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157367話 戦闘準備。
しおりを挟む157367話 戦闘準備。
鏡の前で何度も確認して、何度も引き返し、ギリギリまで迷って選んだ服。
小柄な自分の体型に合わせ、流行りの『淡色系コーデ』をベースに組んだ。
ふんわりとしたアイボリーのショートニットに、ウエスト位置を高く見せるプリーツミニの黒スカート。
脚をまっすぐ綺麗に見せるため、膝上までの白ソックスを合わせ、足元には今女子高生に人気の厚底スニーカーを選んだ。
全体の印象は、柔らかく、清楚で、しかしどこか大人びている。
髪は、いつもの適当な結び方ではない。
根本から丁寧にブローをかけ、毛先にだけ軽く巻きを入れて、揺れるたびに光を拾うよう仕上げてある。
前髪も一ミリ単位で整え、サイドには細いゴールドのヘアピンを添えた。小顔に見える角度を狙って何度も付け直した跡が、机に散らばったピンの数に残っている。
爪も、普段とは違う。
学校で怒られない程度の短いネイルに、透けるようなミルキーピンクのジェルを薄く重ね、指先だけそっと光を宿す。
自分でも場違いなくらい可愛い仕上がりに、鏡の前で何度も手をひっくり返して確認した。
メイクは、普段なら絶対にしないレベルで、時間をかけた。
小柄な顔に合わせて、ナチュラルだけど輪郭がはっきりする地雷寄り清楚メイク。
涙袋に淡いピンクの影を乗せ、黒目が大きく見えるよう下まつげを丁寧に整え、リップは血色がじんわり滲むティントを薄く重ねた。
鏡に映るたび、本当にこれでいいのかと何度も思い直し、そのたび化粧ポーチをひっくり返した。
完璧に仕上げて戦闘準備は万全のつもりなのに、どこか落ち着かない。
胸の奥がずっとソワソワして、指先がかすかに震える。
それでも――『彼』を迎えるために出来ることは全部やった、と自分に言い聞かせるように、トコは静かに立ち尽くしていた。
「……ふぅ」
ちょっとだけ緊張している様子のトコは、軽く目を閉じ、呼吸を整える。
胸の奥で心臓がうるさく跳ねるのを、自分の意志で押さえつけるように、ゆっくりと息を吸って、吐いた。
歪んだ空間の裂け目が、縦一文字に大きく口を開く。
そこから、センエースは姿を現した。
トコが描く『転生文学センエース』の『えげつない変貌ぶり』に度肝を抜かれ、慌てて刑務所を抜け出し、ここまでやってきた。
次元の傷口を踏み越え、ゆっくりと姿を現す。
その男の眼差しは、いつも通り、いや、いつも以上に、余裕でガン切れしていた。
怒気をはらんだ黒い瞳が、部屋の全体を一瞬でなめ回し、すぐにトコへと焦点を結ぶ。
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