74 / 110
40-1
しおりを挟む
「おはよう電気くん。今日の分の体力も頂いて行くぜ」
迷宮都市で過ごしたのは一日だけ。直ぐにまた素材の収集依頼を受けて山に戻って来た。
一日に一回、ステータス強奪は忘れない。
今回の依頼期間は二カ月だ。特にレアという拘りもないので期間いっぱい狩りをして町に戻る。戻ったらまた新しい依頼を貰って地上へ。
素材採取だけでなく、村を襲撃するモンスター退治。旅人を狙う山賊狩りといろいろやった。
どの依頼を受けようと、一日一回電気くんの元に欠かさず通い続けた。
そんな暮らしが約一年続いて、ようやくステータス強奪にしっぱい。
「こいつ、いったいどんだけ体力あったんだよ……」
「うわぁ、リヴァの体力凄い……ドン引き」
「引くなよ!」
まぁ俺も引くよ、これは。
******************************************
筋力255 体力967 敏捷221 魔力164
******************************************
体力……四桁目前。
少なくとも電気くんから、この一年間で700以上の体力を貰っている。
俺の体力が電気くんと同じになったから強奪が失敗した訳で、元々の電気くんの体力は967プラス700という計算になる。
考えただけでも恐ろしい。
「じゃあ次は筋力を貰おうかな」
「うえぇ、まだ電気くんから貰うの? 電気くんかわいそうじゃない?」
「なに電気くんに同情なんかしてんだよ。そもそもこいつ、嫌がるそぶりとか全然みせないだろ」
一時停止をしていても、相手の意識はハッキリしている。
停止中の間に俺が何をしているのか、そしてこれだけ体力を奪ってんだ、何をされているのかも理解しているはずだ。
それでもこいつは暴れるそぶりも無ければ、封印の中ですら俺を威嚇することはない。
むしろ最近は、望んでいるのかとすら思えている。
「お前、このまま俺にステータス強奪され続けたら、確実に弱くなるぞ?」
その目は俺をじっと見つめても、質問には答えない。
こいつはいったい何なんだろう?
生臭に電気くんの話をしてはみたが、そんなモンスター見たことも聞いたこともないと言う。
「お前……いったい何者なんだよ」
「モンスター?」
隣のセシリアが真顔で答える。
いや、そういう事じゃなくって……。
「でもね、少し変なの」
「変?」
「うん。電気くんね、精霊力を感じる」
精霊力?
じゃあ精霊魔法が使えるモンスターってこと?
「パチパチ放電してるし、雷の精霊魔法でも──ん? 雷の精霊って、いるのか?」
「うん、はい。下位の精霊はヴォルトっていうの」
「セシリアはヴォルトの召喚は?」
セシリアは両手をクロスし、×を作る。
「雷の精霊、とっても気難しがり屋だから召喚は難しいの」
「確かに雷の精霊を扱うって物語は、あまり見たことないもんな」
「物語?」
「あー……いろんな人から聞く冒険譚さ。うん」
前世で読んでいた小説とか漫画ですとは言えないだろ。
迷宮都市で過ごしたのは一日だけ。直ぐにまた素材の収集依頼を受けて山に戻って来た。
一日に一回、ステータス強奪は忘れない。
今回の依頼期間は二カ月だ。特にレアという拘りもないので期間いっぱい狩りをして町に戻る。戻ったらまた新しい依頼を貰って地上へ。
素材採取だけでなく、村を襲撃するモンスター退治。旅人を狙う山賊狩りといろいろやった。
どの依頼を受けようと、一日一回電気くんの元に欠かさず通い続けた。
そんな暮らしが約一年続いて、ようやくステータス強奪にしっぱい。
「こいつ、いったいどんだけ体力あったんだよ……」
「うわぁ、リヴァの体力凄い……ドン引き」
「引くなよ!」
まぁ俺も引くよ、これは。
******************************************
筋力255 体力967 敏捷221 魔力164
******************************************
体力……四桁目前。
少なくとも電気くんから、この一年間で700以上の体力を貰っている。
俺の体力が電気くんと同じになったから強奪が失敗した訳で、元々の電気くんの体力は967プラス700という計算になる。
考えただけでも恐ろしい。
「じゃあ次は筋力を貰おうかな」
「うえぇ、まだ電気くんから貰うの? 電気くんかわいそうじゃない?」
「なに電気くんに同情なんかしてんだよ。そもそもこいつ、嫌がるそぶりとか全然みせないだろ」
一時停止をしていても、相手の意識はハッキリしている。
停止中の間に俺が何をしているのか、そしてこれだけ体力を奪ってんだ、何をされているのかも理解しているはずだ。
それでもこいつは暴れるそぶりも無ければ、封印の中ですら俺を威嚇することはない。
むしろ最近は、望んでいるのかとすら思えている。
「お前、このまま俺にステータス強奪され続けたら、確実に弱くなるぞ?」
その目は俺をじっと見つめても、質問には答えない。
こいつはいったい何なんだろう?
生臭に電気くんの話をしてはみたが、そんなモンスター見たことも聞いたこともないと言う。
「お前……いったい何者なんだよ」
「モンスター?」
隣のセシリアが真顔で答える。
いや、そういう事じゃなくって……。
「でもね、少し変なの」
「変?」
「うん。電気くんね、精霊力を感じる」
精霊力?
じゃあ精霊魔法が使えるモンスターってこと?
「パチパチ放電してるし、雷の精霊魔法でも──ん? 雷の精霊って、いるのか?」
「うん、はい。下位の精霊はヴォルトっていうの」
「セシリアはヴォルトの召喚は?」
セシリアは両手をクロスし、×を作る。
「雷の精霊、とっても気難しがり屋だから召喚は難しいの」
「確かに雷の精霊を扱うって物語は、あまり見たことないもんな」
「物語?」
「あー……いろんな人から聞く冒険譚さ。うん」
前世で読んでいた小説とか漫画ですとは言えないだろ。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
111
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる