て、深夜に、どっぷりとハマったネット小説のアニメ版を見て、『説明が足りへんやろ、それじゃあ、伝わらへんわ。てか、なんで、そんなどうでもええ所を使って、大事なあの場面を削ってんねん。アホちゃうか、この製作会社』とかぶちぶち言いながら酒を飲む。
それだって、大事な人生だ。
根本から否定する気はない。
けど……けれども――
「それしかないなら受け入れて、日々を消費していく構えやったけど、そうやない人生を選べるなら、あたしは、迷わず、違う方を選ぶ。そして、さっき言うたとおり、その気持ちは、もし、そうやない人生を送っとったとしても変わらへん。たとえば、スーパーモデルとか大女優とか、他にも、ぇと、なんやろ……超有名なマンガ家とかスポーツ選手とか、そういう、『選ばれた立場』やったとしても…………もし目の前に『異世界に行ける可能性』があったなら、あたしは、必ず、そっちを選ぶ」
(あくまでも,たとえばの話だから、いくら強気に言い切られても意味なんか無いんだが……まあ、そうだな……)
気付けば、センは、目の前にいる女子高生に、自己を投影していた。
この発言が、もし心底からの本音なら、この女は完全にサイコだと言わざるをえない。
本格的に脳の回路がバグっている、精神異常者。
――そう、つまりは、かつての自分と同じ。
結果的に死んでもいい。
どれだけ無残な死に方をしても構わない。
だから、どうか、望む世界で暴れさせてくれ――と願っていた、
スタート地点に立つ前の自分。
「異世界に転生して、冒険者になったり、モンスターを倒したり、ダンジョンをもぐったり、レベルを上げて、魔法を使えるようになったり……そういう、イカれた人生を送りたいと、あたしは、心底から願っとったんや」
――異世界に転生して、心の底から、「ひゃっほい」と言える人間が何人いるだろう。
全部で何人いるかは知らないが、
とりあえず、ここに、
――二人いる。
「田中時雨。お前の事について、もう少し知っておきたい。今から、いくつか質問をするから、簡潔に答えろ。まず……帰りたいとは思わないのか?」
「ぁ、えっと、それがなぁ……これが、まったく思わへんねんなぁ。むしろ、頼むから、送り返さんといてくれ」
「もし、ほのぼのスローライフを期待しているなら、その幻想を今すぐブチ殺せ。ここは、ガチガチの剣と魔法の世界。魔王がいて、勇者がいる。ドレイも盗賊も山賊も当り前のようにいて、国家同士の戦争が日常の世界。今のところ、戦争の波は落ち着いているが、火種はそこらで燻っている。いつどんなタイミングで戦火が広がるか分からない。そんな世界だ。お前が生まれ育った『頭おかしい国』とは、趣からして全く異―――――くく」
「ん? どしたん? 急に笑いだして」
「いや……発言が、まんま、異世界モノの神様みたいだなって思ってな……」
「いや、それはあたしも思うたけど、神様自身がそれ言う? なんか、調子くるうんやけど」
(異世界転生を夢見て色々と夢想していたあの頃でも、流石に『こっち側』に立つ妄想はしていなかった。……はっ……勝手に『断定』していたが、どうやら、人生ってのは、まだまだ俺ごときでは掴みきれない、数奇で酔狂なヤンチャ坊主らしい。面倒くせぇだけで、楽しいとは思えないって所がミソだな。……笑えねぇ)
「ぇと、あの……」
急に黙ったセンに、シグレが不安そうな顔でそう声をかけた。
「ああ、悪いな。少し考え事をしていた…………えっと……なんだっけな。ぁあ、そうそう。この世界についてだったな。さっき言った通り、ここは、初期状態の第一アルファ人視点で言えば、生きるだけでもしんどい世界だ。普通の第一アルファ人なら、持ち前のハイスペックさを生かして、『どうとでも出来る』んだが、お前では、おそらく、簡単に死ぬ」
「あたしが無能なんは、あたし自身が誰よりも知っとる。せやから、そんなんは諦める理由にならへん。ほら、プロ野球選手になれる才能がなくても、必死に野球をするヤツはおるやろ? 感覚的には、あれと、おんなじやな」
「……それとこれを一緒にするのはどうかと思うが……まあ、言いたい事は何となくわかった。しかし、それにしても、お前、妙にかたくなだな。どうして、それほどまでの覚悟が決められる? もしかして、自殺志願者か?」
「あたしなぁ、異世界モノを読みこむ人間には二種類おると思うんや」
「興味深いな。続けろ」
「実際にこんな目には遭いたくないなぁと思いながら『でも、自分もちょっとは行ってみたいかも』と軽く考えつつ、セーフティーという名の愉悦をかみしめる派と……」
「もうひとつは?」
「……歯噛みしながら主人公に羨望の眼差しを送る派」
「ふむ」
「あたしは後者やった。ようは、それだけの話や。家庭環境や学校でのトラブル云々は、理由の一つでしかない。――もし、あたしの人生が、順風満帆なソレやったとしても、異世界モノの主人公に対する『強い嫉妬心』は、なんら変わらんドス黒さを持って、あたしの中で蠢いとったはずや」
(さぁて、それは、どうかな。順風満帆な人生だったら、はたして、そもそもネット小説にハマるかどうか……)
異世界モノに自己を投影して愉悦に浸る。
(健全か不健全か、などと、そんな寝ぼけた事を言うつもりはない……けれど、『それ』が『満たされた者にも等しく見られる反応』かと言うと、疑問符を抱かずにはいられない。高校生だった時の俺は満たされていなかった。決して、望み通りの人生ではなかった。異世界モノを読み漁った理由に、『つまらない人生に対する絶望』が無かったとは言えない。……まあ、けれど、しかし――)
「――あたしは、あのままやったら、きっと、鬱陶しい悪意を我慢しながら漠然と高校を卒業して、漫然と大学を卒業して、適当に公務員かOLになって……それで、毎日、ひたすら、パソコンの前に座って事務処理する日々を迎えとったやろう」
それだって、もちろん、それなりに楽しい人生だろう。
給料をもらって、休みの日に、美味しいモノでも食べて、たまに映画でも見て、深夜に、どっぷりとハマったネット小説のアニメ版を見て、『説明が足りへんやろ、それじゃあ、伝わらへんわ。てか、なんで、そんなどうでもええ所を使って、大事なあの場面を削ってんねん。アホちゃうか、この製作会社』とかぶちぶち言いながら酒を飲む。
それだって、大事な人生だ。
根本から否定する気はない。
けど……けれども――
「それしかないなら受け入れて、日々を消費していく構えやったけど、そうやない人生を選べるなら、あたしは、迷わず、違う方を選ぶ。そして、さっき言うたとおり、その気持ちは、もし、そうやない人生を送っとったとしても変わらへん。たとえば、スーパーモデルとか大女優とか、他にも、ぇと、なんやろ……超有名なマンガ家とかスポーツ選手とか、そういう、『選ばれた立場』やったとしても…………もし目の前に『異世界に行ける可能性』があったなら、あたしは、必ず、そっちを選ぶ」
(あくまでも,たとえばの話だから、いくら強気に言い切られても意味なんか無いんだが……まあ、そうだな……)
気付けば、センは、目の前にいる女子高生に、自己を投影していた。
この発言が、もし心底からの本音なら、この女は完全にサイコだと言わざるをえない。
本格的に脳の回路がバグっている、精神異常者。
――そう、つまりは、かつての自分と同じ。
結果的に死んでもいい。
どれだけ無残な死に方をしても構わない。
だから、どうか、望む世界で暴れさせてくれ――と願っていた、
スタート地点に立つ前の自分。
「異世界に転生して、冒険者になったり、モンスターを倒したり、ダンジョンをもぐったり、レベルを上げて、魔法を使えるようになったり……そういう、イカれた人生を送りたいと、あたしは、心底から願っとったんや」
――異世界に転生して、心の底から、「ひゃっほい」と言える人間が何人いるだろう。
全部で何人いるかは知らないが、
とりあえず、ここに、
――二人いる。
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